Huijun Chynthia Zhuは、アメリカのメリーランド州にある芸術大学に在学中の若手デザイナー。学生といっても、その実力はプロレベル。すでに世界的にもメジャーな企業のデザインワークやブランディングを手掛けています。
彼女の仕事は、文字やデータを可視化しデザインするインフォグラフィックや、自由なカタチで展開するチラシデザイン、自在に動くモーショングラフィックなど幅広い表現方法を使い分け、常に進化を遂げながら新たなデザインを模索しています。今回はそんな彼女の精力的なクリエイティブワークの一部をご紹介したいと思います。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you,Cynthia! )
ワクワク感を折り込んだ、自由な発想のチラシデザイン
昨年、デザインをテーマにニューヨークで開かれたれたカンファレンス“Design Space”のブランディングを彼女は担当しています。1週間に渡り、著名なデザイナーの講演会やディスカッションが行われ、さまざまな角度からデザインについてのアプローチが試みられました。
自由をあらわす白、意思を伝える黒、情熱を感じる赤をベースカラーに、写真やパターンを組み合わせたタイポグラフィを配置してポスターが制作されました。講演を担当するデザイナーたちや、デザインのさまざまな側面をあらわすモチーフが写真素材となりタイトル文字に落とし込まれています。一文字一文字に違ったビジュアルを与えることで、多彩なラインナップを感じさせ、充実したイベント内容を期待させます。
折り紙を折って作ったようなこの四角い紙は、イベントの内容を記したチラシです。裏面を見ると、折られた状態で文字がぴったり合うよう計算されてプリントされていますね。折られている紙を一枚一枚広げていくと、さらに隠された仕掛けが姿をあらわします。
まずチラシの中から出てきたのは名刺大ほどの「S」のカードと、タイポグラフィを散りばめた正方形のカード。ワークショップ等で使われるのかもしれませんね。続いて出てきたのが6日間のイベントスケジュール表です。中面にぴったり収まる大きさで作られています。スケジュール表を取り出すとイベントロゴが姿を現します。
チラシ裏返しにしてさらに開いていくと、講演するデザイナーたちの紹介が書かれたチラシデザインの全景が見えてきます。一見、不規則に分割された枠取りのように見えますが、実は折り目に沿って分けられており、開いたときに立体感が損なわれないよう工夫がなされています。このアイデアがたくさん詰まったチラシは、手にした人にデザインすることの楽しさを伝える体感型のチラシと言えるのではないでしょうか。デザインをテーマにしたイベントにふさわしいチラシデザインです。
目で見る栄養価!データをデザインするインフォグラフィック
“インフォグラフィック”という言葉を聞いたことがありますか?
その名のとおり、インフォメーションをグラフィック化する表現方法を意味しています。インフォメーションというのは情報の総称であり、具体的には、統計や数値などのデータをあらわすことがほとんどです。数値の可視化というとグラフを思い起こしますが、インフォグラフィックはグラフよりデザイン的なウェイトが高く、見るだけで何のどのようなデータかということが一目瞭然であることが大きな特徴です。
今回彼女が手掛けたのは「食品」をテーマにしたインフォグラフィック。“Hey What did you eat today ?”と題されたこのプロジェクトは、代表的な食品を立方体や球体で表現し、それらに含まれる成分量をインフォグラフィックであらわしました。
さらにその日の食事で、どのような成分をどのくらい摂取したのかをweb上で見ることができる3Dアニメーションを試作し「動くインフォグラフィック」を見ることができます。
食べた量は同じでも、成分によりその食品をあらわすキューブやボールが大きさを変える姿は、わかりやすい上になんとも可愛らしく、意表を突く面白さがあります。
普段見慣れた食べ物や飲み物たちが本来の姿を捨て、素材感だけを残して数学的な形状にデザインされているのはそれだけでもとてもユニークで見応えがあります。しかも、その質感が美しくリアルに再現されていて、一つ一つがまるでスーパーボールやサイコロのよう。カタチだけ見ていても見飽きない素晴らしいグラフィックです。
彼女のプロフィールにはこんなコメントが書いてあります。
“Non-stop spinning designer and always look for something cool”
“常にクールなものを探す、くるくる回り続けるデザイナー”というような意味でしょうか。好奇心のかたまりのような彼女は、これからもあらゆるフィールドで新たな表現にチャレンジしていくことでしょう。彼女のように人をワクワクさせるような作品を作っていくことは、どのクリエイターにとっても憧れなのではないでしょうか。
design : Huijun Chynthia Zhu ( USA )
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