ポスターに「エコ」の視点をプラスする時代
街を歩けば、様々なポスターが私たちの目に飛び込んできます。新商品の告知、イベントの案内、企業のメッセージ。これらは情報伝達の強力なツールですが、同時に、その生産過程が環境に与える影響も無視できません。
紙の原料となる森林伐採、製造工程でのエネルギー消費、そして印刷に使われるインキに含まれる化学物質…。SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる現代において、企業は環境への配慮を求められています。それは、ポスター制作においても例外ではありません。
では、私たちが普段目にしているポスターを、もっと環境に優しいものにするにはどうすれば良いのでしょうか? 答えは、「環境に配慮したポスター(エコポスター)」という選択肢にあります。
このSDGs時代において、エコポスターは単なる環境配慮にとどまらず、企業のブランドイメージ向上、そして消費者からの共感を呼ぶための重要な差別化戦略となり得ます。
本記事では、エコポスターが注目される背景から、具体的にどのような素材やインキ、印刷方法を選べば良いのか、そして最終的にどのようにして企業の価値を高めるのかを、ご紹介していきます。
なぜ今、「エコポスター」が注目されるのか?
近年、企業の社会的責任(CSR)への意識が高まり、環境への配慮は企業経営において避けて通れないテーマとなっています。消費者もまた、環境問題への関心が高く、エシカル消費(倫理的消費)という考え方が浸透しつつあります。
環境意識の高まりと企業の責任
地球温暖化、資源枯渇、海洋プラスチック問題…。これらの環境問題は、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。企業は、利益追求だけでなく、地球環境や社会全体に与える影響を考慮し、持続可能な社会の実現に貢献する責任があるという認識が広がっています。
特に、製造業においては、原材料の調達から生産、流通、消費、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で、いかに環境負荷を低減できるかが問われています。ポスター制作も例外ではなく、そのプロセス全体で環境に配慮することが求められているのです。
消費者の意識変化:エシカル消費の広がり
消費者の購買行動も変化しています。単に価格や品質だけでなく、企業の環境への取り組みや社会貢献度を重視して商品やサービスを選ぶ「エシカル消費」が広がりを見せています。環境に配慮した商品を選ぶことで、社会貢献したいと考える消費者が増えているのです。
このような状況下で、企業が環境に優しいエコポスターを採用することは、消費者に対して「私たちは環境問題に真剣に取り組んでいます」という明確なメッセージを発信することになります。これは、企業の信頼性を高め、ブランドイメージを向上させる上で非常に効果的です。
エコポスターを実現する3つの柱 – 紙・インキ・印刷工程
エコポスターと一口に言っても、具体的にどのような点を考慮すれば良いのでしょうか。主要な要素は以下の3つです。
- 紙素材の選択:再生紙やFSC®認証紙など、環境負荷の少ない紙を選ぶ
- インキの選択:環境に配慮したインキ(VOCフリーインキ、植物油インキなど)を使用する
- 印刷工程の最適化:環境負荷の少ない印刷方法や設備を選ぶ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 紙素材の選択:環境に優しい紙の選び方
ポスターの大部分を占めるのが紙です。紙の選び方一つで、環境への配慮の度合いは大きく変わります。
再生紙:森林資源を守る第一歩
最も一般的な環境配慮型素材の一つが再生紙です。再生紙とは、古紙を原料として作られた紙のこと。古紙を再利用することで、新たな森林伐採を抑制し、資源の有効活用に貢献します。
- メリット:
- 森林資源の保護に貢献
- 廃棄物削減
- 製造時のエネルギー消費やCO2排出量の削減(バージンパルプから製造する場合と比較して)
- デメリット:
- バージンパルプの紙に比べて、色合いが若干異なる場合がある
- 種類によっては価格が高くなる場合がある
再生紙と一口に言っても、古紙の配合率や種類によって様々なものがあります。ポスターの用途やデザインに合わせて最適な再生紙を選びましょう。
FSC®認証紙:持続可能な森林管理の証
FSC®認証紙は、環境、社会、経済の便益にかなう適切な森林管理のもとで生産された木材から作られた紙です。FSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)は、国際的な非営利組織で、責任ある森林管理を世界に普及させることを目的としています。
FSC®認証紙を使用することは、持続可能な森林管理を支援し、森林の生態系を守ることに貢献します。ポスターにFSC®のロゴマークを印刷することで、そのポスターが環境に配慮して作られたものであることを消費者に明確に伝えることができます。
- メリット:
- 持続可能な森林管理を支援
- 企業の環境意識の高さをアピール
- 国際的な信頼性がある
- デメリット:
- 一般的な紙よりも価格が高い場合がある
再生紙とFSC®認証紙は、それぞれ異なるアプローチで環境に配慮した選択肢です。どちらか一方だけでなく、両方の要素を考慮した紙を選ぶことで、より高い環境負荷低減効果を期待できます。
2. インキの選択:環境に配慮したインキの種類と特徴
ポスターの色彩を表現するインキも、環境負荷を考える上で重要な要素です。従来の石油系インキに代わる、環境に配慮したインキが開発されています。
VOCフリーインキ(UVインキ):大気汚染物質の排出抑制
印刷インキには、揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれる物質が含まれていることがあります。VOCは、印刷時に蒸発し、大気中に放出されることで光化学スモッグの原因となったり、人体の健康に影響を与える可能性があります。
VOCフリーインキ(UVインキ)は、このVOCの排出量を大幅に削減したインキです。特にUVインキは、紫外線(UV光)を照射することで瞬時に硬化するため、乾燥工程が不要となり、熱風乾燥に伴うVOCの排出を抑えることができます。
- メリット:
- VOC排出量の大幅削減による大気汚染の抑制
- 速乾性により、印刷工程の効率化
- 耐摩擦性や耐光性など、印刷物の耐久性向上
- デメリット:
- 一般的なインキと比較してコストが高い場合がある
- UV照射装置が必要となるため、対応できる印刷会社が限られる場合がある
VOCフリーインキ、特にUVインキの導入は、企業の環境への取り組みを具体的に示すだけでなく、印刷物の品質向上にも繋がるため、一石二鳥の選択肢と言えるでしょう。
植物油インキ:再生可能な資源の活用
植物油インキは、石油系溶剤の一部または全部を植物由来の油(大豆油、パーム油など)に置き換えたインキです。再生可能な資源である植物油を使用することで、石油資源の消費抑制に貢献します。
- メリット:
- 石油資源の節約
- 生分解性があり、環境への負荷が低い
- VOC排出量も比較的少ない
- デメリット:
- 種類によっては乾燥に時間がかかる場合がある
- 印刷物の耐性が劣る場合がある(製品による)
植物油インキは、新聞印刷などで広く使われていますが、ポスター印刷においてもその利用は増えています。
3. 印刷工程の最適化:環境負荷を最小限に抑える工夫
紙やインキだけでなく、印刷工程そのものも環境負荷に影響を与えます。
水なし印刷:廃液を出さないクリーンな印刷
一般的なオフセット印刷では、インキと水が混ざらない性質を利用して印刷が行われます。しかし、この際に湿し水(インキと水が混ざらないようにするために使用する水)という廃液が発生します。
水なし印刷は、湿し水を一切使用しない印刷方法です。特殊な版を使用することで、水を使わずにインキを転写することが可能です。
- メリット:
- 湿し水廃液の発生がないため、水質汚染のリスクを低減
- VOC排出量の削減
- インキの濃度安定性が高く、高品質な印刷が可能
- デメリット:
- 特殊な設備が必要なため、対応できる印刷会社が限られる
- 一般的な印刷方法よりもコストが高い場合がある
水なし印刷は、環境負荷を大幅に低減できる画期的な印刷方法として注目されています。
節電・省エネ対策:印刷工場全体の取り組み
印刷工場全体で、節電や省エネ対策に取り組むことも重要です。最新の省エネ型印刷機の導入、LED照明への切り替え、再生可能エネルギーの活用など、様々な取り組みが可能です。これらの取り組みは、CO2排出量の削減に直接貢献します。
エコポスターで差別化!?企業イメージ向上と集客への貢献
エコポスターは、単に環境に優しいというだけでなく、企業の競争力を高めるための強力なツールとなり得ます。
企業のブランディング強化:環境に配慮する企業としての評価
環境に配慮したエコポスターを導入することは、企業のブランドイメージを大きく向上させます。
- 信頼性の向上: 環境問題に真剣に取り組む企業として、消費者や取引先からの信頼を得やすくなります。
- 企業価値の向上: SDGsへの貢献は、投資家からの評価にも繋がり、企業の長期的な成長に寄与します。
- 採用活動への影響: 環境意識の高い若者にとって、環境に配慮した企業は魅力的な就職先となり得ます。
例えば、店舗にエコポスターを掲示することで、「このお店は環境を大切にしているんだな」という印象を来店客に与えることができます。これは、単に商品を売るだけでなく、企業の理念や姿勢を伝える重要な手段となります。
新たな顧客層の獲得:環境意識の高い消費者へのアピール
前述したように、環境意識の高い消費者は増加傾向にあります。エコポスターは、そのような層に効果的にアピールし、新たな顧客を獲得するためのフックとなり得ます。
- 「このポスター、再生紙を使っているんだ!」
- 「環境に優しいインキを使っているなんて、素晴らしい!」
このような共感は、商品やサービスへの興味に繋がり、最終的に購買行動を促す可能性があります。特に、オーガニック製品やサステナブルなライフスタイルに関心のある層には、大きな響きがあるでしょう。
競合との差別化:選ばれる企業になるための戦略
多くの企業が環境への取り組みを始める中で、エコポスターは他社との差別化を図る有効な手段となります。
例えば、同じような商品やサービスを提供している競合他社があったとして、一方がエコポスターを採用し、もう一方が従来のポスターを使っている場合、消費者はどちらの企業に好感を持つでしょうか。多くの場合、環境に配慮している企業を選ぶ傾向が強まります。
エコポスターは、単なる宣伝ツールではなく、企業の哲学や価値観を表現するメディアとして機能するのです。
意外と手軽?エコポスター導入の第一歩
「エコなポスターって、なんだか費用が高そう…」「導入が難しそう…」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の印刷技術の進化により、エコポスターの導入は以前よりもずっと手軽になっています。
コストと環境配慮のバランス
確かに、一部の特殊な環境配慮型素材や印刷方法は、従来の印刷よりもコストが高くなる場合があります。しかし、技術の進歩や需要の増加に伴い、その価格差は縮小傾向にあります。
また、長期的な視点で見れば、エコポスターの導入は、企業のブランド価値向上や新たな顧客層の獲得に繋がり、結果としてコストを上回るメリットを生み出す可能性もあります。
まずは、再生紙の利用やVOCフリーインキへの切り替えなど、比較的手軽に始められるところから検討してみてはいかがでしょうか。
ASOBOADの活用で、賢くエコポスターを制作!
「でも、具体的にどこに相談すればいいの?」
そうお考えの皆様に、ぜひ知っていただきたいのがASOBOAD(アソボアド)です。ASOBOADは、プロのデザイナーにリーズナブルにポスターデザインを依頼できるサービスです。デザインのクオリティを保ちつつ、環境負荷を低減したポスターも制作することが可能です。
まとめ – エコポスターは未来への投資
本記事では、SDGs時代のエコポスターについて、その重要性から具体的な素材・インキ・印刷方法、そして企業にもたらすメリットまでを詳しく解説してきました。
要素 | 具体的な選択肢 | 環境への貢献 |
---|---|---|
紙素材 | 再生紙、FSC®認証紙 | 森林資源の保護、廃棄物削減、持続可能な森林管理支援 |
インキ | VOCフリーインキ(UVインキ)、植物油インキ | 大気汚染物質の排出抑制、石油資源の節約 |
印刷工程 | 水なし印刷、節電・省エネ対策 | 水質汚染リスク低減、CO2排出量削減 |
エコポスターは、単なる環境配慮にとどまらず、企業のブランド価値向上、新たな顧客層の獲得、そして競合との差別化に繋がる、まさに未来への投資と言えるでしょう。
SDGsがますます重視されるこれからの時代において、環境への配慮は不可欠です。ぜひ、この機会に環境に配慮したポスターの導入を検討し、貴社の企業活動に「エコ」の視点を加えてみてはいかがでしょうか。
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