ロゴ作成は俳句を作ることにも似ていると思います。俳句はたった17文字という限られた中に、いかに広くて深い世界を吹き込むことができるかが、作り手の基本的な命題ですよね。良い俳句はたった17文字で聞き手に空間の奥行や時間の流れ、人の想い、季節の感覚など数多くのことを想起させます。
ロゴにおいても、いかにシンプルなデザインの中に多くの意味を含ませながら無駄をそいでいくかがキーとなることが多いのです。今回はそんな奥深いロゴ制作例をご紹介しようと思います。
掲載ロゴは、イタリアを拠点に活動するフリーランスのグラフィック& UI/UXデザイナー Armando Rinaldi さんの制作によるものです。Facebookページ ( https://www.facebook.com/merakigraphic/ )も是非チェックしてみてください。※記事掲載はデザイナーに許諾を得ています。(Thank you Armando !!)
単にピザの形だけを表すロゴ?
誰でも見た瞬間にピザ屋のロゴだということが分かる点では、ロゴの大切な役割はクリアしていると言えると思います。しかし、よく見ていると他の意味が隠されているかもしれない!と気づきました。
まず、このロゴマークは店名のGの形象を模したようにも見えますね。ピザをおいしそうに大口開けて食べている人にも見えてきます。制作者はいかに意図をくみ取って制作しているかが分かりますよね。とってもポップで、キュートに見えませんか?
文字だけで業種までの意味を含ませたロゴ
よくロゴマークで業種や事業内容を表すロゴは見かけますが、ロゴタイプだけでそれを表していることがすばらしい作品だと感じます。AAの文字の一方をさかさまにして、シンメトリー化させ、その2つのAで建設業界の意味を表すトラス構造の形を作り上げています。こちら一生懸命に働くクレーンにも見えてきませんか?
これはたまたまこのアルファベットだからできたということもあると思いますが、制作者の創意が感じられますよね。また、アルファベット4文字の全体を使ってもシンメトリー化させているので、シンプルでバランスの良い仕上がりになっています。包み込む様な形状・左右対称のデザインは、頑丈な建築物そのものや、精密な仕事ぶりを想像させてくれます。
意図が知りたくなっちゃうロゴ
POS Medicalは医療機器メーカーです。ということは、ロゴマークはおそらく人間体内を写しだすためのX線や磁気などを使った大型機械ですよね。その機械の断面を表したものを直接デザインに取り入れたのだと思います。中央の丸は人間で、緑の一文字が寝台でしょうか。
配色は医療に関する企業なので、清潔、安全、誠実なイメージを持たせるライト系のスカイブルーとブルーグリーンが使用されています。一般的に医療関係企業ではあまり暖色を使用しないことが多いようです。これはあまり濃いと、血を連想させるからという意図もあるのでしょうか。色からくるイメージもロゴ制作には大きく関わりますよね。
ロゴは俳句のように、制限のある中でいかに意図を表現するかだと思います。形や色味によって大きく変わるイメージ。とても奥深いですよね。ロゴデザインに永遠の可能性を感じた今日なのでした。
Designer : Armando Rinaldi (Italy)
・この記事は制作者に許諾を得て掲載しています。
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