ブラジルのミナスジェライス州モンテスクラロスにスタジオを構えるSandrin Designのロゴデザインを紹介します。同デザインスタジオの手がけるロゴは、幾何学的なミニマルデザインです。とくにシンボルマークは、シンプルな要素を組み合わせていくプロセスに特徴があります。
イニシャルなどのアルファベットをうまく使い、クライアントのビジネスの特徴に着想を得たアレンジがおこなわれます。そのモノグラム的アプローチによるデザイン例は、アイデアのヒントとなるでしょう。要素をそぎ落とした幾何学的な構成ですが、ぬくもりも感じさせるのがユニークです。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Sandrin Design!)
シンプルなアイデアから生まれた印象的なシンボルマーク
ブラジルのマナウス市にあるRaoni会計事務所のミッションは、会計作業の手間を減らして生活を楽にすること。デジタル会計やコンサルティングなど、先進的なコンセプトのサービスを提供しています。
この会計事務所のためにSandrin Designが提供したロゴは、ジオメトリックな書体で組んだロゴタイプとミニマルなシンボルマークとの組み合わせです。ロゴタイプは、字間をゆったりと取ることで、会計事務所の信頼性を感じさせます。
Sandrin Designらしさが出ているのが、不思議なデザインのシンボルマークです。リボンを折り曲げたようなデザインは象形文字をアレンジしたかのようにも思えます。
これは、事務所名の頭文字「R」と、会計の象徴としてのパーセント記号「%」を組み合わせたものです。答えを知ってしまえば、単純な構造だったのだとわかりますが、仕立て方が面白いので、印象的なシンボルマークになっています。
オレンジとチャコールグレーのカラーパレットも、モダンで先進的なイメージをかもすのに効果的です。
オーナーのイニシャルを埋め込んだロゴデザイン
「Wolf Place」は、若者向けカジュアルウェアのリテールストアです。オーナーの名字「Wolff」は、wolf(=オオカミ)を意味するドイツ語に由来します。オーナーの要望はオオカミに関連するロゴが欲しいというものでした。
Sandrin Designは、オオカミの顔をモチーフにしたミニマルなシンボルマークを作りました。目の部分には、オーナーのイニシャル「W」も隠されています。
シンボルマークは各コーナーが鋭くとがっています。これに対して、ロゴタイプはコーナーや末端の処理に特徴のある、柔らかい印象のサンセリフ書体です。こ書体の選択やシンボルマークとのバランス、スペースの設けかたなどからは、Sandrin Designのていねいな仕事ぶりが伝わります。
わずかに青みのはいった暗めの赤と黒、白で構成されたカラーパレットは、ハードでメカニカルな雰囲気があり、いかにも若い男性向けのチョイスと言えます。
ビーチウェアブランドの落ち着いたトーンのブランディング
ペルナンブーコ州は、ブラジルのなかでも歴史のある地域です。東は大西洋に面しています。この土地で生まれ育ち、ビーチを愛する女性が立ち上げたビーチウェアブランドが「Oxeau Beachwear」です。
Sandrin Designが同ブランドのために作ったシンボルマークは、ヤシの木(ココヤシ)と太陽と海を組み合わせたデザインです。ビーチに関連するブランドの、まさに定番といえる要素ですが、ヤシの木と太陽との処理にオリジナルなアイデアが見られます。
シンボルマークに組み合わせるロゴタイプは、フェルトペンで書いた文字のようなスクリプト書体です。そこに「Beachwear」という文字がサンセリフ書体で添えられています。
定番要素を使っているとはいえ、Oxeau Beachwearのトーンは、トロピカルで原色でギラギラではありません。カラーパレットに採用した、オレンジ、グリーン、ダークグリーンは、落ち着いたトーンです。また、目のこまかいコルクを思わせるブラウンのテクスチャーもビジュアル・アイデンティティの要素となっています。
Sandrin Designは、ブランディングにあたって、Oxeau Beachwearのトーン・オブ・ボイスとして、次のキーワードをピックアップしています。
【モダン、ユニーク、フェミニン、大胆、光、エレガント、活気、外向的】
これらのキーワードから、自分ではどのようなカラーパレットやテクスチャー、ロゴを考え出せるか、試してみるのも面白いかもしれません。
都市計画事務所のオーガニックなモノグラム的シンボルマーク
ブラジル南部のパラナ州クリチバ市にある都市計画事務所「Fabeno Urbanismo」のロゴマークは、事務所の名前から抜き出した文字を組み合わせて、ビジネスのコンセプトを表現しています。
Fabeno Urubanismoは、サステナブルな都市開発のための新しい技術に着目している事務所です。Sandrin Designは、サステナビリティの象徴として、1本の木をモチーフとしました。
都市計画事務所のブランド名を「fa」と「beno」に分解して、その始まりの文字「F」と「B」を、シンボルマークの要素としています。ふたつの文字を幾何学的にデザインしたうえで、木に見えるミニマルなマークを作り出しました。
カラーパレットは、濃淡のベージュ、チャコールグレー、渋めのパステルグリーンで構成されています。シンボルマークを敷き詰めて、地模様のような使い方をしているのがユニークです。背景色にグリーンを使ったパターンは、緑豊かな都市をイメージしているのかもしれません。
自然にインスパイアされたフレグランス・ストアのモノグラム
このフレグランス・ストア「Yamara」のロゴデザインは、ポートフォリオ用のサンプルかもしれませんが、Sandrin Designの制作プロセスの特徴がよく現れています。
ブランドYamaraは、自然にインスパイアされた革新的なコンセプトを持っています。ブランドのキーワードは、【生活、自由、快適、共感】です。キーワードに基づいて、シンボルマークのコンセプトやカラーパレットが検討されます。
シンボルマークは、ブランド名から「y」と「m」の2文字がピックアップされました。自然のシンボルとしての花の断面が、2つの文字をベースに作られています。グリッドに基づいた、几帳面なデザインです。
オーガニックなトーンのイエローをメインにしたカラーパレットが設定されていて、全体にとてもエレガントなデザインとなっています。
design : Sandrin Design (Montes Claros, Brazil)
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