豆漿、米漿、燕麥奶、杏仁奶…
台湾の朝ごはん屋さんやスーパー、コンビニに行くと、ほぼ必ず見かけるこれらのドリンク。冷蔵ケースをずらりと占領し、牛乳や飲むヨーグルトにも負けないくらい、台湾では「植物奶(植物性ミルク)」がとても広く親しまれています。
現地ではどのように飲まれていて、どのようなデザインのパッケージに包まれているのでしょうか。
台湾の朝ごはんの定番!現地で圧倒的存在感を放つ「豆漿(豆乳)」
朝ごはんは、お店で食べるもの。そう言っても過言ではないくらい、台湾では「早餐店」と呼ばれる朝ごはん屋さんが、とても身近に存在しています。
営業時間は、早朝からお昼過ぎまで。朝から食べても重くないあっさりとした「漢堡(ハンバーガー)」や「三明治(サンドイッチ)」、薄く焼き上げた生地にレタスやハム、コーンなどをロールした「蛋餅」などのグルメが取り揃えられています。
グルメと合わせてメニューに並ぶのが、バリエーション豊富なドリンクの数々。
紅茶や奶茶(ミルクティー)などと並んで、ほぼ100%メニューに並んでいるのが「豆漿(豆乳)」。朝ごはんのドリンクの定番中の定番として、欠かせない存在となっています。
また、台湾には、深夜から翌日午前中にかけて(お店によっては24時間)営業する「豆漿店」という豆乳のお店も。
朝ごはんにはもちろんのこと、「宵夜(夜食)」を食べに足を運ぶ機会も多い豆漿店では、蒸し立てふかふかのおまんじゅう「饅頭」や、サクサクと香ばしいパイにも似た食感の「燒餅」などのグルメと合わせて、お店手づくりの豆漿を堪能することができます。
台湾の朝ごはんとして、ガイドブックでもよく取り上げられる「鹹豆漿」も、豆漿店にて楽しめる1品。「鹹」とは、しょっぱいの意味。塩やごま油、お酢を加えてふわふわに仕上がった豆乳に、刻みネギや干しエビなどを散らしていただきます。
おともには「油條」という、細長く歯応えのある揚げパンをオーダーするのも定番。鹹豆漿に浸しながらいただくのも、現地ならではの楽しみ方です。
植物性ミルクと言えば、まず間違いなく一番に名前を挙げられる豆漿。その大きな存在感には、台湾の朝ごはんや夜食の文化と密接な関係があるのかもしれません。
お米にオーツ、アーモンド… 豆乳だけにとどまらない、種類豊富な台湾の植物性ミルク
ピカイチの存在感を放つ豆漿ですが、それだけじゃない台湾の植物性ミルク。他にも、様々な素材から作られたドリンクが数多く存在しています。
朝ごはん屋さんでは、豆漿と並んで「米漿(ライスミルク)」も、定番のドリンク。お米とピーナッツから作られているライスミルクは、豆漿よりもさらに濃厚なとろりしたテクスチャで、香ばしい風味が特徴。豆漿店では、米漿と豆漿をミックスして楽しむ「混漿」というドリンクがいただけることもあります。
コンビニやスーパーのドリンクコーナーへ向かってみると、台湾の植物性ミルクのさらなるバリエーションに驚かされることに。
近年、ヘルシードリンクとして、台湾でも人気を集めている「燕麥奶(オーツミルク)」や「杏仁奶(アーモンドミルク)」などに加え、紅茶やココアなどと植物性ミルクをミックスしたドリンクも。冷蔵ケースを丸々占領するほどずらりと並んでおり、牛乳や飲むヨーグルトにも負けない存在感を、植物性ミルクは放っています。
では、これらの植物性ミルクはそれぞれ、どのように特徴を打ち出しているのでしょうか?また、どのようなパッケージデザインが採用されているのでしょうか?一部にはなりますが、ここからは台湾のコンビニやスーパーに並んでいる、植物性ミルクのパッケージを眺めてみたいと思います。
訴求のバリエーションがこんなに!台湾の豆乳パッケージデザインたち
豆漿シリーズの豆乳パッケージデザイン
まずは、植物性ミルクの中でも、一番の存在感を放っている「豆漿」から。
台湾の食品関連企業の中で、最も大きな規模を誇る企業・統一。豆漿シリーズのパッケージデザインには、絵の具で描いたような太陽や木々の絵が採用されています。素材となっている大豆自体はどこにも描かれていませんが、「実り」の物語を表現するような自然派なイメージで、素材へのこだわりを訴求することに成功しています。
豆奶シリーズの豆乳パッケージデザイン
「昔ながらの飲みもの」というイメージもある、台湾の豆漿。
台湾で消費者から抜群の信頼を寄せられている食品メーカー・義美の「豆奶」シリーズでは、「古早(昔ながらの)」や「傳統(伝統)」の文字が。石臼で豆を挽いているイラストや、紙の破れが連想されるモチーフを取り入れ、伝統的な印象が前面に打ち出されています。
光泉の豆乳パッケージデザイン
植物性ミルクを含む、乳飲料で有名なメーカー・光泉の豆漿は、素材感を打ち出したパッケージデザインに。
大豆から作られたオーソドックスな豆漿に加え、黒胡麻をプラスしてまろやかさをアップした「黑芝麻鮮豆漿」や、大豆のかわりに黒豆を使った「黑豆漿」なども。素材のバリエーションを上手に訴求したデザインが採用されています。
光泉からはもう1つ、「特濃5.1」という豆漿シリーズも発売されています。
飲んでみると、オーソドックスな豆漿よりも一段と濃厚な仕上がりとなっており、パッケージでも豆漿そのものをメインビジュアルに。赤は大豆、黒は黒豆が原材料に使われており、牛乳のパッケージにも似た濃厚でクリーミーなイメージがデザインで強調されています。
1本にタンパク質が19gと、含有量の高さが打ち出されている点も、他の豆漿との差別化を計った切り口と言えそうです。
豆乳以外の植物性ミルクは、どのようなパッケージに包まれている?
米漿(ライスミルク)のパッケージデザイン
こちらは、「米漿(ライスミルク)」のパッケージ。
植物性ミルクの中では、豆漿と並ぶポピュラーな飲みものということもあってか、各メーカーとも、豆漿シリーズのデザインフォーマットと統一し、シリーズを構成する商品の1つとしてラインアップしているケースが多い印象です。
ライスミルクではありますが、光泉の「原味米漿」では、お米よりもピーナッツをアピールしたデザインに。コピーと合わせて、香ばしい風味を訴求するパッケージが採用されています。
燕麥奶(オーツミルク)のパッケージデザイン
近年、台湾でも注目が高まっている「燕麥奶(オーツミルク)」は、各メーカーとも原材料であるオーツの写真、またはイラストを取り入れたデザインに。
豆漿や米漿と比較すると、「健康的」であることによりクローズアップされており、「高纖(食物繊維が豊富)」であることや、健康食品としての認可を得ていることなどを強く打ち出したデザインとなっています。
杏仁奶(アーモンドミルク)のパッケージデザイン
「杏仁奶(アーモンドミルク)」も燕麥奶と同じく、デザインは健康的なイメージが強め。
飲料メーカー・泰山から発売されている「堅果作用。」では、素材であるアーモンドがメインビジュアルに。プレーンとオーツ入りをそれぞれ、やさしいトーンのグリーンとブラウンでカラーリングすることで区別をつけつつ、ヘルシーな印象に仕上げられています。
まとめ
台湾で存在感を放つ豆乳をメインに、植物性ミルクのパッケージを眺めてみました。
朝ごはん屋さんでもいただける豆乳を始め、台湾では日本以上に、バリエーション豊富に展開された植物性ミルクが広く親しまれています。
スーパーやコンビニで、とても手軽にリーズナブルに楽しめるものばかりですので、台湾へお越しの際はぜひ、おいしいグルメのおともに、現地ならではの植物性ミルクも試してみてはいかがでしょうか。
<プロフィール> Mae
2012年より台湾・台北在住。グラフィックデザイナーとしてお仕事をする傍ら、現地生活や旅行情報を綴るブログ『にじいろ台湾』の運営や、ライターとしても活動しています。日本と近くて、似ているようで、本当は色々違っている。そんな台湾での発見を、みなさんとシェアしていきたいです。
ブログ『にじいろ台湾』 → https://kazukimae.com/
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