汗ばむ季節になると恋しくなる、冷たいスイーツ。台湾では、かき氷に代表される冷たい甘味をスイーツ店で気軽にいただけますが、コンビニにもリーズナブルかつお手軽に楽しめるアイスクリームが充実しています。
台湾発祥の有名ドリンクを再現したものや、現地ならではのフルーツや食材を使ったものなど、日本ではあまり見かけないアイスクリームもたくさん。どんなパッケージに包まれているのかを観察しながら、台湾のコンビニで買えるアイスクリームを5つ、ピックアップしてみます。
タピオカミルクコンテスト受賞の味をアイスクリームで。「黑沃咖啡 黑糖黑玉拿鐵雪糕」
今や世界中で親しまれるようになった、台湾発祥のドリンク・タピオカミルク。台湾には、タピオカミルクをテーマにしたアイスクリームもたくさん並んでいるのですが、その中でもひときわに高級感あるデザインで目を惹くのが、コーヒーブランド・黑沃咖啡の「黑糖黑玉拿鐵雪糕」です。
台中で行われたタピオカミルクコンテスト・台中珍奶節にて受賞を果たした1杯の味を、アイスクリームで再現しています。
漆黒とも呼べる深いブラックをベースにしたパッケージは、溶けるようにミルクアイスと混ざり合ってゆく黒糖カラメルが、とびきりに映える画像をメインに。背景に溶け込むような黒糖のかたまりも見え、素材感もしっかりアピールされています。
コロコロとしたタピオカのイメージは、商品名まわりに反映。細い線で描かれた円がくっつくように繋がるデザインからは、弾力あるタピオカの食感が連想され、おいしさがより直感的に伝わって来ます。
アイスの中に時折姿を現す、もっちりとしたタピオカの食感がアクセント。濃厚な黒糖風味の中、とろけるほどに立ってくるのは、コーヒーブランドらしいコーヒーの香ばしさと苦味。甘さひかえめで、さっぱりビターにいただける大人な味わいが、パッケージから受ける印象と至極マッチしています。
氷のガリガリ感を荒いドット風タイポグラフィーで表現。「杜老爺 情人果脆冰棒」
ミルキーで甘いアイスクリームも良いですが、うだるような暑さの中、のどを潤したい時に恋しくなるのは、氷の食感をガリガリと楽しめる爽やかなアイスキャンディ。
アイスクリームブランド・杜老爺のロングセラー商品として知られる「情人果脆冰棒」は、そんな恋しさをピンポイントで満たしてくれる、うってつけの1本です。
荒いドット風のタイポグラフィーで強調された「脆冰」の文字で、氷そのもののガリガリとした食感を上手に表現。
黄と緑をメインとしたカラーリングで、マンゴーのイメージを反映しているのも、デザインのポイントかと思います。
このアイスキャンディに使用されているのは、「情人果」と呼ばれる青マンゴー。完熟マンゴーとは一味違ったハリハリ食感と甘酸っぱい風味が特徴で、爽やかさがさらにアップされています。
ぎっしり詰まった粗挽き氷とともに、暑さをスッキリ吹き飛ばしてくれる涼やかな仕上がりです。
台湾スイーツやドリンクに欠かせないタロイモが濃厚に香る「連珍 芋角奶蓋雪糕」
フルーツ以外にも、台湾ならではの食材を使ったアイスクリームが。ここでは、基隆の老舗菓子店・連珍が手がける「芋角奶蓋雪糕」に、注目してみます。
パッケージ全体に採用されている紫は、台湾スイーツやドリンクの食材としてポピュラーな「芋頭(タロイモ)」が、由来。
パッケージ側面へと視線を向けてみると、大きな葉っぱを頭から生やしているタロイモをモデルにしたキャラクターが。一点をぼーっと見つめているような、ほんのり気の抜けた雰囲気がまた、台湾らしさを絶妙に高めてくれています。
タロイモとミルクのふんだんさが表現されている、パッケージの写真。薄紫に色づいたアイスの中には、小さく刻まれたタロイモの実も。
とろけるほどに香る素材の風味とまろやかさ、やさしい甘みは「芋頭牛奶(タロイモとミルクをシェイクした飲みもの)」を、そのまま凍らせたかのような濃厚さ。タロイモのおいしさを存分に味わいたい時に、必食の1本です。
もはや写真すら必要としない定番的存在のバニラアイスクリーム「小美 小美冰淇淋」
台湾では、パッケージにイラストも写真も全く配置されていない、一見では中身がよく分からないデザインの食品がしばしば。
創業からおよそ80年の歴史を有する老舗アイスクリームメーカー・小美の代表作とも言える「小美冰淇淋」も、その一例として挙げることができます。
黄の地色に波打つような赤、丸みのあるゴシック体で書かれた商品名の青。これでもかと言わんばかりの原色のみで構成されたデザインは、アイスクリーム売り場にてひときわ目を惹くと同時に、欠かすことのできない存在感を発揮しています。
ふたに添えられているのは「伴您走過成長的滋味(あなたの成長とともに歩み続けて来たおいしさ)」というコピー。
現地の方々に長年愛され続けてきたからこそ、写真に頼らずとも原色いっぱいのパッケージが呼び起こすおいしい記憶だけで、訴求力は充分。そんな自信をも感じさせるデザインとなっています。
人々の成長とともに歩み続けてきたのは、昔ながらのバニラフレーバー。
ふんわりとほどけるような食感とともに、やさしく広がるミルクの甘みは、飽きのこない素朴な風味。どんなアイスクリーム売り場にもほぼ必ず置かれている、定番的立ち位置を築き上げたのにも納得の味わいです。
伝統的イメージのある小豆アイスには、台湾ならではのトッピングをプラス。「小美 紅豆粉粿」
日本で昔ながらの味わいとして愛され続けている、小豆アイス。台湾でも、小豆は伝統スイーツに欠かせない食材として親しまれており、小豆を使用したアイスクリームも、多数のメーカーから発表されています。
小美の「紅豆粉粿」も、そんなアイスクリームの1つ。小豆を連想させる深い赤茶色をベースに、可愛らしい印象の筆文字で書かれた商品名がレイアウトされており、どこか日本の小豆アイスにもつながるものを感じます。
ユニークなのは、小豆に合わせて使用されている食材。
「Q彈口感 經典絕配(弾力のあるもちもち食感は、クラシカルな絶好のコンビネーション)」と、書かれたコピーが示しているのは、写真でも強調されている黄色いぷるぷるとした「粉粿(もっちり甘いゼリーのようなお菓子)」。伝統市場や菓子店、台湾式かき氷や豆花のトッピングとしてもよく目にする昔ながらのお菓子を加えたところに、台湾ならではの特徴が際立ちます。
小豆と粉粿がたっぷり含まれているのが一目で分かる、紅豆粉粿のアイスクリーム。
濃厚な小豆の風味の中、絶えず感じるのはクニュッとした小豆と、もっちり弾力のある粉粿の食感。てっぺんから底までぎっしりと詰まっていて、最後の一口まで変わらぬおいしさを楽しめるのも魅力です。
まとめ
台湾コンビニアイスのパッケージデザインを、ご紹介しました。
日本にも負けないくらい、バリエーション豊富にアイスクリームが揃っている台湾のコンビニ。現地にお越しの機会がありましたら、パッケージデザインにも注目しながら、ぜひコンビニアイスをお手に取ってみてはいかがでしょうか?
2012年より台湾・台北在住。グラフィックデザイナーとしてお仕事をする傍ら、現地生活や旅行情報を綴るブログ『にじいろ台湾』の運営や、ライターとしても活動しています。日本と近くて、似ているようで、本当は色々違っている。そんな台湾での発見を、みなさんとシェアしていきたいです。
ブログ『にじいろ台湾』 → https://kazukimae.com/
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
サイトへのお問い合わせ・依頼 / 各種デザイン作成について