印刷物を手に取ったとき、人はまず触り心地や見た目などの感覚情報から「質の良さ」を判断します。その第一印象を左右する大きな要因が「紙質」と「加工」です。特に高級感を打ち出したいパンフレットや冊子、名刺などでは、紙質や加工のちょっとした違いが、大きくイメージを変えてしまいます。
本記事では、紙選びの基礎や加工方法の特徴、デザインとの組み合わせ方などを総合的に解説します。読み進めることで「どうすれば高級感を演出できるのか」を具体的にイメージしていただけるはずです。
紙質の選び方
紙の厚みは信頼感を左右する
紙の厚みは、受け取り手に「しっかりとしたもの」という印象を与える大切な要素です。同じデザインでも、薄い紙より厚みのある紙のほうが重厚感が増し、結果的に高級感を感じさせます。名刺などの小さな印刷物であっても厚みがあると、存在感が全く違ってきます。
ただし、紙の厚みが増すほど印刷コストや郵送時の送料も上がります。特にダイレクトメールなど大量に郵送する場合は、厚みや重さによるコスト増を踏まえて計画しましょう。高級感と予算のバランスを考慮することが大切です。
紙の質感で表現する「高級さ」
紙には主に「コート紙」「マットコート紙」「アート紙」「上質紙」「特殊紙」など、さまざまな種類があります。高級感を演出するためには、その紙がどんな触感と視覚的な質感を持っているかを意識するとよいでしょう。
- コート紙:表面がツルツルしていて発色がよく、写真などをきれいに見せたいときに向いています。ただし光沢が強い場合は安っぽさにつながることもあるため、デザインとの相性を見極める必要があります。
- マットコート紙:コート紙より落ち着いた光沢を持ち、シックな雰囲気を演出できます。ビジネスシーンや大人っぽいイメージを出したいときにおすすめです。
- アート紙:発色が良く、高品質の印刷物によく使われます。厚みもしっかりしており、作品集や高級パンフレットなどで活用されることが多いです。
- 上質紙:いわゆるコピー用紙に近い紙ですが、厚みや紙質によって品格が変わります。インクのにじみは出やすいものの、ナチュラルな風合いが魅力です。
- 特殊紙:エンボス加工が施されていたり、和紙風の表面を持ったり、色や織り目が独特なものなど多種多様です。ほかと差別化を図りたい場合に、積極的に検討してみる価値があります。(※特殊紙という用紙があるわけではありません)
選ぶ紙によって、印刷物が放つ「雰囲気」は大きく変化します。どんなイメージを伝えたいのかを考えたうえで、最適な紙を選んでみてください。
印象を左右する紙の加工
箔押し(ホットスタンプ)
金や銀といった金属箔を使って、文字や模様を装飾する技術です。印刷物を高級感ある仕上がりにしたいときによく選ばれます。光沢のある箔以外にも、マット仕上げやホログラム、カラー箔など多彩なバリエーションが存在します。ブランディングのポイントになるロゴなどを箔押しするだけで、ぐっと見映えが上がるのでおすすめです。
エンボス・デボス
浮き出し(エンボス)や押し込み(デボス)によって、紙の表面に凹凸をつける技術です。見た目だけでなく、触ったときにも特別な感覚が得られるのが特徴です。ブランド名やロゴマークにエンボス・デボス加工を施すことで、高級感とユニークさを兼ね備えた仕上がりにできます。目立ちすぎず、それでいて“わかる人にはわかる”さりげない演出が可能です。
ニス加工やラミネート加工
紙の表面にニスを塗布したり、フィルムを貼ったりすることで、保護と質感の向上を目的とします。ニス加工にはグロスニスやマットニスなど種類があり、光沢や落ち着いた質感を出すことができます。ラミネート加工の場合は、フィルム自体が紙をしっかりガードするので、水や汚れに強くなるメリットもあります(※側面はコーティングされないので、防水性はありません)。見た目が引き締まり、表面の耐久性が上がる分、高級感もプラスされます。
加工とデザインの組み合わせで生まれる高級感
デザインとのバランス
紙や加工にこだわると、どうしても「派手にしなければ高級感が出ない」と考えてしまいがちです。しかし実際には、過剰に加工を施すと逆に安っぽく見えてしまうこともあります。要所要所にポイントを絞った加工を採用し、それに合うシンプルなデザインを心がけることで、高級感をスマートに演出するのが理想的です。
カラー選択の考え方
印刷物におけるカラーは、ブランドイメージと直結します。高級感を演出したい場合、ゴールドやシルバー、深みのあるネイビーやダークグリーンなど、落ち着いたカラーが多用される傾向にあります。もちろんブランドのトーン&マナーが鮮やかな色使いであれば、その個性を生かしたデザインも素敵です。ただし、加工や用紙との相性を考えて配色を決めることで、より洗練された印象になります。
文字組みやレイアウトの重要性
高級印刷物は、紙質や加工だけでなく、文字組みやレイアウトにもこだわります。文字の大きさやフォントの選択、行間や余白の取り方など、細部まで配慮することで「洗練された」印象を与えます。特に高級感を重視する場合は、余白を多めに取るのがセオリーです。紙の美しさが活きる空間を残すことで、落ち着きと品格が感じられます。
高級印刷物を活かすための運用ポイント
ターゲットを明確にする
「高級感のある印刷物」を作る目的をハッキリさせることが重要です。誰にどんな情報をどのように届けたいのかを明確にすることで、紙質や加工の選択も変わってきます。富裕層向けの高級ブランドの商品カタログと、ビジネスパートナーに配布する企業パンフレットでは、求める「高級感」の方向性が異なるはずです。
受け取った後の体験を考える
高級感のある印刷物は、受け取ったときのインパクトだけが大事なのではなく、その後の体験も大切です。手触りやデザインに感動してもらったあと、情報が見やすいか、保管しやすいか、読み応えがあるかなど、総合的なユーザー体験がブランドイメージにつながります。せっかく手の込んだ印刷物を作るなら、最後まで満足してもらえるように配慮しましょう。
適切な配布タイミングと方法
どんなに高級感のある印刷物を作っても、適切なタイミングで配布しなければ効果を最大化できません。イベントや展示会、商談など、ターゲットが興味を持ちやすいシーンで手渡すことが理想です。また、封筒やパッケージにもこだわると、印刷物を手に取る前から期待感を高められます。配送する場合も、箱やクッション材など全体の演出に気を配ると、より特別な印象を与えられます。
まとめ
高級感を演出する印刷物は、「紙質」「加工」「デザイン」という3つの要素が密接に関わり合って完成します。紙質は手触りや厚みを通して、最初の印象を与える重要なポイントです。加工は表面の光沢や凹凸など、見た目と触感のアクセントになり、高級感を高めます。そしてデザインは、ブランドの世界観を体現し、用紙や加工の魅力を最大限に引き出すための設計図といえるでしょう。
さらに、作り手の「どのように届けたいか」という思いも非常に大切です。ターゲットや配布シーンをしっかり見極めることで、高級印刷物の効果を最大限に活かせます。受け取った人の心に深く残る高級感とは、単に見た目が豪華であることだけでなく、手に取った瞬間から「これは特別だ」と感じさせるトータルな体験そのものです。
上質な用紙や洗練された加工で高級感を演出することは、ブランド価値を高め、企業や商品の魅力を印象的に伝える近道です。コスト面やデザインとの相性を考慮しながら、自社にとってベストな組み合わせを見つけてみてください。そうすることで、印刷物を通じたブランディングがより一層効果的になるはずです。
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