
Homeprideはイギリスの家庭で親しまれているブランドです。
パッケージデザインの可愛さはなんと言っても、フレッド君。”Homeprideと言えばフレッド”と言えるほど、もっとも知られたブランドアイコンのひとつです。
今回のコラムでは、ほっとする家庭の味を提供するHomepride、そして小麦鑑定士であるフレッドを中心にチャーミングなパッケージデザインを紹介しましょう。
Homeprideの「フレッド」に見る「ブランドキャラクターが果たす記憶定着の役割」
Homeprideのパッケージに描かれるキャラクター「フレッド」は、ロゴやブランド名以上に消費者の記憶に残る「ブランドの顔」として機能しています。ロゴはデザインの一要素ですが、キャラクターは「人格」を持ち、消費者と感情的なつながりを形成します。
「フレッド=Homepride」という結びつきが消費者の記憶に定着している状態は、ロゴ単体よりも強力な識別力を持ちます。キャラクターは感情(愛着、親しみ、ユーモア)を呼び起こし、感情に紐づいた記憶は長期間保持されやすいからです。食品ブランドでキャラクターを導入するかどうかの判断は、「ブランドに人格を持たせたいか」「消費者と感情的なつながりを作りたいか」という戦略的な問いに基づきます。
Homeprideの歴史を紹介
Homepride(ホームプライド)は1920年に小麦粉を、1974年にクッキングソースを販売し始めた歴史あるブランドです。
現在のオーナーは小麦粉がKerry Group、クッキングソースなどはPremier Foodsです。
Premier Foodsがオーナーのクッキングソースは、イギリスで美味しい家庭料理を簡単に作ることができ、家族に自慢の料理を披露できるお手伝いをしています。このことからもHomeprideというブランド名であることが分かります。

そして、1964年からイギリスのベーキングカルチャーを支えてきたのがHomepride self raising & plain flourです。長年、製パン業界を支え、家庭でのビスケット、ケーキやパンづくりに欠かせないセルフレイジングや小麦粉を提供してきました。100%英国産小麦を使用しています。
イギリスではどの家庭にも小麦粉のストックがあるほどですが、2020年にはコロナウイルスによるパンデミックで小麦粉がショップの棚から消えた時期がありました。これはイギリス人にとって大きなインパクトでした。
Homeprideブランドアイコンのフレッド

chrisdorney – stock.adobe.com
Homeprideと言えば、フレッドです。
小麦粉のKerry Group、クッキングソースのPremier Foods、どちらにも共通して使われているキャラクターです。
フレッドは「Fred the Flour Grader」というアニメのキャラクターでマーケティングに使われています。
1964年生まれのフレッド、黒のボーラーハット(山高帽)をかぶり、黒の長袖シャツを着ている彼は笑顔が印象的です。
Homeprideアイコン的存在のフレッドはパッケージだけでなく、様々なグッズも作られ、レアなヴィンテージものとしてコレクターに人気です。90年代に作られた銀合金でできたフレッドのペーパーウェイトですが、なんと£595(約93,000円)という価値がつけられており、驚きがあります。
フレッドは英国のブランド史上、もっとも有名なキャラクターの1人であるとともに、Homeprideの小麦鑑定士でもあります。
小麦粉とベーキングに関してのエキスパートであるフレッドはウェブサイトやソーシャルメディアの「Ask Fred」でいろいろな質問に答える頼りになる存在です。
Homepride。フレッドを使ったキュートなパッケージデザイン
Homepride self raising & plain flourのパッケージをみていきましょう。


種類はセルフレイジング、小麦粉、強力粉の3種類です。
フレッドの後ろの太いストライプの色を変えることで種類の違いを表わしています。セルフレイジングは水色、小麦粉はピンク、強力粉がベージュです。3色のストライプが単純に信号のカラーでないところもポイントが高いでしょう。


Homeprideのパッケージデザインは、イングランド・Cheltenhamにあるwowmeが担当しました。
wowmeはPackaging of the Worldというサイトで、デザインしたHomeprideについて、以下のように述べています。
「Homeprideは1964年以来、イギリスのショッピングバスケットに入れられ愛用されている。フレッドはもっともよく知られたブランドアイコンだ。ホームベーカリーへの関心が高まるなか、ケリー食品は現代的な消費者にアピールするパッケージを求めた。」
「wowmeのインサイトツールキットBrandscapeを使うと、ブランドとフレッド双方が皆の心のなかにあり続け、ブランドは信頼されているものの競合のなかで少し迷子になっていることが判明した。」
「wowmeはbig Fredを生み出し、ノスタルジックでありながら現代的な感覚をアピールできるものになった。」
クリエイティブ・ディレクターのホワイト氏は、おなじみの部分はそのままに、重要な情報を大きくしたと述べます。認知度の高いフレッドはヒーローであり、パッケージで大きな役割を果たすことが大切という判断でした。


フレッドがキュートなHomepride
各色の太めのストライプの上でフレッドが両手を広げてにこやかにしているのがとってもキュートなHomeprideのパッケージデザイン。フレッドがモノクロだけにキャラクター使いでも子ども向けのような甘すぎる感じがありません。
パンづくり、ケーキづくりは楽しいもの。何か困ったことがあればフレッドに聞けるところにも親しみを感じます。
英国産100%小麦を使ったHomeprideの小麦粉はこれからもフレッドとともにイギリスで愛され続けるのでしょう。
キャラクターの「リデザイン」で気をつけるべきは「表情と姿勢を変えない」こと
Homeprideのフレッドは時代に合わせて描画タッチがリデザインされてきましたが、「山高帽を被り、小柄で控えめな立ち姿」という基本的な姿勢と表情は長年変わっていません。
キャラクターをリデザインする際、最も慎重に扱うべきは「表情」と「姿勢」です。描画の精度やタッチを現代的にすることは問題ありませんが、表情や姿勢を変えると消費者の中のキャラクターのイメージが崩れ、「知らないキャラクターに変わった」と感じさせるリスクがあります。キャラクターのリデザインは「同じ人物の写真を最新のカメラで撮り直す」感覚で、骨格は維持したまま解像度だけを上げる、という判断が安全です。
参考:
・Homepride
https://homeprideflour.co.uk / https://homeprideflour.co.uk/pages/our-products
・Homepride Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Homepride)
・wowme (http://wowmedesign.com)
・Packaging of the World (https://packagingoftheworld.com/2020/12/homepride-redesigned.html)

<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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