Marmite(マーマイト)と言えば「Love it or Hate it(好き嫌いが極端に分かれる)」という強烈なキャッチフレーズで有名です。黄色の蓋と手に収まるぼってりとした瓶はMarmiteが大嫌いなイギリス人にも認知度がかなり高いデザイン。この発酵食品とはどんな味なのか?120年もの間、嫌われているMarmiteとは何なのか?このコラムでは深掘りしていきましょう!
・マーマイトのパッケージデザイン / imagesab – stock.adobe.com
そもそもMarmite(マーマイト)とは?
Marmite(マーマイト)は一言でいえば発酵食品です。瓶の蓋を開けてみると、褐色のねっとりとしたペーストが入っています。
このペーストこそが酵母エキスで作られたマーマイトです。ビールを醸造する過程で付随して得られるもので、特にビタミンB12が豊富に含まれています。厚生労働省の統合医療情報発信サイトによれば、ビタミンB12は神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助ける栄養素とされます。
OurCreative.によるMarmiteのポップで明快なラベルデザイン
パッと目に入ってくるマーマイトのラベルデザイン。そのラベルはぽってり感のあるジャー(瓶)に貼られています。Marmiteは1902年に初めて発売され、この瓶のスタイルは1920年代から現在まで変わっていません。瓶は茶色になっていて、マーマイトの主な成分であるビタミンB12を外部の光から守っています。
黄色の蓋に瓶の形にそった楕円形のラベルは黄色と赤、そして緑という分かりやすいカラー配色になっています。
ここで、デザインを担当したOurCreative.を紹介しましょう。
イギリス北部ヨークシャー州の都市リーズにあるOurCreative.はブランドデザインとパッケージデザインに特化した独立系エージェンシーです。イングリッシュマスタードColman’sや、若手シェフJamie Oliverの商品デザインなど多数手がけています。
クライアントとの長期的な関係を築くために率直なコミュニケーションを図ります。そして、若手と経験豊かなクリエイターのアイデアをミックスさせ、商業的に結果をもたらします。
そして、MarmiteもOurCreative.にデザインされたのです。
OurCreative.がマーマイトのデザインについて、このように述べています。
「このブランドを心から愛しています。15年以上の歴史を持ち、このブランドを埃っぽいキッチンの食器棚の奥から国民の心のなかにまで浸透させました。」
マーマイトチームと関わって以来、世論を二分し、モダンで革新的なブランドを一緒に作りあげてきたOurCreative.は、パブリックイメージの進化、人々の愛着を高めて英国の消費者にふさわしいブランドになるよう意識してきたそうです。OurCreative.は間違いなく、HaterではなくLoverでしょう!
Marmiteはまずいのか?
筆者も食べたことのあるマーマイトですが、少し食べた感想をシェアしましょう。まず感じるのが強い塩気、この強烈な味に少し後ずさりしたい気持ちに。そして同時に苦味と香ばしさも確実に感じます。焦げたお醤油のような味と言えなくもないような、、、
どのようにして食べるかについてですが、王道はトーストに塗る方法。バターをたっぷり塗った後にうっすらとマーマイトを乗せます。
悪くないかも!これが率直な感想です。匂いはほとんどないので、ビタミンB12摂取にもたまには食べてもいいかな、悪くはないなという感想です。
大当たり!MarmiteのLove it or Hate itキャンペーン
「Love it or Hate it」という強烈なキャッチフレーズが有名なマーマイトですが、消費者の間で愛と憎しみの二極化した反応が引き起こされることで注目されました。1996年10月に開始された「Love it or Hate it」キャンペーンの結果、マーマイト効果そしてマーマイト反応という言葉まで誕生したのです。
Marmiteアディクションに嬉しい商品たち
自社商品にhate(ひどく嫌う)というキャッチコピーを使うこと自体、斬新です。そして、マーマイト戦略は大成功し、Marmiteのロゴが入ったマグやポスターを購入することもできるほどです。
そして、オリジナルのマーマイトだけでなく、色々な商品を選ぶことができます。例えば、減塩のもの、マーマイト入りピーナツバター、加えてトリュフ風味の史上もっとも高級なものまで登場しています。マーマイトを使ったスナックもでています。
更に、マーマイトには絵文字まであるんです。
https://www.marmite.co.uk/marjis.html
そして、Marmite Loverに嬉しいのが、ラベルのパーソナライズです。
ラベルのMARMITE部分を自分の名前に変えたり、LOVE IT, LOVE YOUなどと入れることができるのです。
これで、マーマイトを家族とシェアしたくない人は「私のマーマイトに手を出すな~」と言うことができますし、名入りラベルなら誰かへのプレゼントにも最適です。
Marmiteは一回お試しあれ!
食べず嫌いはよくありません。Marmite LoverになるかMarmite Haterになるか、やっぱり一度試してみないと分からないのです。しかし、イギリスで120年間も続く現実が何を示すのかは疑問をもつ必要がないことなのかもしれません。
参考:
・Marmite (https://www.marmite.co.uk)
・厚生労働省の統合医療情報発信サイト/ビタミンB12 (https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/07.html)
・OurCreative. (https://www.our-creative.com/work/marmite)
・Wikipedia Marmite (https://en.wikipedia.org/wiki/Marmite)
<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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