イギリス人の主食のひとつがパン。それだけに食パンのブランドも多く、スーパーマーケットで広いエリアを占めています。
そんな大きな市場のなかでも、目立っているのがHOVISです。
1886年創業、130年以上の間、パンを焼き続けるHOVISは英国でもっとも有名なブランドの一つで高品質のパンを提供しています。どの種類も簡易なプラスティックバッグのパッケージですが、長い歴史をもつHOVISのロゴがシンプルに主張されたデザインとなっています。
このコラムはイギリスのパンHOVISを取りあげましょう。パン好きな方、イギリスのアンティークに興味のある方、ぜひお楽しみください。
HOVISの簡易的なパッケージデザイン
イギリスの包装はとてもシンプル。誕生日や記念日のプレゼントも自分でラッピングすることが普通です。なかには、商品のプラスティックバッグを開けると破れてしまい不便さを感じることも。中のビスケットやパンが乾燥しないように缶などに移すことも日常です。
そしてHOVISの包装も例外ではなくシンプルですが、パンはイギリスの朝食にトーストとして、ランチのサンドウィッチとして、もちろんイギリス発祥のアフターヌーンティまで幅広く食されています。
1886年創業の老舗企業HOVIS
日本では明治19年という時代、1886年にHOVISが創業されました。
ことの始まりは、リチャード・スミス氏が小麦の胚芽と小麦粉を分離する方法を発見したことでした。小麦胚芽に含まれるビタミンやミネラルを失うことがない製粉方法は「スミス特許製法胚芽粉」として登録され、以降多くのパン屋がこれを使うようになりました。この時点でHOVISの凄さを感じます。
長い歴史をもつHOVISのウェブサイトのデザインはとても素敵です。各時代のポスターと一緒に紹介されていますので一度ご覧になってみてくださいね。
HOVIS our story (https://www.hovis.co.uk/our-story)
創業から10年後、1896年には英国の王室ロイヤルファミリーにパンを提供しました。このことから、さらに国中に知られるようになっていきます。HOVISが有名になり売り上げが伸びるにつれ、パンの焼き上がりの品質を維持するためにパン職人を対象に毎年コンペティションも開催されました。
1954年からは新時代と呼ばれ、スライスされたHOVISパンが包装された商品が発売されましたが、これは当時画期的なものでした。
HOVISがイギリスのパン市場においてかなりのチャレンジャーであり功績者であったことは間違いなく、特筆したいものは他にも数々あります。しかし、パッケージと切り離せないのが新時代に行なわれた広告戦略です。
1973年、HOVISがテレビ広告に登場
HOVISがテレビ広告に登場します。少年が自転車を押して坂道を上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=w4-EjJt52ZQ
このCMは後に「エイリアン」や「グラディエーター」といったヒット映画を監督したリドリー・スコット氏によるものです。パンを配達する少年が中心になっており、イギリス国民がもっとも好むCMとされる名作です。
リメイクver.のCMが作成されていることからも、その人気が想像できます。
https://www.youtube.com/watch?v=6jpizSrYdJQ
ロゴデザインに使用されるパン配達の少年
パンを配達する少年はHOVISのロゴにも「since 1886」の文字とともに使われています。
HOVISには薄切り・厚切りなど薄さの違うそれぞれのソフトホワイトパン、全粒パン、シートがたっぷり入ったパン、穀物パンが揃っています。どの種類のパンも大きくHOVISの文字が入り、一眼で商品がわかるデザインです。
おまけの紹介① HOVISビスケット!
HOVISではパンの他にパンケーキも販売されています。そしてもうひとつ、人気なのがビスケットです。小麦を表皮、胚芽も含めて丸ごと挽いた全粒粉のダイジェスティブタイプはサクサクでとても美味しくコーヒーにも紅茶にもよく合います。
ビスケットの形はHOVISのパン!この可愛さにもコーヒータイムがさらに良い時間になります。
おまけの紹介② HOVISブレッドティン!
HOVISには長い歴史があることを紹介しましたが、最後に紹介したいのがパンを焼くのに使われていたティン(缶)です。ブリキでできたティンにHOVISと入ったものがアンティークファンに人気です。これも、130年以上の歴史をもつHOVISならではの一面なのです。
イギリスの食文化の一端を担うHOVISのパン
William – stock.adobe.com
1886年からパンを焼き続け、英国でもっとも有名で高品質なパン屋HOVISブランドはすべてのスーパーマーケットやコーナーショップで買うことができます。
1926年に発売されたHOVISのレシピ本のなかには「Sandwich Suggestions for the Shelter」(シェルターでのサンドウィッチ提案)というものがありドキっとしました。平和な世の中を願って止まないことを添えて、HOVISについてのこのコラムを締めたいと思います。
参考:
・HOVIS (https://www.hovis.co.uk)
<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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