
黒ビールと言えば、代表の一つにGuinnessが挙げられます。なめらかできめの細かいクリーミーな泡、スモーキーな独特の香りが特徴であり、多くのファンから支持されています。
2022年、Guinness Cold Brew Coffee Beerが新登場しました。
ギネスの長い歴史に触れながら、新商品とそのパッケージデザインを紹介しましょう。
ギネスの「黒」がパッケージで担っている役割は「味の予告」
ギネスのパッケージに使われる黒は、単にブランドカラーとして選ばれたのではなく、中身のスタウトビールの「黒い液色」と直結しています。パッケージの色が中身の色を予告し、消費者は開封前から「濃厚で重厚な味」を期待します。
Cold Brew Coffee Beerの新パッケージでも、この黒がベースに維持されつつ、コーヒーの要素が加わった新商品であることを示す追加のビジュアルが重ねられています。既存のブランドカラー(黒)を守りつつ新商品の差別化要素(コーヒー)を加えるバランスは、シリーズ展開のパッケージ設計で常に問われる判断です。「何を残し、何を足すか」の線引きの好例です。
創業1759年!由緒あるGuinnessの歴史を紹介

・ギネスのロゴ – dennizn – stock.adobe.com
イギリスには老舗のブランドがいくつもありますが、Guinnessもそのなかの一つ。1759年、アイルランドの首都ダブリンで創業者アーサー・ギネス氏によってエールの醸造を始めたことでストーリーが始まりました。
34歳のギネス氏、ダブリンで運を試そうとしました。醸造業界が低迷していたこの時期、ギネス氏は決して諦めなかったのです。家を出て、ダブリンにむかい、荒廃していた醸造所を借り受けることにしました。そのリース期間、なんと9,000年です。このスケールに驚きますが、この大胆なスタートに乾杯!です。

Anton Ivanov Photo – stock.adobe.com
1799年、エールビールの醸造を中止、ダブリンで人気を博した黒ビールの製造を始めます。1800年初頭には、独自の道としてヨーロッパからアフリカやアメリカ大陸、そしてニュージーランドまでギネスを輸出するようになりました。当時、航海の危険性は常に伴っていたのでギネスのチャレンジ精神を感じます。
その後も常識にとらわれないギネス独自の方法を採用していきます。それは、ビールづくりに科学者を採用するという醸造業界をも驚かせるものでした。このことからギネス初の研究所ができるという、他に類を見ない画期的なものに繋がっていきます。
1929年には「ギネスは体に良い」というスローガンを掲げ、広告展開が始まりました。ギネスがイギリスの全国紙に広告を掲載、伝説のドラフトビールをイギリス中のパブやバーに持ち込むという快挙を成し遂げます。
ギネス社またギネスビールについてはコラムには書き切れないほどの歴史があります。
ぜひ、公式ウェブサイトで歴史をお感じください。
Guinness our story – https://www.guinness.com/en-gb/our-story/
クールなパッケージで新登場!Guinness Cold Brew Coffee Beer

ギネスのロゴデザインの中心にはハープがあります。なぜ、ハープがビールブランドのロゴに使われているのかご存知ですか?
これはトリニティ・カレッジ・ダブリン(大学)に保存されているオニールハープとして知られるハープです。このハープはアイルランド製ハープをベースにしています。そして、ギネスのシンボルマークとして1862年、ギネスの初めてのボトルラベルに使用され以来、ギネスの代名詞になりました。ちなみに、ギネス社は最初のラガーを「ハープ」と名付けています。1960年のことでした。

260年以上の歴史をもつギネスに新商品が誕生しました。その名はGuinness Cold Brew Coffee Beer。アメリカ先行発売で人気を博した後、いよいよイギリスで販売開始されました。

ビール缶やパッケージデザインにはコーヒーを思わせるブラウン色、ギネス黒ビールの黒、それらの色が液状で混ざり合ったものをバックにしています。その上にギネスのハープが金色で堂々と輝いています。缶もシルバーでなくゴールドでコーヒーのブラウンと良い相性です。
Guinness Cold Brew Coffee Beerを買う!
このビールはアルコール度4%、これはこれまでのギネスよりアルコール度が低くなっています。そしてコーヒーとナチュラルコーヒーフレイバーが入っています。

以下の3つが楽しめるビールになっています。
アロマ→ コーヒーやキャラメルのような甘い香り
見た目→ 濃い色でクリーミーな泡立ち
フレイバー→ 苦味と甘味のあるローストコーヒーとキャラメルの絶妙なバランス。口当たりはリッチ、スムーズ、クリーミーというバランス。特筆すべきはコーヒーの後味。


これを知るだけで美味しそう!
ちなみに、筆者はイギリスで剣道道場を運営しています。稽古の後に皆でパブに行くことを「第二道場」と呼びますが、この第二道場では必ずギネスを飲む身としては、この新商品を試さない訳にはいきません。
現在は大手スーパーTescoのみで販売、順次入手できるようになっていくということです。ということで、早速購入に至ったということになります。実際に飲むのがすごく楽しみです。
ちなみに、ダブリンにあるGuinness Storehouseでは、自分のギネスを一杯作る体験ができます。これは格別ですね。
缶ビールのパッケージは「6缶パック」で並んだ状態のビジュアルも設計する
ギネスの缶デザインを観察するとき、単缶だけでなく6缶パックのカートン(外箱)に収まった状態のビジュアルも重要です。スーパーやコンビニでは、単缶ではなくパックで購入されることが多く、カートンの「6面のうちどこが見えるか」がパッケージの設計条件に加わります。
個々の缶のデザインがいくら美しくても、カートンに収まった状態で「どの面が棚の正面に来るか」「カートンの側面にブランドロゴがあるか」が考慮されていないと、棚での視認性が落ちます。缶飲料のパッケージ設計は「缶単体」と「まとめ買いパッケージ」の両方を同時に設計する必要があるのです。
多くのメディアに取りあげられるGuinness Cold Brew Coffee Beer
さて、このニュースに多くのメディアが反応しています。
以下、いくつか紹介しましょう。
Metro
新商品の紹介、ギネスが何か新しいことに挑戦したいと熱望していると解説。
We tried Guinness Cold Brew Coffee Beer – this is our verdict
Evening Standard
“Guinness Cold Brew Coffee Beer taste test: It tastes like a punch in the mouth”
記事とともに、ギネス大好きなディビッドさんがイケてないグラスでこのギネスを飲んだりと、数人が感想を動画で楽しく話しています。
実は大多数が、、、NOの判定をくだしました。
黒ビールならギネス、Coffee Beerはイギリス人に受け入れられる?
発売から間もないGuinness Cold Brew Coffee Beerをいち早く紹介しました。
味については置いておくとしても、おいしそう!と思わせるパッケージデザインだと言えそうです。皆さんは日本で発売されたら試されますか?
参考:
・Guinness our story (https://www.guinness.com/en-gb/our-story/)
・Guinness Cold Brew Coffee Beer (https://www.guinness.com/en-gb/our-beers/guinness-cold-brew-coffee-beer/)
・DesignBridge (https://www.designbridge.com/work)
・BrandNew (https://www.underconsideration.com/brandnew/archives/new_logo_for_guinness_by_design_bridge.php)
・Guinness STOREHOUSE (https://www.guinness-storehouse.com/Content/pdf/archive-factsheets/advertising/harp_trademark.pdf)
・Guinness Storehouse Your face on a pint! (https://www.guinness-storehouse.com/en/the-stoutie)

<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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