イギリスではCadburyと言えばチョコレート、チョコレートと言えばCadbury。
チョコレート市場でそれほど大きな存在のCadburyは、200年近くもの間、イギリスの人たちに親しまれているブランドです。
このコラムでは、チョコレート好きな方のためにCadburyのヒストリーやイースターをターゲットにしたパッケージなどを紹介しましょう。
Cadbury Our Storyの紹介
Cadbury(キャドバリー)は老舗のお菓子メーカーです。その歴史は1824年、イングランド西ミッドランズのバーミンガムで始まりました。この時代はイギリスでは産業革命が起こっていた時期であり、様々な技術革新で世の中が変化していました。
このような背景の時代、バーミンガムの地で、ジョン・キャドバリー氏が食料品のお店をオープンさせます。キャドバリー氏は、自分で作るココアや飲料用のチョコレートを販売していました。そして、1831年にキャドバリーの製造事業がスタートします。
このように、チョコレートの歴史はまず飲み物として始まります。その後に固形の食べるタイプができたことから「Eating Chocolate(食べるチョコレート)」という言われ方があったそうですから意外ですね。
さて、”食べるチョコレート” を考案したのはジョセフ・フライ氏。フライ氏が経営するJ.S.Fry&Sonsによって1847年にチョコレートができたと言われています。そしてJ.S.Fry&Sonsが1919年、やはりイギリス大手としてのCadburyと合併します。Cadburyでは1831年に製造事業がスタートしていました。
このようにチョコレート自体の歴史に大きく関わってきたのがCadburyです。1854年にはイギリス王室御用達として認可され、現在はKraft Foodsに買収されています。
Cadburyの庶民的チョコレートの魅力
Cadburyと言えば、紫色のパッケージが特徴です。
1905年に発売されたデイリーミルクバー。それまでの板チョコよりもミルクの比率を高くし濃厚な味わいで高品質でしたが、これは息子のジョージが市場に出回るどんなチョコレートよりもミルクをたっぷり使うぞ!という思いで開発、これがヒットしました。
その後、様々な種類のチョコレートを開発、販売してきましたが、Creme eggsやFruit and Nutなど多くでヒットを飛ばしていきます。そして普段のチョコレートに加え、母の日なら薔薇の缶、クリスマス用のラインなど、年間を通してそれぞれのイベントにCadburyのギフトが人気になっていきました。
ちなみに、デイリーミルクバーは1936年までを考えると、なんとイギリスのミルクチョコレート市場の約6割を占めていたというほどです。
・Cadburyのミルクバーのパッケージ / MohamadFaizal – stock.adobe.com
このように、イギリスでチョコレートと言えばCadburyということをご想像していただけると思います。
そして今でも、どのスーパーマーケットでも、コーナーショップ(ちょっとしたコンビニのような小さなお店)、駅の売店や映画館などなど、チョコレートの棚にCadburyを見ないことはないほどの存在なのです。デイリーミルクバー(110g)で0.98ポンドですから日本円で約154円(2022年3月22日現在)と物価が上がっているこの時期でもリーズナブルに買うことができます。
・店頭に並ぶ商品パッケージ / color: #808080;”>Aisyaqilumar – stock.adobe.com
イースターもCadbury!
イギリスでクリスマスと同じで大切なイベントにイースターがあります。イースターとは、イエス・キリストの復活祭。春の訪れを祝う日でもあり、3月~4月に訪れます。この期間はあらゆるところにイースターエッグやひよこなどを飾ります。そして、スーパーマーケットにはチョコレートでできたイースターエッグが勢揃いします。
もちろん、Cadburyも毎年イースターエッグを販売しています。今年のデザインのひとつですが、Peter Rabbit(ピーターラビット)がエッグハントをしているようなとても可愛いパッケージになっています。
エッグハントとはイースターエッグを家や公園などにいくつも隠し、子どもたちがそれらを見つける遊びです。筆者はイギリスで剣道道場を運営していますが、今年はこのCadburyのイースターエッグを子ども達に用意しました。パッケージを見るだけで、子ども達の喜ぶ顔が浮かんできます。
Cadburyのパッケージデザインはデザイン会社Pearlfisher.が作成
イギリスを代表するチョコレートCadburyのパッケージは、独立系ブランドデザイン会社Pearlfisher.によってデザインされました。オーガニック製品を提供するBiona Organicを紹介しましたが、こちらもPearlfisher.です。
以下がPearlfisher.のCadburyに対するメッセージになります。
「もしも、数十年にも渡って築きあげてきたものが喜びより機能性を重視するようになってしまったら、どうやって魔法の成分を取り戻すことができるんだろう」
Pearlfisher.が考えた重要なポイントは「喜び」です。世界で間違いなくもっとも愛されるブランドであり、チョコレートが大好きな人々の心を掴んでいるCadbury。究極のチョコレートというアイコンとしての地位を維持し、クリエイティブなインスピレーションを与えつつ、喜びがあるというポイントを前面に押しだすことにしたということです。
イギリスの定番チョコレートCadbury
・Cadburyのロゴデザイン / “>chrisdorney – stock.adobe.com
ランチのおともに、ちょっとしたリラックスの時間に、Cadburyが大きな存在です。それは200年近くもの間、親しまれてきたブランド。Cadburyが誕生したバーミンガムにはチョコレートに関するアトラクションを備えた「Cadbury World」があります。工場見学やチョコレートにデコレーションをしたりなど、ここでもCadburyファンを魅了しています。
イギリス人のチョコレート好きにCadburyは欠かせない存在と言えるでしょう。
参考:
・Cadbury our story (https://www.cadbury.co.uk/our-story)
・Dandelion Chocolate (https://dandelionchocolate.jp/blogs/ourdays/624)
・Cadbury Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Cadbury)
・Pearlfisher. (https://www.pearlfisher.com/work/cadbury/)
<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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