
トニックウォーターを扱うFever-Tree。飲料界ではあるものの異なる分野にいた2人の創業者が出会い、人々のミキサーに対しての考えをくつがえすほどの功績をあげました。
その一役を担ったパッケージデザインを紹介します。
パッケージリニューアルの成功を数値で計測する方法を制作前に決めておく
パッケージデザインのリニューアルを行うとき、「どうなったら成功と判断するか」の基準を制作前に設定しておくことが非常に重要です。
多くの場合、「売上の増加」がリニューアルの目的ですが、売上は季節要因や競合の動きにも左右されるため、「パッケージリニューアルの効果」だけを切り分けて測定するのが難しい指標でもあります。
そこで実務的に使われるのが、「リニューアル前後で同一店舗の販売データを比較する」「リニューアル版と旧デザイン版を並行して限定エリアでテスト販売する」「消費者調査で棚での視認率や購入意向の変化を計測する」といった方法です。効果測定の方法を制作のスタート段階で決めておくと、リニューアル後に「変えて良かったのか?」を客観的に評価でき、次の改善にもつなげられます。
B&B社によるFever-Treeのパッケージリニューアル


lenscap50 – stock.adobe.com
Fever-Treeは高級感と透明感があるデザインがとても美しいのですが、このデザインはロンドンのB&B Studioによるもの。B&Bは独立系ブランディングエージェンシーです。特に、食品、飲料など、消費者に直結する商品の分野で高い評価を得ています。スタッフの1人デザインデイレクターは、食べ物や飲料のブランドなどを対象としたFAB Awardsという国際的なプログラムのパッケージデザイン部門にパネルとして関わっています。
B&B StudioによるFever-Treeのデザインをみてみましょう。シルバーをバックに、それぞれのフレイバーが異なる色でシリーズが表現されています。
トニックウォーターのフレイバーは以下のようなものがあります。
・Premium Indian Tonic Water
・Refreshingly Light Indian Tonic Water
・Mediterranean Tonic Water
・Elderflower Tonic Water
・Refreshingly Light Cucumber Tonic Water
・Aromatic Tonic Water
・Rhubarb & Raspberry Tonic Water
・Refreshingly Light Clementine Tonic Water
・Limited Edition Damson & Sloe Berry Tonic Water
他にもジンジャーミキサー、フレイバーソーダ、レモネード、コーラ&ソーダなど多種の飲み物が揃っています。


B&B StudioがFever-Treeのpデザインについて、どのように述べているか一部紹介します。
「Fever-Treeは ”飲み物の4分の3がミキサーであれば最高のものを使うのがベスト” という素晴らしいブランドプロミスを持ち、世界のトップレストラン10軒のうち9軒で採用されている。しかし、これまではインパクト、明快さ、一貫性の欠如という非効率なパッケージデザインによって損なわれていた。今回のリデザインは細部にまでこだわったマスタークラス。クラフト感、信頼感、調和をもたらすことで全世界の売り上げは前年比71.4%増となった。」
Evening Standardによれば、アメリカでSchweppes(シュウェップス)を抜き、トップのトニックウォーターブランドになったとあります。史上初めて、トニック大手を追い抜いた快挙になります。

・Schweppes(シュウェップス)のパッケージデザイン / Ralf – stock.adobe.com
Fever-Treeの創業者2人チャールズとティムの使命とは?

2003年、スタートしたFever-Tree。2人の創業者チャールズとティムはもともと、それぞれが飲料ビジネスの異なる分野で働いていました。この2人の想いは「If 3/4 of your drink is the mixer, mix with the best.」(飲み物の4分の3がミキサーであれば最高のものを使うのがベスト)に尽きます。高級な飲み物に関心が高まるのに、ミキサーが軽視されがちだという点に気づきがあったのです。この気づきによって、ミキサーに品質と風味、そして消費者に選択肢を与えるという使命が揺るぎないものになりました。
驚くほど違う3種類のジンジャーをみつけたことで、驚くほど深く新鮮で真の味のジンジャーエールやビールをつくり、最高級の天然素材を使ったレモネード、美しくシンプルなソーダ水などを提供しています。

ひとつ、武勇伝を紹介しましょう。
2005年発売になったPremium Indian Tonic Water。1年と半年という期間をかけて発売となりましたが、その期間はまさに冒険でした。大英図書館の書庫から、コンゴ民主共和国でのカラシニコフとの対決という荒々しい体験まで。Fever-Treeには妥協という文字が存在しないことが分かるストーリーです。
ベストを追求するために地球の果てまでもいくという信念を持ち、まだまだ地球の表面を削ったに過ぎないと、これからの可能性がエキサイティングだと言い切ります。
Fever-Treeの挑戦にも注目

Fever-Treeは様々な取り組みを続けています。
原材料の選定、主要サプライヤーとの直接取引、環境を考えペットボトルの不使用、新型コロナウイルスのパンデミック下では地元コミュニティへの支援などなど。将来にわたって持続可能なソリューションを模索し、サスティナビリティへのアプローチを支えるのは3つのルート(根)と5つのブランチ(枝)です。この取り組みはロゴに樹が使われていることに意味があるのかもしれません。
Fever-Treeはお店でも家庭でも
先日、友人と集まった地元の人気パブ。友人の1人がジンを頼んだのですがミキサーはFever-Treeでした。
バーやレストランで使うミキサーは家庭でも気軽に利用することができます。ウェブサイトにはカクテルの作り方や、ペアリングガイドなどの情報も豊富です。友人とのホームパーティにFever-Treeを用意すれば、美味しい飲み物と面白い話題が保証されるのではないでしょうか?
パッケージリニューアルの効果を「数値で計測する」仕組みを制作前に設計する
Fever-Treeの事例が参考になるのは、リニューアルの効果が「前年比71.4%増」という具体的な数値で語られている点です。この数値があることで、「パッケージを変えたら本当に売上が変わるのか?」という問いに明確な答えが出ています。
パッケージリニューアルを行う際、制作前に「何をもって成功と判断するか」の計測方法を決めておくことが重要です。同一店舗の販売データ比較、リニューアル版と旧版の並行テスト販売、消費者調査での購入意向の変化など。効果測定の設計がなければ、リニューアル後に「変えて良かったのか?」が検証できず、次の改善にもつなげられません。
参考:
・Fever-tree
https://fever-tree.com/en_GB
https://en.wikipedia.org/wiki/Fever-Tree
・B&B (https://www.bandb-studio.co.uk/our-work/fever-tree)
・Evening Standard (https://www.standard.co.uk/business/fever-tree-us-sales-schweppes-tonic-water-brand-ginger-beer-b979050.html)

<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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