
今回のコラムでは、美味しいヨーグルトを提供する2つのブランドを紹介します。
ひとつが「Rachel’s Organic」、そしてもうひとつが「Yeo Valley Organic」。2ブランドには共通点があります。どちらもオーガニックにこだわり、パッケージは地球のことを考えたデザインになっています。
さっそく、ご紹介しましょう。
2つのオーガニックヨーグルトブランドを比較して見えてくる「同じ市場・違うアプローチ」
Rachel’s OrganicとYeo Valley Organicは同じオーガニックヨーグルト市場で競合していますが、パッケージのアプローチは異なります。この2ブランドを並べて観察すると、「同じターゲット層に対して、異なるビジュアル戦略で差別化を図っている」ことがわかります。
競合分析の実務では、同じカテゴリーの競合商品のパッケージを棚に並べて比較し、「共通して守っているルール(カテゴリーの慣習)」と「それぞれが独自に主張している要素(差別化ポイント)」を整理します。共通ルールを無視すると消費者に「このカテゴリーの商品だ」と認識されにくくなり、差別化がなければ棚で埋もれます。この2ブランドの比較は、「ルールの中での差別化」の好例です。
Rachel’s Organicのストーリー

・Rachel’s Organicのパッケージデザイン
祖母べシー、母ダイナ、そして娘レイチェルと3世代にわたって乳製品をつくってきたRachel’s Organicのヒストリーは1900年、西ウェールズで始まります。
べシーは夫とともに小さな農場を始め、1939年には娘のダイナが引き継ぎます。ダイナは第二次世界大戦中に農場を購入、自然な方法だけを用いた有機農業の基礎を築きます。そして1952年、ダイナは土壌教会の創設メンバーとなります。1966年、おばあちゃん、お母さんと代々築いてきた酪農はレイチェルにもしっかり受け継がれました。現代では多くの製品がオーガニックとして私たちの手元に届きますが、今から約50年前の1973年、レイチェルはすでにオーガニック認定を受けています。

1984年、レイチェルがおばあちゃんべシーのレシピを使い、最初のヨーグルトを作ります。その後は、イギリス大手の各スーパーマーケットでレイチェルの製品が取り扱われるようになっていったのです。
女性3代が乳製品づくりに携わってきたイメージは、以下のRachel’s Organicウェブサイトの短い動画で感じることができます。
Yeo Valley Organicのストーリー

・Yeo Valley Organicのパッケージデザイン
今回のコラムは2つのブランドを取りあげています。2つ目はYeo Valley Organicです。
1994年にイングランドのサマーセットで設立され様々な乳製品を提供しているYeo Valley Organic、英国最大のオーガニックブランドと言われています。ヨーグルトブランドとしては、Yeo Valley Organicはイギリスで3番目に大きなブランドです。

オーナーはその歴史を15世紀にまで遡るミード家、サマーセットに2,000エーカーの土地を持ち、その土地は英国産の牛を育て、2つの有機農場、そしてYeo Valley Organic Gardenのために使われています。Yeo Valley Organic Gardenはイギリス国内で唯一オーガニック認証を受けた観賞用庭園で、多くの人が訪れています。
Rachel’s OrganicとYeo Valleyのヨーグルト
どちらもオーガニックブランドであり、製品の作り方に大きなこだわりを持ち続けています。

Rachel’s Organicは、美味しい乳製品は最高の自然から生まれると信じ、ヨーグルトづくりは英国の牛乳のみを使用し、西ウェールズで有機牛乳と有機果実を使って製造しています。
結果、数々の賞を受賞しています。例えば、YouGov(データ収集と分析を専門とする世論調査機関)の2007年の調査ではイギリスで最も環境に優しいブランドと認められ、2010年にはDairy produce categoryで8つもの賞を獲得といった実績とともに、Wholemilk gooseberry yogurtでも同年、金賞を受賞しています。
写真は”Greek Style Ginger”ですが、なめらかで美味しいヨーグルトの中に生姜の粒がたくさん入っています。生姜のピリリとしたパンチが効いていて美味、筆者もよく購入しています。
Yeo Valley Organicは、50年以上にわたってすべての牛を自分たちで育て、牛たちを家族と考え、それぞれに名前をつけ家系図さえ持っています。牛、土壌、放牧すべてが考慮され、高い基準を維持しています。
共同創業者メアリーは2012年に持続可能な酪農への貢献としてOBE(大英帝国勲章)、2015年には王女殿下から英国酪農家協会の王女賞が与えられました。
ヨーグルトはとても軽くふわふわで甘さもちょうどよく、毎日食べられるものとしてこちらも筆者のお気に入りです。
Rachel’s OrganicとYeo Valley Organicのエコなパッケージデザイン

酪農が盛んな英国で、長きに渡って高品質の乳製品を提供している2ブランド。パッケージのスタイルも共通するものがあります。薄めのプラスチックの容器に紙が巻かれている形でリサイクルを大いに意識しています。こういったプロダクトデザインをベースにどのようなパッケージデザインになっているか紹介しましょう。
Rachel’s Organic
2019年にパッケージデザインのリニューアルが行なわれました。
新しいデザインはブランドの特徴である白地ベースにやや上部に入る黒の帯をそのままに、それまでもよりクラフト感のあるものとなっています。Rachel’s Organicのナチュラルでオーガニックである信頼性を強く打ち出します。オーガニックという文字が追加され、乳製品売り場で買える良質のヨーグルトということを保証しています。
Yeo Valley Organic
手書きのようなハートにYeo Valley Organicが入り、とてもキュートです。薄手のプラスチックは完全にリサイクル可能であり、ヨーグルトを食べ終えた後は紙を取りはずすと、リサイクルのことやヨーグルトを使ったレシピが載っています。各商品には”Yeoken”と呼ばれるポイントがパッケージ上についています。美味しいものを食べて集めたポイントはイベント参加やチャリティに寄付などいくつもの使い道が用意されています。



信頼のおけるヨーグルト2ブランドでエコに協力
美味しいものを食べるからには、そのパッケージが魅力のあるものであることはもちろん、食べ終わった後にどうリサイクルできるかがこれからさらに大切になっていくのではないでしょうか?
どちらも食べて美味しく、地球を考えたパッケージということで安心感がまた嬉しいブランドです。
「エコなパッケージ」であることを視覚的にどう伝えるかの設計
両ブランドが共通して取り組んでいる「エコなパッケージ」は、素材の選択(リサイクル可能な容器、植物由来のインク等)だけでなく、「エコであることが消費者に視覚的に伝わる」設計が施されています。
パッケージがエコ素材で作られていても、見た目が通常のプラスチック容器と同じでは、消費者は「エコである」ことに気づきません。クラフト紙のような質感を持たせる、容器の一部に未漂白の素材を使う、リサイクルマークを目立つ位置に配置する。「エコであること」をデザイン言語として可視化することで、環境配慮に価値を感じる消費者の共感を得られます。
参考:
・Rachel’s Organic
https://www.rachelsorganic.co.uk / https://en.wikipedia.org/wiki/Rachel%27s_Organic
・Yeo Valley Organic
https://www.yeovalley.co.uk / https://en.wikipedia.org/wiki/Yeo_Valley_(company)
・PackagingNews (https://www.packagingnews.co.uk/design/new-packs/rachels-brings-organic-heritage-fore-major-brand-refresh-18-02-2019)

<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。
※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。
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