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Doves Farmのパッケージデザイン

小麦粉のDoves Farm 〜 リノリウム版画風アイコンが可愛い紙パッケージデザイン


小麦

Doves Farmのパッケージをみるだけで、手づくりの楽しさが倍増します。鮮やかだけれど温かみのある色彩、手で触ったときの紙の懐かしい手触り。

このコラムでは、リノリウム版画のようなアイコンが可愛いDoves Farmのパッケージをみていきましょう。

Doves Farmのリノリウム版画風アイコンが「手仕事の温かみ」を伝える仕組み

Doves Farmのパッケージに使われているリノリウム版画風のアイコンは、均一な線ではなく「版を彫って刷った」ような不均一な線の質感を持っています。この「手仕事の痕跡が見える」アイコンが、ブランドの「丁寧に作っている」メッセージと一致しています。

デジタルで作られたベクターのアイコンは精密ですが、「機械的」「大量生産的」な印象を伴います。版画風のアイコンは精密さでは劣りますが、「人の手で作られた」「少量生産で丁寧」という印象を自然に伝えます。アイコンの制作手法の選択は、ブランドのメッセージと一致しているかどうかで判断するのが適切です。

 

Doves Farmとは?

Doves Farmは1977年に、クレアとマイケルが最初の種を撒いたときに始まりました。2人は自分たちが育てた穀物から高品質の小麦粉をつくるという考えのもと、石臼を手に入れ全粒粉の製粉を開始したのです。

近年は健康を考えるとき、白米や白砂糖など白いものが体によくないということがよく言われます。クレアとマイケルにとって気になったのはパンでした。イギリスではスープにサラダとパンがついたランチなどでも、white breadとbrown breadのどちらかを選ぶようになっていることが多くあります。そんな時、白いパンよりも茶色をした全粒粉パンを選ぶ人がいます。全粒粉とは、お米で言うなら玄米のようなもので、小麦粉についている胚乳、外皮、胚芽を除かずに粉にした小麦粉の一種です。

健康にも素晴らしく美味しい有機全粒粉パンを家庭のキッチンで作れるようにと、クレアとマイケルの長い旅が始まりました。

 

Doves Farmの小麦粉はラインナップがたくさん

Doves Farmのパッケージデザイン

Doves Farmのウェブサイトにいくと、まず目に入るのがDoves Farmのセルフレイジングの袋と美味しそうなヴィクトリアンケーキ。イギリスのコテージタイプの家で、木のダイニングテーブルにライナーとしてのリネンの布がひかれた上に置かれています。ケーキの向こう側には紅茶とティーポットも。これが至福のときと呼ばずに何と言えるでしょう。

Doves Farmのパッケージデザイン2

Doves Farmの商品にはベジタリアン、ヴィーガン、コーシャー(ユダヤ教の慣習に従ったもの)、オーガニック、全粒、石臼びきから選べる小麦粉、またグルテンフリー、ミルクフリー、ピーナッツフリー、卵フリー、大豆フリー、小麦フリーなどが揃っています。

小麦粉のブランドで小麦粉が入っていないとはどういうこと?と思われた方もいるでしょう。この場合は、ライ麦、ココナッツ、オーツ麦、テフ(植物)、キノアなどがあります。写真のように、ひよこ豆(chickpea)まであるので面白いですね。このように幾つもあるので、焼くパンのタイプによって使い分けすることができます。

小麦粉のパッケージデザイン

ダイジェスティブビスケットも全粒小麦で作られていて美味しいです。薄くて噛めば噛むほど味わいが深く、紅茶やコーヒーのおともに最適です。

ダイジェスティブビスケットのパッケージデザイン

これらの商品はいくつもの賞を受賞しています。

Great Taste Awards 2018では7つの商品が受賞、FreeFrom Food Awards 2018では金賞を2つ、ブロンズを1つ、他にも賞を獲得しています。

クレアとマイケルが最初の種を撒いたときから始まった小麦粉づくり。

Doves Farmのウェブサイトには、パンづくりや小麦粉のタイプについての説明をしたページがあって興味のある人には参考になります。

 

Doves FarmのパッケージはStudio hがデザイン

温かみのある色彩の紙のパッケージデザイン

これらの様々な商品は、鮮やかだけれど温かみのある色彩の紙のパッケージで包まれています。しなしなといった手触りのある紙のパッケージは、それだけで過剰包装とは無縁ということが言えます。

パッケージデザインはAward-winningブティックデザインスタジオStudio hによるものです。ロンドンベースのStudio hは、様々な穀物や種子からつくられたユニークな個性をもつオーガニックの小麦粉のパッケージを現代風にアレンジすることを任されました。リデザインのポイントはオーガニックを”日常の選択肢”にすることです。それぞれが楽しいパッケージになっているのは色づかい、そして穀物がリノリウム版画風のイラストアイコンになっているところです。

ちなみに、リノリウム版画とはリノリウムを版材にする版画で、木版と同じ彫り方をします。

素朴なイラストはHilke MacIntyre氏によるものです。ドイツ生まれですが、1996年にスコットランドに移住しました。リノカットや絵画などを専門とし、プリミティブアートや現代デザイン、自然からインスピレーションを受けています。

自分で選んだ小麦粉でパンを焼く楽しみ

家でパンづくりをする人が増えました。小麦粉を自分で選ぶのは当たり前ですが、どのくらい小麦粉について知っているのでしょうか?小麦粉でオーガニックのイメージはあまりないかもしれません。

Doves Farmの小麦粉は保存料や人工成分を加えることなく製粉されます。素朴な小麦粉は、実は厳重に管理されたシステムによって作られています。オーガニックの小麦粉を選ぶということは、でき立てのパンが畑からオーブンまでどのような経路をたどってきたのか、自分で選んでいるという意味をもつものでもあるのです。

Doves Farmの小麦粉なら選ぶ価値は間違いなくあり、その上で紙の可愛いパッケージが日常のキッチン空間をご機嫌なものにしてくれるかもしれません。

「紙パッケージ」が伝える環境配慮のメッセージは素材そのものが語っている

Doves Farmのパッケージが紙素材を採用していることは、「環境に配慮しています」と文字で書かなくても、素材そのものがそのメッセージを伝えています。消費者は紙袋を手にした瞬間に「プラスチックではなく紙を選んでいる」という判断を読み取ります。

パッケージの「素材の選択」は、デザインの一部です。同じグラフィックでも、プラスチック袋、紙袋、布袋、アルミ缶のどれに印刷するかで伝わるメッセージが変わります。素材は「中身を入れるための入れ物」であると同時に、「ブランドの価値観を無言で伝えるメッセージ」でもある。この認識があるかどうかで、パッケージ設計の思考範囲が変わります。

参考:
Doves Farm (https://www.dovesfarm.co.uk)
Packaging of the world (https://packagingoftheworld.com/2020/10/doves-farm.html)
Studio h (http://studioh.co.uk)


<プロフィール> ビスコム
ロンドン在住ライター。イギリスに住み、さらに強くなったデザインやアートへの興味をライティングに活かす。インテリアにも食指が動き、Edward BulmerやWilliam Morrisのセンスに憧れる。剣道道場運営やボランティア活動も行ない、バランスのとれた在英生活を満喫中。

 

※掲載商品・パッケージ等のデザインは当サービスの制作実績ではありません。


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この記事について

執筆: ASOBOAD編集部

デザインの潮流や作例調査をもとに記事制作・編集を行っています。

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