シンプルなロゴはタイムレスで、流行に左右されにくいため、長きに渡ってリニューアルを必要としないデザインと言えるかもしれません。今回はそんなシンプルで魅力的なロゴたちを、ポーランドのデザイナーKamila Figura さんの制作例よりご紹介したいと思います。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Kamila!)
事業のイメージをロゴマークで伝える
こちらは法律事務所のロゴマークです。法律事務所のロゴマークというと、硬い印象があるのでクラシカルなフォントや、エンブレム調のシンボルマークをイメージすることが多いと思います。
こちらはそのようなイメージとはまた違ったものになっており、シンプルなフォントを使ったロゴタイプとシンボルマークが、モダンな印象を与えるものになっています。頭文字を利用したシンボルマークはロゴデザインとしては定番ですが、こちらのものは敢えて線の数を減らすことでよりシャープな印象を持たせており、昔ながらの重々しいクラシカルなロゴマークに比べると、気軽に相談ができ、最新の犯罪や法律にも詳しそうなイメージを与えてくれます。
このように、企業や事業としてお客様から「どのように見られたいか?」というのをロゴマークから感じてもらうことは十分に出来ると思います。
幾何学図形が目を引くロゴマーク
Logo designed with Hanna Sitarz
こちらのロゴマークは歯科医院のものになります。1番の特徴は多角形を重ねた抽象的なデザインのシンボルマークです。歯の形にも見えます。
抽象的なロゴマークは、「何が描いてあるのかな?」と思わせることで目が止まり、興味を持ってもらえるという良い点と、「何が描いてあるかわからない。」とスルーされてしまう可能性の悪い点もあり、難しい題材と言えます。しかし、こちらは抽象画としてのバランスが丁度良く描かれた良いロゴ制作例だと思います。敢えてはっきりとしたデザインにしないことで、他にはない印象を残すことが出来ています。
カラーリングは歯科医院らしい清潔感のある淡いトーンのブルーが印象的に使われています。ロゴタイプのデザインでは「Dental」と「Labの間にスペースは敢えて設けず、フォントの種類やカラーリングで単語を分ける手法を使っています。同じカラーやフォントで書いてあるものに比べ、程良くアクセントになっています。
シンボルマークとフォントにアクセントを持たせたロゴマーク
Logo designed with Hanna Sitarz
こちらも歯科医院のロゴマークになります。先ほどのものよりはっきりとした図案ですが、歯にも見えて変形した文字のようにも見えるやや抽象的なシンボルマークになります。シンボルマークの一部と「H」の一部が欠けた、共通のデザインになっているのが印象に残りますね。
ロゴタイプでは、「HAL」と「DENT」のフォントを違うものにすることで変化をつけています。この手法はロゴマークに大きな変化はいらないけど、ちょっと面白みを出したい時にとても有効だと思います。
シンプルでコンセプトが強く伝わるロゴデザイン
こちらはオーガニックフードのお店のロゴマークです。まずグリーン単色というのが潔く、「ナチュラル」や「オーガニック」などのコンセプトをわかり易く象徴しています。そして植物の葉をシンボルマークにしたことも、一貫してコンセプトに沿ったデザインになっていますね。
このようにコンセプトや伝えたいターゲットが明確な事業の場合は、敢えて色数やデザインをシンプルにすることで、メッセージ性の強いロゴマークになっています。伝えたいことや想いが、ぶれているとロゴマークに沢山の情報を詰めようと複雑になってしまい、伝わり辛いものになってしまうことがありますので、シンプルで何を伝えたいのかがわかり易いマークというのは、ロゴデザインとしての完成度が高いと思います。
やさしく落ち着いた印象のロゴマーク
こちらは本屋のロゴマークになります。本屋もクラシカルなロゴデザインの場合が多いですが、こちらはミニマムなデザインになっておりモダンな印象です。取り扱う本も写真集などが中心のようで、ロゴマークからもオシャレな雰囲気が良く伝わってきます。
シンボルマークは、お店の「YY」の頭文字と本のモチーフが、上手く調和したデザインになっています。線の角と終わりを丸く表現することや細めの線を使用することで、柔らかい印象になっているので、女性のお客様も好みそうなロゴマークです。線の角が有るか無いか?線が太いか細いか?で印象は大きく変わるものです。カラーは明るめのグリーンをしており、落ち着いた色使いは本屋としてぴったりだと思います。
シンボルマークに言葉の意味をデザインしたロゴマーク
Logo designed in Iteo
こちらはスマートフォンアプリケーションのロゴマークになります。アプリケーション名の「SPLITは「割れ目」という意味ですが、頭文字の「S」を使ったシンボルマークに、「割れ目」が入ったようなデザインになっています。
このような言葉の意味をそのままダイレクトにデザインに落とし込んだものは、視覚的に意味が伝わってくるので、とてもわかり易いデザインになりますね。さらにこちらのシンボルマークには「Sの周りにサークルのデザインがありますが、このように文字やシンボルマークを丸、四角、三角などの図案で囲うのもロゴマークでは良くあるデザインのパターンになります。囲うことにより汎用性が上がるデザインもあるので、中にデザインされたシンボルマークとのバランスを考えながら決めると良いと思います。
カラーは暖色系のグラデーションカラーになっています。ロゴマークではベタ塗りのものも多いですが、グラデーションカラーも表現の幅が有って面白いですね。
文字の重複をデザインとしたロゴマーク
こちらはサッカー観戦のチケット販売サイトのロゴマークです。名称は「Ticket Taka」でTicketの最後の「t」とTakaの最初の「T」を重ねてサッカーのユニフォームの様に見せたデザインです。
頭文字をシンボルマークとして使い、ロゴタイプの頭の部分にシンボルマークを配置することは多いですが、こちらのように文字列の中ほどにシンボルマークを入れ込んだデザインは珍しく、面白いロゴマークだと思います。カラーはレッドとブルーを文字に使い、背景色のホワイトも入れるとトリコロールカラーになっており、デザイン制作ではよく使われる好配色になっています。
ターゲットに好まれるロゴデザイン
こちらは健康とライフスタイルを題材にしたブログのロゴマークです。健康とライフスタイルと一口に言っても、食事、運動、睡眠、医療など様々な側面がありますが、こちらのロゴマークから読み取れるのは、フォークとナイフをモチーフにしていることから、健康的な食事を1番に伝えていると思います。
そしてこちらのロゴマークの良いところは、「どのターゲットに訴えかけたいのか?」がとてもわかり易いです。ターゲットとしているのは若い女性かと思います。フォークとナイフのモチーフを使ったハートマークが可愛らしく、線の終わりと角を丸く仕上げることで、より女性らしいロゴマークになっています。カラーもターゲットに合わせた、ピンク系の淡いカラーがロゴマークの可愛らしさと調和が取れていて素晴らしと思います。
ターゲットを絞り込んだロゴマークは、ターゲットには好まれ易いですが、その分ターゲット外の人達からは敬遠されがちなので、良い側面と悪い側面、両方考えた上でロゴ制作に取り組むのが大切かと思います。
汎用性の高い、頭文字を利用したシンボルマーク
Logo designed with Hanna Sitarz
こちらは溶接を行う企業のロゴマークになります。火花をイメージしたシンボルマークと頭文字の「C」を合わせたロゴマークです。このように「火花」など、仕事のイメージを象徴するモチーフをロゴデザインの中に取り込むと、フォントのデザインのみで構成されたロゴマークよりも、オリジナリティの高いロゴマークになると思います。
こちらのロゴマークは、シンボルマークのみで見てみると、文字の「C」は火花のデザインに溶け込んで、抽象的な面白いマークに見えますね。このような頭文字をシンボルマークに使う場合は、ロゴタイプの頭文字として使うことも、単体でシンボルマークとして使うこともし易いので汎用性が高いのが特徴です。
フリーハンド風の親しみやすいロゴマーク
こちらは移動販売のドーナツ屋さんのロゴマークです。店舗名に筆記体を使用し、文字の周りをフリーハンド風のサークルで囲っています。筆記体とフリーハンドのバランスがカジュアルさを醸し出して親しみやすいですね。カラーはカラフルな多色使いで、「可愛さ」「楽しさ」などが伝わりドーナッツ屋さんとして好印象なロゴマークになっていると思います。
フリーハンド風のサークルは、お店の外装やロゴマークのアレンジでも多用されているようで、ロゴマークを柄として生かしているのは面白いところだと思います。
色味や形や大きさなど、全てが大切
こちらはホテルのロゴマークになります。NEW WAVEの直訳は「前衛的」という意味合いになりますが、WAVEの「波」に掛けて頭文字の「N」「W」が波のように描かれているロゴマークになっています。上段のシンボルマークと下段のロゴタイプの大きさですが、横幅が同幅で仕上げてあるのでとても収まりの良いデザインになっています。
さらに単色でシンプルな表現になっているところなども、モダンで大人な印象を受けますので、こちらのホテルの印象にぴったりと合っているロゴマークだと思います。もしこれと同じデザインでも、シンボルマークやロゴタイプの幅や大きさのバランスが違うものだったり、配色が違うだけでも、印象が大きく変化するのはロゴマークの面白いところです。
キャンペーンにも効果的なロゴデザイン
Logo designed with Hanna Sitarz
こちらは家具屋さんのSUMMER OUTLET SALEキャンペーン用のロゴマークになります。キャンペーン一つにもしっかりとロゴデザインを作るあたりは、そのキャンペーンへの気合いの入り方を感じさせますね。お客様に効果的にメッセージを伝えるのに、ロゴマークは大変有効なのでキャンペーンにも最適です。
キャンペーンは伝えたいメッセージがはっきりしているので、本来色はレッドやイエローなどの注意を引く色味にすることが一般的ですが、こちらのロゴマークは敢えて水色の涼しそうな色を使うことで、媚びていないオシャレな雰囲気が出ていて好印象ですね。
デザインは、「SUMMER」の「M」の重なりを利用したシンボルマークとなっています。そしてこのロゴマークには「SUMMER」と「OUTLET SALE」の間に直線が引かれていますが、この直線もデザインの1つで、線があることで整理された印象になっています。
シンボルマークとロゴタイプを兼ねたデザインのロゴマーク
Logo designed in Iteo
トラベル関係のアプリのロゴマークになります。名称は「fru!」と言うものですが、最初の「f」と最後の「!」が括弧のようにデザインされているのが斬新ですね。ロゴマークを少し斜めにしてあるのも、さりげないですが変化がついて効果的です。名称が短いので上手くシンボルマークとロゴタイプの両方を、一つで兼ねたデザインとなっています。
シンプルの強さ、1文字のロゴマーク
Logo redesigned in Iteo
こちらはアプリ制作会社のロゴマークになります。ロゴタイプはデジタルな印象のあるフォントを使用し、シンプルな小文字で仕上げています。シンボルマークは潔く社名の頭文字「i」を使ったものです。Apple社のりんごマークや、Softbank社のイコールマークなど、皆が認知し易いシンプルなロゴマークには力強さを感じます。使用カラーのオレンジも、視認性の高い色なのでシンプルなロゴマークと相まってとても印象的だと思います。
シンプルなロゴマークの難しい点は、似たようなロゴマークを他の企業などで使っている可能性が高い点です。せっかくブランドとして確立をさせて行きたいロゴマークなので、その辺りは注意してリサーチした上で決めるのが良いと思います。
バランスの良いロゴマーク
こちらは広告代理店のロゴマークになります。シンボルマークは、「R」を表したようにも見える、三角形に1本ラインが入ったデザインです。線の角のデザインを変化させており、凝った形状が特徴的ですね。落ち着いた色合いの2トーンも信頼性を大切にする企業では、派手なものより好印象です。ロゴタイプは太目の線で下に重心があるようなフォントです。ずっしりとした印象があります。
シンボルマークとロゴタイプの配置ですが、形状や線の太さなど様々な要素により配置する場所の相性が変わります。こちらはシンボルマークを中心にして、下にロゴタイプを並べた配置がとても良いバランスだと思います。
凝ったデザインのシンボルマーク
Logo designed in Iteo
こちらは英語学習系のアプリのロゴマークになります。名称の中の「E」と「Q」を合わせたデザインになっています。カラーを分けることで2文字入っていることを表したデザインですね。中の横線と斜め線は下に影のようなデザインを入れることでグッと立体感が生まれています。さり気なくサークルの色分け部分も重なりが反対になっていてとても凝っています。時計のようにも見えてとても面白いシンボルマークだと思います。ロゴタイプの方も、丸みのある親しみやすいフォントで、シンボルマークの色分けと合わせた配色となっています。
Designer : Kamila Figura (Poland)
Kamila Figura https://www.behance.net/KamilaFigura
Hanna Sitarz https://www.behance.net/hannasitarz
Iteo http://iteo.co
・この記事は制作者に許諾を得て掲載しています。
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