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昇華転写印刷について

昇華転写印刷とは?仕組み・特徴・用途(Tシャツ / ポリエステル)をわかりやすく解説


昇華転写印刷について

昇華転写印刷とは?

昇華(しょうか)転写印刷は、熱を加えることで染料インクを気化させて布地を染める手法です。まず、コンピューターで作成したイメージを、昇華型プリンターで転写用紙に印刷します。用紙には反転したイメージが印刷されます。用紙を布地に密着させ、熱を加えてイメージを布地に転写します。

布地の場合、ポリエステル素材へ印刷すると、発色がよく鮮明です。写真やイラストも布地に転写できます。パソコンと昇華型プリンター、プレス機をそろえれば、小規模事業所でも昇華転写印刷でオリジナルグッズが製作可能です。デザインTシャツやプリント生地の作成に利用されています。

昇華転写印刷は、布地以外にポリエステル素材のマグカップなどにも利用されています。陶器や金属、ガラスなどの素材でも、表面をポリエステルでコーティングすることで、イメージを転写できます。

昇華転写方式は、ドットごとにインクの濃度を256段階で調整できるため、美しい階調表現を特徴としています。デジタルカメラやビデオカメラの専用小型プリンター、いわゆるフォトプリンターの多くは昇華転写方式です。

1950年代にフランスで考案

染料が高温で昇華しやすいことを、フランスのNoël de Plasseが1957年に発見しました。この発見に基づいて、Sublistatis SA社が昇華転写技法を事業化します。

1960年代後期から70年代初期にかけては、染料を塗ったテープを使ったアナログ的な方法で転写用紙に印刷されていました。

1970年代の中頃に、米国のジェット推進研究所のWes Hoekstraが初のコンピューター制御による画像昇華システムを開発します。これによって、Hoekstraは、デジタルイメージによる昇華印刷の父とされています。

1981年に、世界初の電子スチルカメラ「マビカ」をソニーが開発します。そのマビカ用の出力機として、1986年に昇華転写方式のプリンターが製品化されました。

1990年代の終わりから2000年代にかけて、テキスタイルの世界でデジタル印刷技術が急速に進歩します。また、インクジェット印刷技術を活用した昇華転写印刷が広まって、現在に至ります。

 

熱で染料を気体にして布地を染める

昇華印刷

ポリエステルの布地に、イメージを印刷した転写用紙をあてて、プレス機で熱を加えると、転写用紙の染料インクが気化します。同時に、ポリエステルのポリマー(分子が連なったもの)にも熱によって、一時的にすき間ができます。そこへ染料インクの気体が入り込んで、繊維のなかに拡散することで、布地が染められます。

昇華型プリンターには、昇華インクを印字方法の違いによって、リボン、インクジェット、レーザーの3タイプに分けられます。

昇華リボン(昇華インクを塗ったリボン)を使うタイプは、インク濃度のコントロール精度が比較的高く、フォトプリンターなどがリボンタイプです。初期の昇華転写プリンターは、このタイプでした。

インクジェットタイプでは昇華インクを使います。プリンターの機構は一般的なインクジェットプリンターと同じです。高品位な階調表現ができるので、写真もきれいに転写できます。

ピエゾヘッド方式のインクジェットプリンターの場合、インクカートリッジを昇華インクに付け替えるだけで昇華転写印刷に使えます。業務用の大型なプリンターでは、プリント生地や、のぼり、バナーなどの印刷が可能です。

昇華トナーを使ったレーザープリンターは、階調表現ではインクジェットプリンターにはかないませんが、印刷速度の速さやトナーの保存期間などが長所です。色の濃い布地にも印刷できる点も大きな違いです。白トナーが使える機種もあります。

 

実際は昇華ではなかった「昇華転写」

物質は、温度や圧力など環境によって、固体・液体・気体のいずれかの状態になります。たとえば、温度が上昇すると、氷(固体)は水(液体)になり、さらに温度が上がると水蒸気(気体)になります。物質や条件によっては、途中で液体にならずに、固体からダイレクトに気体に変わる場合があります。これを「昇華」といいます。常温で昇華するものに、ドライアイス(二酸化炭素の固体)やナフタレンなどがあります。

染料に熱を加えると気化することが発見された当初、染料が固体から気体に「昇華」していると考えられました。そのため、「染料昇華(dye-sublimation)」と名付けられます。その後、液化を経て気化していることがわかったので、「染料拡散(dye-diffusion)」と呼び方が変えられました。しかし、一部の専門的な領域以外では定着せず、いまでも一般には「染料拡散」の代わりに「昇華」が使われています。


【参考資料】
Dye-sublimation printing – Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Dye-sublimation_printing)
Brief History of Dye Sublimation Printing by Dr Justin Hayward, Cambridge Investment Research (https://www.linkedin.com/pulse/brief-history-dye-sublimation-printing-dr-justin-hayward-hayward/)
サーマルプリンター – Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/サーマルプリンター)

 

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執筆: ASOBOAD編集部

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