
ブラジルのグラフィックデザイナー Aroldo Sanson(AS Design) 氏は、ブラジル国内を中心にさまざまな業種のロゴデザインを手掛けています。そのデザインスタイルには片寄りがなく、ブランドが表現したいコンセプトの形を的確にあらわし、それに見合ったフォルムでロゴデザインを仕上げています。オールラウンダーと呼ぶにふさわしい Aroldo Sanson 氏の作品を8点ピックアップしてご紹介していきます。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Aroldo ! )
8つのロゴを並べて見えてくる「ロゴの構造パターン」の分類
8つのロゴを一度に観察できるこの事例集は、ロゴの「構造パターン」を分類する格好の教材です。「文字だけのワードマーク」「図形だけのシンボルマーク」「文字と図形の組み合わせ」「文字の一部が図形に変形したもの」。
8つの中にどのパターンが何個含まれているかを数えると、そのデザイナーの「得意な構造パターン」が見えてきます。自分のポートフォリオでも同様の分析をすると、「自分はワードマークばかり作っている」「シンボルマークの経験が少ない」など、自分の強みと弱みが客観的に把握できます。
アンテナ施工のプロ「ADM PRO」の企業ロゴデザイン

濃いブルーは信頼や知性を、グリーンは安定感のある技術や鮮やかに発色する様から電気的なイメージも感じさせます。「ADM PRO」は、テレビ用のアンテナを専門に扱うブランド。チェックボックスのようなフォルムを持つシンボルマークは、テレビのモニターをモチーフに作られています。ロゴタイプのメリハリの効いた書体使いからも、プロによる無駄のない仕事ぶりを想像させます。
注文家具の製造販売「RECH」のロゴデザイン

清潔感と高い品質をコンセプトに制作された企業ロゴデザイン。顧客の希望に合わせ、寸法から形、色、機能などすべてをカスタムメイドで製作販売するオーダー家具。高い技術力が求められ、同時に、好感を持ってもらうためには清潔感も必要です。さわやかなブルーで形作られたシンボルマークは、パズルのピースのような無限の創造力を意味しています。
カーショップ「OPEN DAY」のロゴデザイン

カーメンテナンスを行う「OPEN DAY」。全体を車のエンブレムに見立て、伸びやかなスクリプト書体でロゴタイプをデザインしています。

「D」を中心に文字同士が結びつき、一つの絵のように描かれています。
ビュッフェレストラン「BONFANTI」のロゴデザイン

バイキング式レストラン「Bonfanti」のロゴデザインです。できたての手作り料理が並ぶレストランに相応しく、幸せを感じる温かなピンクの地色が印象的。レードルのイラストから立ち上る湯気や、可愛らしいハートマークが「美味しい料理を美味しいうちに召し上がれ」というお店の気持ちを代弁しているようです。
栄養士「EVELINI BATTIPAGLIA」のロゴデザイン

ブラジルの女性栄養士「EVELINI BATTIPAGLIA」のロゴデザインです。シンボルマークになっているのは輪切りにしたリンゴ。横向きにこちらを向いたリンゴの絵は、リンゴである上に、栄養士「EVELINI BATTIPAGLIA」のイニシャル「E」と「B」象ったモノグラムでもあります。素敵なセルフブランディングですね。
ミュージックグループ「Essencial Gaucha」のロゴデザイン

音楽を奏でるグループ「Essencial Gaucha」。ロゴタイプは、人のぬくもりや賑々しさを感じるハンドスクリプト体。黄色の線やドットの飾り、「Gaucha」の下に入った動きのある線が、リズムを感じさせます。
建築会社「Tania Franzon」のロゴデザイン

都市型の建築物を多く手掛ける建設会社「Tania Franzon」 。そのアイデンティティを語るに相応しいシンボルマークは家の外形と構造物のデフォルメ、そして社名のイニシャルを合わせて出来上がっています。

ブランドカラーに使われているチェリーピンクは、建築材としてブラジルで古くから使われてきたレンガを思い起こさせながらも、都会的で洗練された色合い。独特な丸みを帯びたロゴタイプは、どこか未来を感じさせるようなフォルムを持っています。また、直線的なシンボルマークとのコントラストが、さらにモダンな印象を深めています。
建設会社「Flores Vendruscolo」のロゴデザイン

建設会社「Flores Vendruscolo」は、昔からの技術者たちが在籍するエンジニア部門と、柔軟な発想で新たな建築を作り出す建築部門の2つの面を持っています。その両側面を表わしたのが、三角形のような図形と波のような模様が合わさったシンボルマークです。

波のような部分は建築部門の突出した才能を表わすと同時に、「Flores」の「F」を意味し、三角形のような図形は盤石なエンジニアたちを表現すると同時に、「Vendruscolo」の「V」も意味しています。

落ち着いたえんじ色は信頼と実績をイメージさせ、これまで培ってきた豊かな経験値と安心して任せることができるプロ集団に似つかわしいカラーリングです。
「ブランドイメージを自在に伝える」ために必要なのは「1つのロゴに1つのメッセージ」の原則
この事例集の8つのロゴがそれぞれ異なるブランドイメージを「的確に」伝えているのは、各ロゴが「1つのメッセージ」に集中しているからです。「信頼と革新と親しみやすさ」を1つのロゴで同時に伝えようとすると、どのメッセージも中途半端になります。
ロゴが伝えるメッセージは「1つだけ」に絞る。「信頼」なら信頼に振り切る。「革新」なら革新に振り切る。1つのメッセージに集中することで、そのメッセージの伝達強度が最大化されます。「あれもこれも伝えたい」は「何も伝わらない」の裏返しです。
まとめ
同じものが二つとないブランドや企業のロゴデザインたち。それぞれの企業・ブランドに合った手法で一つひとつ丁寧にデザインが考えられており、その多彩なふり幅から、いくつもの引き出しを持ったマルチなロゴデザイナーであることがわかりましたね。
ロゴデザインを依頼された際、適した見せ方を提案するには、自身の中にロゴデザインに関する知識とそれを再現するスキルが必要です。そのためには、たくさんのデザイン作例を見て吸収し、現場でどんどんアウトプットしていく必要があるのではないでしょうか。Aroldo Sanson 氏のロゴ作例も参考に、これから新たなデザインをどんどん生み出していきましょう!
design : Aroldo Sanson – AS Design ( Brazil )
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