
カナダのクリエイティブスタジオBrainchild Creativeは、飲食業界のクライアントを中心にブランディングを提供しています。同スタジオがあるのは、ブリティッシュコロンビア州リッチモンドです。バンクーバーに隣接し、バンクーバーの都市圏内にあります。
リッチモンドは移民がとても多く、中でも香港や台湾、大陸からの中国系移民は人口20万ほどのリッチモンド市民の半数以上にものぼります。街には英語と中国語で併記された標識や看板が多く見られます。
制作物は、英語はもちろん漢字との併記による販促物やロゴなども多く、日本企業のための漢字を使ったブランディングのヒントが得られるかもしれません。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Brainchild Creative!)
Brainchild Creativeが「モダンなアジアンデザイン」を成立させている鍵は「伝統モチーフの抽象化」
Brainchild Creativeのデザインが「アジアンテイストだけどモダン」と感じられるのは、伝統的なアジアのモチーフを「そのまま引用」するのではなく、「抽象化して現代のデザイン言語に変換」しているからです。
蓮の花のモチーフをフォトリアルに描くとエスニックな装飾になりますが、蓮の花のシルエットだけを幾何学的に処理するとモダンなアイコンになります。「伝統的な要素の何を残し、何を削るか」の判断が、伝統とモダンの配分を決定します。
ハイブリッドなハワイ料理レストランのブランディング事例

バンクーバーのハワイ料理レストランKoi Poké + EtcのブランディングをBrainchild Creativeは手がけています。このレストランの特徴は、伝統的なハワイ料理とアジア料理をミックスした海産物中心のヘルシーなメニューです。
鯉のしっぽが突き出たユニークなロゴデザイン

ロゴマークはどんぶりから鯉のしっぽが突き出たユニークなデザインです。どんぶりはハワイのソウルフードであるポキ丼をシンボライズしたものであり、鯉はアジアン料理の象徴です。波と鯉はシーフードの象徴でもあるでしょう。シンボルマークの上には漢字で「鯉」、下にはブランド名が置かれています。ミニマル、奇抜、モダン、自然、ボールドといったキーワードに基づいて作成されたシンボルマークです。
波と鯉を組み合わせた和のイラスト

シンボルマークとは別にデザイン要素として重要な役割を果たしているのが、葛飾北斎の版画のような波と鯉を組み合わせたイラストです。もちろん同じ太平洋とはいっても富士山が望める日本の海ではなく、ハワイのビッグウェーブですが。

アジア料理の中でも日本料理の比重が大きく、メニューには、Miso(味噌)、Ponzu(ポン酢)、Wasabi(わさび)といった文字が見られ、うなぎ料理も提供されています。「Koi」という日本語の発音を店名にしていることや、浮世絵をモチーフとしたグラフィックなど、ブランディングにもジャパニーズテイストが色濃く表現されています。
ユニークなテイクアウトパッケージデザイン

テイクアウト用のパッケージもユニークです。「ガチャポン」のカプセルを大きくしたような球状の透明容器に料理を入れて持ち帰るようになっています。厚紙をくるりと折って手提げにするというシンプルなものですが、おしゃれで可愛い仕上がりになっています。ロゴマークやメニュー、ショップカードなどのグラフィカルなデザインに加えて、この特別なテイクアウト用パッケージもKoi Poké + Etcのブランディングに貢献しています。
Created By BRAINCHILD CREATIVE / Client : KOI POKE+ETC 2019-2020 / Creative Director : SAMUEL LAI / Graphic Designer : HARRY GUAN, MINDI CHEN / Assistant : ANNA JIANG / Photographer : SHAWN XU
かわいいヨーグルト星人が子供も大人も魅了するデザイン

タピオカドリンクを飲むことを意味する「タピる」が2019年の流行語にノミネートされるほど大人気のタピオカドリンク。いまや知らない人を探す方がむずかしいかもしれません。台湾発祥のタピオカドリンクはリッチモンドでも多くのひとを魅了しています。
ブランドを際立てる愛らしいキャラクターデザイン

台湾のタピオカミルクティーがブームの火付け役ですが、Brainchild Creativeにブランディングを依頼してきたのは、タピオカ入りヨーグルトを主力製品としているChewgurt Yummy(中国語表記は「乳果友米」)でした。そこで、Brainchild Creativeは地球人の子供のように見える「ヨーグルト星人」をブランドの主役として起用しました。
地球からそう遠くない星からきたヨーグルト星人は、ハッピーな気分を生きるための源としています。それを見つけるために地球を選んだ彼らは、ハッピーな気分にさせてくれる特別なヨーグルトを地球人に与えて共存共栄を図ります。これがブランディングのコンセプトです。
ブランドカラーとタイポグラフィ


Chewgurt Yummyの代表的な商品は、紫米(むらさきまい)から作ったタピオカを入れたパープルライスヨーグルトです。それをパープル系とし、レギュラーのタピオカヨーグルトをピンク系として、ブランドカラーを設計しています。


パッケージにはブランドロゴとヨーグルト星人がレイアウトされています。フタのブランド星人のイラストには、ブランコに乗っていたり、学校で居眠りしていたり、ソファーでゲームを楽しんでいたりと、さまざまな様子を描いたバリエーションがたくさんあります。
ブランドを象徴する豊富なアイテムたち



メニュー、コースター、看板などに加え、Tシャツやエプロン、トートバッグ、キャップ、テープなどアイテムも豊富です。いずれもかわいらしくクリーンなテイストのイラストがヨーグルト星人のいろんな顔を見せてくれます。とても遊び心にあふれたデザインです。ちなみにヨーグルト星人には妹もいます。
Creatvie Director : SAMUEL LAI / Graphic Designer : FENGYI XU / Illustrator : VIVI ZHANG
タピオカヨーグルトのパッケージに見る「新しいカテゴリーの商品を消費者に説明する」設計
Brainchild Creativeが手がけたタピオカヨーグルトのパッケージは、「タピオカ×ヨーグルト」という消費者にとって馴染みのない組み合わせの商品を、パッケージで直感的に理解させる設計が求められた事例です。
新カテゴリーの商品のパッケージでは、「これは何か」を伝えることが最優先です。既存の商品なら消費者は「見た目だけで何の商品かわかる」のでブランドの世界観を優先できますが、新カテゴリーでは「商品の正体」を最初に伝えないと手に取ってもらえません。タピオカの粒をビジュアルに描く、「Tapioca + Yogurt」と明記するなど、「何であるかを1秒で伝える」設計が新カテゴリー商品のパッケージの第一条件です。
文字デザインがミニマルで上品な台湾レストランのブランディング事例

リッチモンドの台湾レストランMicha Eat + Drink Placeでも、Brainchild Creativeはクオリティの高いブランディングデザインを見せています。
中国伝統の格子窓がモチーフのロゴデザイン

食事の代表としての「米」とタピオカティーなどの「茶」を組み合わせた「米茶食堂」のシンボルマークは、中国伝統の格子窓をイメージしてデザインされています。また、発音をアルファベットにした「mi(米)」と「cha(茶)」が英語のワードロゴとなっています。このアルファベットのレタリングはシンボルマークの格子の部分をアレンジしてデザインされたものです。
モダンなブランドカラーとアイテムの展開


黒、オレンジ、深紅、ベージュ、グレー、白を指定したブランドカラーもとてもシックな色合いです。白木のイメージで統一したメニューやテイクアウト用容器と、それに巻く帯などもモダンな印象です。伝統的なデザインに着想を得ながら、ミニマルなデザインでスタイリッシュなテイストを醸している、上品なブランディングとなっています。
Art Director : SAMUEL LAI / Graphic Designer : KAILIN WU / Photographer : SHAWN XU / Assistance : BOSCO LIN
design : Brainchild Creative (Richmond, British Columbia, Canada)
▶︎ デザイン制作依頼・料金を知りたい方はこちら / ▶︎ デザイン制作実績を見る / ▶︎ 海外デザインの紹介記事一覧 / ▶︎ デザイン制作のガイド・媒体の特徴