台湾の夜と言えば、「夜市」。日が傾き始める時間になると、先ほどまで何の変哲もなかった道路や、だたっ広い更地だったところに、どこからともなく屋台がぽつぽつと。街がすっかり暗くなる頃には、いつの間にかところ狭しと並んだ屋台に赤や黄、青の光が灯り、昼間の様子からは想像ができないほどの賑わいを見せ始めます。
そんな台湾の夜市は、ローカルグルメの宝庫としても知られる場所。地元の方々の台所として、おいしいごはんを提供しています。食べ歩きされる機会も多い夜市のグルメたちは、一体どのように包まれているのでしょうか?
台湾の夜市って、どんなところ?
道の両脇にぎっしりと屋台が並ぶ景観や、その間をわいわいと行き交う人々の様子は、まるで日本の縁日にそっくり。しかし、縁日と違うのは、お祭りなど特別な日だけに限られるわけではないことです。
規模の大小関わらず、街のあちこちに毎夜、あるいは週に数回の決められた曜日に開かれるのが、台湾の夜市。現地ならではのローカルグルメが目白押しで、現地の人々にとても日常的に親しまれている場所です。
食事を楽しめるだけではないのが、夜市の醍醐味。
おいしそうな(時に衝撃的な?)においを漂わせる屋台のすぐおとなりには、輪投げやピンボールなど、懐かしのゲームが楽しめるアトラクション。そのおとなりは、リーズナブルな洋服や帽子のお店。さらにまたおとなりは、スマホケースや自撮り棒などデジタル機器周辺アイテムのショップ。そしてショップの前では、害虫撃退グッズをテーブルに並べて叩き売りするおじさんの姿…
様々なカテゴリのモノがごちゃ混ぜで、それでいてエネルギーに満ちた場所。台湾の夜市に一歩足を踏み入れると、気温が2〜3℃上がったように感じられるほどの熱気に包まれます。
道教の神様(時に仏教の神様も合わせてハイブリッドに)が祀られている、「廟」の前や周辺に発展することも多い夜市。カラフルな龍や鳳凰に彩られた境内へと足を踏み入れると、台湾の人々の信仰にも触れることができます。
決して特別ではない、現地の人々の生活と密接にリンクしている場所。それが、台湾の夜市です。
夜市での「食」の楽しみ方。
台湾旅行のガイドブックでもしばしば紹介されているように、夜市はローカルグルメの宝庫。「小吃(=手軽に食べられる一品料理)」と呼ばれる、台湾グルメを代表する料理の多くが、夜市には集まっています。
顔のサイズほどもあろうかというフライドチキン「雞排」に、豚ホルモンや小ぶりの牡蠣が入った台湾式そうめん「麵線」、衝撃的なにおいだけど本当はおいしい(?)「臭豆腐」。
おともには、タピオカミルクティー「珍珠奶茶」や、スイカジュース「西瓜汁」などのフルーツジュース。デザートには、フレーバつきふわふわかき氷「雪花冰」や、たくさんのトッピングをのせて甘いシロップでいただくお豆腐スイーツ「豆花」…
1度にはとても挙げきれないほどバリエーション豊かなグルメの数々が、夜市にはひしめき合っています。
クオリティの差こそあれ、どの夜市に行っても、屋台でいただけるグルメの種類自体はだいたい同じ。しかし、台北駅最寄りの人気夜市・寧夏夜市の「蚵仔煎(=牡蠣オムレツ)」のように、名物と言われるグルメが存在する夜市もあり、それらの名物グルメをお目当てにやって来るお客さんも少なくありません。
食事の楽しみ方も、お店によってさまざま。夜市沿道に店舗を構えて、レストラン同様に店内で食事ができるところ。屋台のすぐおとなりに折り畳みテーブルを広げて、路上の座席に座って食べられるところ。あるいは、座席が一切ない「外帶(=テイクアウト)」のみの屋台もたくさんあります。
それぞれにスタイルは違っても、外帶にはほぼ100%対応。夜ごはんとして買って帰って、家やホテルでいただくという利用の仕方もできますし、買ったグルメを片手に歩きながら食べる楽しみ方も、現地では浸透しています。
この「歩きながら食べる」ことが意識されているのも、夜市の屋台グルメならではのポイント。では、そんな夜市の屋台グルメたちは、一体どのように包まれているのでしょうか。ごく一部の例にはなりますが、いくつかのグルメを取り上げながら、パッケージを観察してみたいと思います。
夜市の屋台グルメを包むパッケージデザインたち。
夜市に行くとよく見かける「大腸包小腸」。「大腸で小腸を包む」という、字面だけ見るとちょっと怖い感じもするこちらのグルメは、「糯米腸」と呼ばれる餅米をつめたソーセージに縦の切れ込みを入れ、豚肉のソーセージをサンドした食べものです。
できあがったものをよくよく観察してみると、紙袋の一番下がギュッとねじられたカタチに。これは大腸包小腸の食べ方と関係があり、ここをさらに力を込めてねじっていくと、袋に詰められたソーセージたちがグイッと押し出されてくる仕組み。口紅をキュッとひねり出していくような要領で、最後まで手を汚さずに食べきることができます。グルメの細長いカタチを生かした、シンプルでおもしろいアイデアです。
夜市の屋台でテイクアウトをすると、割り箸よりも活躍しているのが、竹串。揚げたてモチモチのさつまいもボール「地瓜球」や、食べやすくカットした鶏肉や野菜をサッと揚げて塩胡椒でいただく「鹹酥雞」など、パッケージから直接口に運ぶのが難しいグルメには、竹串が人数分差し込まれており、串でつつきながら口に運びます。
その場で食べるのであれば包む必要のない、歩きながら食べるのに便利な串刺しグルメも、夜市には豊富。たっぷりのスパイスソースを塗った台湾式焼きもろこし「烤玉米」や、ミニトマトやイチゴの表面を飴で覆った「糖葫蘆」などが、その代表格です。
グルメを入れる容器としてよく使われているのは、防水加工が施された紙箱やプラスチックカップ、耐油紙の紙袋など。少しユニークなのは、耐熱ポリ袋にグルメが直接包まれることも多い点でしょうか。
ゆで鶏や野菜にスパイシーな調味料をまぶしていただく「鹽水雞」や、肉あんや野菜あんを詰めて蒸し焼きにする「水煎包」、豚角煮を真っ白ふわふわ生地にサンドした「割包」など。水気のあるグルメでは、できあがったものをポリ袋に入れて手渡され、それを串でつついたり、直接口に運んでいただきます。
夜市に限らず、レストランでスープや火鍋の残りをテイクアウトする際も、そのままダイレクトに耐熱ポリ袋へ。現地で実際に遭遇すると、ルックスよりも機能性・利便性を重視したスタイルに、初めはビックリしてしまうこともあるかもしれませんが、とてもポピュラーなテイクアウトのパッケージですので、どうか驚かれませんように。
まとめ
ローカルグルメの宝庫である台湾の夜市を、パッケージデザインの視点から眺めてみました。
台湾の夜市へお越しの際には、ぜひグルメがどのように包まれているのかにも注目してみてください。日本にありそうでないちょっぴりユニークな発見が、おいしそうな香りを漂わせながら夜市で待っているかもしれません。
<プロフィール> Mae
2012年より台湾・台北在住。グラフィックデザイナーとしてお仕事をする傍ら、現地生活や旅行情報を綴るブログ『にじいろ台湾』の運営や、ライターとしても活動しています。日本と近くて、似ているようで、本当は色々違っている。そんな台湾での発見を、みなさんとシェアしていきたいです。
ブログ『にじいろ台湾』 → https://kazukimae.com/
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