スペインのゲチョに拠点を置くデザインスタジオ Marina Goñi Estudio は、主にブランドの管理や制作を専門としています。クライアントの強みを生かして強化し、視覚化して認識できるよう手助けをしています。スマートで無駄のないスタイリッシュな作品が多いMarina Goñi Estudioの作例を見ていきましょう。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Marina Goñi Estudio!)
スペインのゲチョのおしゃれな観光案内パンフレットデザイン
ゲチョの観光のために非常に野心的であり革新的なプロジェクトが行われました。
それは、村の14人の有名人を通して、ゲチョを探索するというプロジェクトです。各キャラクターの人生はより散歩する人の心を刺激し、そして建築や都市計画、自然などの様々なコンテンツに寄り添います。影響力のあるゲチョタラス（ゲチョで生まれ育った居住者）のおかげで、ゲチョに隠された新たな魅力を引き出そうという企画でした。
プロジェクトを始める時に、プロジェクトの名前とルートの視覚化が必要でした。ゲチョの興味深い歴史を通して、ウォーキングルート（スペイン語で「パイ」）のアイディアと、一般の人々（スペイン語で、紳士的な「パイ」）とのつながりの両方を含む名前の造語を選びました。この名前は、同じカテゴリの名前を比較しても、家族向けで親しみやすく、また差別化しやすいと感じたからだそうです。
パンフレットのデザインはスッキリとした直線で描かれたイラストと、爽やかなカラーバリエーションが印象的です。
公共の観光案内所のパンフレットの中で目に入りやすく、際立つようにカラーを選んだのだそう。並んだ時のパステルのグラデーションが美しいですね。まとめられた時の箱のブラウンとの相性も抜群です。
また、カーブを描いた三つ折りの形状も楽しみの一つ。パラパラと開くその形状は、参加型の楽しさなのです。コンテンツとして添えられた14人の一人一人のストーリーも気になりますし、何よりこんなおしゃれな観光案内があれば記念にとっておきたいとも思うでしょう。観光案内というものは基本的に情報が多いのでごちゃごちゃしやすく、デザイン性を重視していないものもありますが、デザインの美しさとコンテンツの楽しさをしっかりと盛り込んだ、素晴らしいパンフレットデザインだと感じました。
Learning Spaces社のための洗練されたミニマルなブランディングデザイン
開発された教育学の方法論に従って学習スペースを変革することに専念しているLearning Spaces社。今回視覚的アイデンティティを整えるに当たってLearning Spaces社はプロジェクトの強さ、そして喜び、ダイナミズムを反映したブランドイメージを求めていました。
シンプルでミニマルなデザインはすごく印象的です。赤と白だけで表現された制作物には統一感と強いメッセージ性を感じます。線で描かれた家具のアイコンは四角や丸に収まっても違和感のない完成されたバランスで作られています。
シールやカード、封筒やマスキングテープなど使用媒体により、使用サイズが変わったりしてもしっかりとそれぞれの視覚的なアイデンティティを失わないようにデザインされた美しいアイコンです。家具の要素は、ロゴの残りの部分と融合するようになっています。
このようなシンプルな作りの中、でデザインの楽しさを表現することは凄く難しいことです。シンプルになればなるほどそこに込められる要素も凝縮し、より研ぎ澄まされたものでないといけなくなります。
美しい色使いと空気感を持たせた学習プロジェクトのビジュアルデザイン作成例
ハッとさせられるような繊細な色使い。不揃いな位置に置かれた文字。丸みを帯びた文字に少しの可愛らしさと繊細さを感じますね。これは幼児とティーンに向けられた心理学と音楽に関わるプロジェクトの制作物です。クライアントにとって音楽は心理学と同じくらい重要であり、遊び心があり、そしてそれは治療ツールとしても使用できるものだと言います。
名前を構成する文字はスタッフに配置された音符であり、無限の音色でメロディーを奏でているそうです。
しっとりとした質感のパステルブルーのに上品な箔押しでプロジェクト名が書かれています。カードの表、そして裏にも譜面の線がエンボス加工で静かに表現されています。
テーマカラーのブルーとイエローが使用された別バージョンの、深いブルーの組み合わせは力強く知的な印象を与えます。
封筒や便箋、そのほか譜面のノートなどにも所々に五線譜の要素を入れています。繊細なデザインに少し遊び心の効いたカラーリングは、心理学と音楽の癒合で学習していくこのプロジェクトにしっかりと寄り添った美しいデザインですね。
まとめ
Marina Goñi Estudioが手がけた作品はどのデザインも要素が少なめでミニマルな印象を受けました。デザインは沢山の情報を整理することももちろん難しいのですが、シンプルにすることは更に難しいと感じます。クライアントやプロジェクトの想いやコンセプト、それらを詰め込んだものをどう形にするのがベストなのかを噛み砕くことが、デザインに落とし込む前の本当に一番難しいポイントだと感じます。
単にデザインが良く、シンプルにするだけでは伝わりにくい事もあります。そのシンプルの中に凝縮されていなくてはなりません。Marina Goñi Estudioのデザインは洗練されており、シンプル且つメッセージ性のあるデザインだと感じました。また、彼らの制作物のスタイリング写真は背景紙などの配色にこだわり、デザインが引き立つ写真になっています。彼らの今後の活動に、より期待が深まりますね。
design : Marina Goñi Estudio(Spain)
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