
今では当たり前になった、スマートフォンなどでのインターフェイスを意識したデザイン。現在活躍しているデザイナーの多くは紙媒体やweb媒体を経て、デジタルデバイス向けのデザインを意識するようになった人が多いのではないかと思います。
現在では、アプリやSNSなどのデバイス向けデザインは必要不可欠なもの。すでに、それらの文化と共に育った世代にとってはごく当たり前のことです。
フランスのパリで活躍する Nils Caillaud 氏は、まさにその世代に該当する20代半ばのデザイナー。彼の作るデザインはPOPで視認性が高く、どのような媒体にも使いやすい現代的なデザインです。シンプルで判別しやすく、アプリにも活用しやすいロゴデザインとはどのようなものなのでしょうか。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Nils! )
「スマホ映え」するロゴの条件は「小さい画面でも形と色が判別できる」こと
この事例集に掲載されたロゴが「スマホ映えする」のは、「スマートフォンのホーム画面サイズ(アプリアイコン程度の小さなサイズ)でも、形と色がはっきり判別できる」からです。
スマホ画面という極めて小さな表示領域でロゴが機能するためには、細い線を避ける、色数を絞る、複雑なディテールを省く、形のシルエットだけで識別できるようにする。これらはすべて「小さいサイズでの視認性」を優先した設計判断です。PC画面やポスターでは細部の美しさが際立つロゴも、スマホサイズでは潰れて識別不能になりかねません。現代のロゴ設計では「最小表示サイズ」を先に確認することが必須条件です。
文化探索アプリ「Kultugo」のロゴデザイン

歴史的な建物やミュージアム・ファッションなど、さまざまなアートやカルチャーに溢れる国、フランス。古き良きものはもちろん、日ごとに生まれる新たなカルチャーも多く、広いアンテナを張り巡らせていてもその全てを網羅するのはたいへんです。
そこで開発されたのが、文化探索アプリ「Kultugo」。
アプリを起動させることで、自分の好み・時間・場所・予算に合わせたカルチャースポットを提案してくれるもの。定番スポットだけでなく、新たなイベントや場所などの情報をネットワークから共有することで、知らなかったカルチャーに巡り合うこともできます。

そんなアプリケーションのために制作されたロゴマークは、シンプルで読みやすいサンセリフの書体がベース。「go」の部分がデザイン化されており、二つの「○」を上手に使って虫めがねやメガネを連想させる絵柄になっています。
そしてもう一つのポイントは、「g」の上にある丸い点。カルチャースポットを探し出すアプリらしく、マップ上で目的地を表示する「マーク」がデザインに取り入れられています。


アプリの中ではこの円の中にスポットの概要をあらわすピクトが描かれ、マップ上でその存在を知らせます。
TO DOアプリ「Lazyless」のロゴデザイン

「Lazyless」はナマケモノをパートナーに、目標達成をサポートする自己管理アプリ。
スマートフォンやタブレットが普及した今、便利な反面、SNSやネットゲームへの依存度の高さが社会問題になっています。そんなすぐに手が届いてしまう誘惑に打ち勝つため、このナマケモノアプリは開発されました。
アプリのマスコットキャラクターのナマケモノAIに、ユーザーのお気に入りのSNSやアプリを学習させ、目的が達成できなかった時には、その使用を制限するという画期的な機能が特徴。
シンボルマークには、木にぶら下がったナマケモノが可愛らしくデフォルメして描かれ、丸みを帯びたロゴタイプもその雰囲気を踏襲しています。
一見「lazuless」とも読めるロゴタイプですが、真ん中の「u」は「y」を上下に分断したもので、木にぶら下がっているナマケモノのフォルムと対になって見えるようにデザインされています。また、文字が部分的に消えていることで微妙な抜け感があり、怠惰(Lazy)な雰囲気をよくあらわしているとも言えます。
「POP」な印象を作る配色の仕組みは「高彩度+高コントラスト」の組み合わせ
この事例集のロゴが「POP」に見えるのは、高彩度の色(ビビッドカラー)を使いつつ、色同士のコントラスト(明度差)が大きいからです。赤と白、黄色と黒、ブルーとオレンジ。こうした「明るい色と暗い色の対比」が視覚的なインパクトを生みます。
高彩度でもコントラストが低い(似た明度の色同士の組み合わせ)と「鮮やかだけど見づらい」印象になり、コントラストが高くても彩度が低いと「見やすいけど地味」な印象になります。POPな印象を狙うには、彩度とコントラストの両方を高く設定する必要があります。
宅配サービス「Pack’n drive」のロゴデザイン

ネットショッピングの普及に伴い、多忙を極める宅配業界。
そんな宅配サービスこそ、今やアプリケーションを使った、再配達依頼や追跡サービスが欠かせません。

ダンボールに車輪が付き、自走する荷物。宅配業者にとっても、ユーザーにとっても理想といえる姿をユニークにデフォルメしシンボルマークに仕立てています。「Pack」と「Drive」の間にある「N」は、マップアプリでよく見かける「ピン」の中に収まり、アプリを使った場所指定配達を想起させます。
忙しい現代人には欠かせないネットショッピング。このロゴマークのように、荷物が無人で届く日もそう遠くはないのかもしれませんね。
開錠・修理サービス「MonDepannage」のロゴデザイン

インロックや鍵の紛失、水漏れなど、緊急時に活躍するのが住宅関係のリペアサービス。
急なSOSにも対応できるよう、こういったサービスにもアプリケーションが登場しています。
シンボルマークのモチーフとなっているのは、おもなサービスである「鍵」と「配管」にまつわるもの。シンボルマークを「鍵」として見た場合、全形は「錠前」、中心の点は「鍵穴」として見え、「配管」サービスのシンボルとして見た時、全形は「シンクと水栓」、点は水が滴り落ちる「しずく」に見えます。
一つのシンボルで、二つのサービスをイメージさせるこのシンボルマークは、もしもの時の安心を保証する心強い信頼のマークです。
まとめ
今回紹介したすべてのロゴマークは、デジタルデバイスのアプリケーション向けにデザインされたロゴマークです。ロゴタイプの一部やシンボルマークだけでも十分に差別化でき、機能するように作られていることがよくわかります。
ロゴマーク全体としての完成度はもちろん、画面上のアイコンになった時にも他のマークと混同せず、はっきりと認知できるのがアプリ向けロゴデザインの第一条件です。
手のひらサイズのデバイスが標準装備となった今、デザインにも新たな基準が感じられるようになりましたが、これから先訪れる技術の進歩と共に、少し先の未来には、また新たなデザイン基準が誕生していくのかもしれませんね。
design : Nils Caillaud ( France )
▶︎ デザイン制作依頼・料金を知りたい方はこちら / ▶︎ デザイン制作実績を見る / ▶︎ 海外デザインの紹介記事一覧 / ▶︎ デザイン制作のガイド・媒体の特徴