上の画像のロゴデザインは、イタリアのデザイナー Emilio Dessì氏自らが制作した、彼自身のロゴデザインです。彼のイニシャルである「E」と「D」をモチーフに描かれたモノグラムは、「E」を王冠に、「D」を輪郭に見立てたユニークなもの。ちょっぴり左に傾いた王冠がとてもキュートで、彼の人間性を表わしているように見えます。
Emilio Dessì氏は、イタリアを中心に活躍している、ブランドデザインを得意とするグラフィックデザイナー。彼自身のロゴデザインを見てわかる通り、ちょっとした遊び心とセンスの良さが光る、洗練されたクリエイターです。
2017年3月21日から4月7日まで、毎日1つずつロゴを制作するというプロジェクト「Logodi」より、彼らしいシンプルで洗練されたロゴデザインを紹介していきましょう。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Emilio! )
ベジタリアン向けレストラン「Vegy」のロゴデザイン
フレッシュな野菜を連想させる爽やかなグリーンで描かれた「vegy」の文字。流れるようなやわらかいスクリプト体で書かれた店名は、文字だけで構成されながらも、全体をエンブレムのような形にまとめています。このロゴ一つで、ロゴタイプにも、シンボルマークにもなる使いやすいロゴデザインです。店の看板やメニュー、皿などにあしらわれても映えるデザインですね。
シーフードレストラン「MEDUSA」のロゴデザイン
店名の「メドゥーサ」は、神話に登場する恐ろしい怪物ですが、一説によると、海の神「ポセイドン」の妻であったと言われています。また、もう一つ、「クラゲ」を意味する jellyfish の別名として使われることもあるそうです。 とにもかくにも、海と深い由縁のある「MEDUSA」。そのシンボルマークのモチーフとなったのは、神殿の柱として知られる「イオニア式の柱」と、「クラゲ」、そして「フォークの先端」です。
先端が丸く、尖った足を持つという共通点のある3つのモチーフ。これをデフォルメし、シンボルマークがデザインされました。
綿密なスペーシングと、美しく見える比率が計算され、ロゴタイプと合わせたロゴマークが作られました。
神殿のような厳かな雰囲気を湛えつつ、海の生物が持つ神秘的なイメージと鋭利な形状を生かした、不思議な品格をもつシンボルマーク。
ロゴタイプは、シャープな存在感を放つ飾りが印象的なセリフ体。はじめの「M」と最後の「A」が大きく描かれ、単調になりがちなロゴタイプをドラマチックに見せています。
ロゴカラーには、海をイメージさせる深いブルーが採用され、カードなどの販促物には、ロゴのモチーフとなったクラゲが登場しています。
神秘的なイメージとドラマチックな演出を合わせることで、奥行きのある独自の世界を完成させ、見事に品格のあるレストランのロゴマークを形作っています。
セルフブランディング向けのロゴデザイン
ブランドの責任者である個人のものと思われるロゴデザインです。「Francesco Congiu」という個人名のイニシャル「F」と「C」を使い、滑らかにつなぎ合せたモノグラムを形成しています。とくに、アレンジされた「C」の形が印象的で、控えめな雰囲気ながら、強くその個性を強く主張しています。
ファッションブランドのロゴデザイン
グレイッシュなカラーをベースに、頭文字「C」のやわらかな曲線で全体を包み込むようにデザインされています。「Capri」が一つのまとまりとなり、シンボルマークの役割を果たしています。
市政選挙のキャンペーンロゴデザイン
党派閥をあらわすような、赤と青のリボン。対峙するように向かい合う間には、ネガティブスペースでキャンペーンの頭文字「S」が浮かび上がっています。
美容院のロゴデザイン
シンプルに書かれた店名にスパッとハサミを入れたような切れ込みが入った、インパクトの強いデザイン。美容院や理髪店のロゴデザインというと、道具である「ハサミ」そのものをモチーフとして利用することがよくありますが、道具を使った「現象」をデザインに入れるというのは、非常にユニークな逆転的発想です。もとのロゴタイプの書体が、ベーシックなスタイルである程、そのコントラストが鮮明で、強く印象に残ります。
ファッション関係のロゴデザイン
本来、「i」の上にあるべき「・」が、「p」の足になり「s」の先端になるという面白いデザイン。可読性よりも発想を優先した、ファッションという業態にマッチしたロゴデザインです。
ローマにある別荘地のロゴデザイン
高級感のあるしなやかなセリフ体をベースにし、頭文字「F」を逆さにした鍵に見立てています。スモーキーなピンクにゴールドという、ややアンティークな色合いが、ゆとりのある贅沢な時間を想像させます。
太陽光発電会社のロゴマーク
大空と先進性を感じさせるブルーを基調に、頭文字「U」を正方形の箱の下部に位置させています。「U」の直線部分をカットすることにより、スマイルマークに印象が近くなり、目は描いていなくても、箱の下部に位置させることで、はっきりと明示せずとも「笑顔」を意図していることが伝わります。
建設会社「GMC」のロゴマーク
全体に太く重量感のある書体を使い、ずっしりとした重みを感じるロゴデザイン。真ん中の「M」の文字には、ネガティブスペースで家のシルエットが浮かび上がっています。住宅建設という規模の大きなビジネスに相応しい、安定感を意識した企業ロゴデザインです。
アパート型の別荘地「NINA APARTMENT」のロゴマーク
最初の「n」の文字に一工夫して扉を付け、アパートをイメージさせています。戸建て型の別荘とアパート型の別荘。この両者の違いを端的にあらわしたのが「扉」という表現。戸建てであれば、扉だけではなく「家」そのものを図柄として描くことが多いもの。それを踏まえ、あえて「扉」だけを描くことで「アパート」らしさを表現しています。
イベントマネージメント会社のロゴマーク
文字だけで構成されるこのロゴデザインですが、3パーツすべての文字の書体が異なるところがポイントです。 シンボルマークになっている「ae」は、会社名のイニシャルをモノグラムにしたもの。独特のカーブを持つセリフ体を背中合わせにし、少し傾けることでマークとしての存在感を高めています。
「ARON」は、やや未来的なサンセリフ体を使い、「EVENTOS」は、ごくスタンダードなサンセリフ書体を使用しています。 3つの書体を使い分けることで、それぞれの意味と役割を主張し、企業ロゴデザインとしての完成度を高めています。
別荘地「LA CASETTA」のロゴマーク
スタイリッシュに描かれたロゴタイプの下にあるタグライン「LO SPAZIO DEL CUORE」は、イタリア語で「心の空間」という意味。シンボルマークがあらわすハートマークは、まさに「心」をあらわしているのです。
グランピング企画会社のロゴデザイン
日本でも流行した、ラグジュアリーなキャンプ「グランピング」。この「GLAMCAMP」は、グランピングをプロデュースする会社です。
シンボルマークのモチーフになっているのは、地図アプリでお馴染みの「マップピン」。「お出かけ」の象徴ともいえる、この「マップピン」に王冠を乗せることで、キャンプの王様「グランピング」を意味しています。
広告代理店「GOZER PROJECT」のロゴデザイン
シンボルマークになっている半円の三重線とロゴタイプの書体の印象が統一されており、全体にインテリジェンスな印象を与えます。半円は外に向かって開き、世の中の情報をキャッチするパラボラアンテナのようなイメージを感じさせます。
結婚を祝して作成された夫婦のロゴマーク
ELISABETTAとGABRIELEの結婚を記念して作られたロゴマークです。二人のイニシャル「e」と「G」が、一つに合わさり、∞(無限)のマークのような形状に整えられています。二人の変わらぬ愛と輝かしく温かな未来を連想させる、ほのぼのとしながらも強い絆を表現したロゴデザインです。
経営サポート会社のロゴデザイン
経営のサポートをビジネスとする企業のロゴデザインです。太くしっかりとしたセリフ体で書かれた「POGGIO」。円形に近いアルファベットが並ぶことから、そのプロポーションを生かし、繋がる輪のように文字を並べています。1字だけ形が異なる「I」は黄金色に彩り傾斜をつけてアクセントにしています。繋がる文字はビジネスの輪を、黄金色の「I」はビジネスとビジネスの架け橋を表現しているのではないでしょうか。
まとめ
時には王道を、時には斬新に、さまざまな切り口でブランドを表現する18点のロゴデザインを紹介していきました。いずれのデザインもブランドの個性を的確に表現し、尚且、多くの人から好感度を得られるスタイリッシュで品のあるデザインであったと思います。
ロゴをデザインする時、彼のように、デザインが人に与える影響をよく理解し、どんな人にも心地よくブランドの個性が響くデザインができると、クライアントにもユーザーにも喜ばれる仕事ができるのではないでしょうか。
※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Emilio! )
design : Emilio Dessì ( Italy )
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