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コンセプトが際立つ商品パッケージ

コンセプトが際立つ電球のパッケージデザイン制作例


コンセプトが際立つ商品パッケージ

世の中に商品の数と同じだけ存在しているのがパッケージデザインです。パッケージは、商品を保護し品質を保つための構造であること、流通にも適していることを前提とし、製品のコンセプト、イメージ、マーケティング戦略等、企業が商品に求める内容をそのデザインで消費者・顧客に正確に伝える大事な手段です。

また、パッケージデザインは商品の宣伝のみならず、ブランド力を左右する存在ともなっています。デザインの良し悪しが、その商品の運命を決定づけると言っても過言ではありません。パッケージデザインを考える際に 心がけたいポイントは二つあります。

一つ目は『瞬発性に長けるデザイン』。短い時間で「消費者の眼に留まり→商品の特徴を認識・理解してもらい→手にとってもらう」ことを喚起するデザインであるということです。

二つ目は、長い目で見てパッケージデザインが消費者の心に残り、商品のブランド性を引き上げる象徴的な存在となる『記憶されるデザイン』であることです。実際、あるブランドや商品を思い出すときに、イメージとして浮かぶ色や形、またモチーフなどはパッケージデザインの印象から来ているものが多いと言えます。

新商品やリニューアル商品のパッケージデザインを考える際には、今までにはない、もしくは、今までとは違った新しい商品として認識してもらえる為にも個性的でオリジナリティ溢れるデザイン要素は大切です。

 

スタジオ

今回は東ヨーロッパ、ベラルーシ共和国の首都ミンスクで活動しているグラフィックデザイナー Angelina Pischikova 氏の作例を見ながら、パッケージデザインの果たす役割について考えて見ましょう。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Angelina! )

 

『ホタルの光を再現する電球』というコンセプトを表現したパッケージデザイン

コンセプトが際立つ商品パッケージ

CS (Crazy Service) Electrical Companyは、5000以上の商品を市場に供給しているベラルーシ最大の電機会社です。写真はその会社の主力商品の一つでもある電球のパッケージです。

電球のパッケージというと、流通に適した梱包状態をとる、製造会社名の表記に加え電球の持つスペック・機能をシンプルに表示したものが一般的ですね。この傾向は日本だけではなく世界各国も同じ状況です。たくさんのメーカーの電球が市場に存在しますが、 個性的なイメージをパッケージデザインに取り入れているところは少ないと言えます。

CS Electrical Companyは、スーパーマーケットで販売することを目的とした省エネルギー専用の新しい電球シリーズの製作にあたって、遠い昔アメリカ合衆国の発明家トーマス・エジソンが夢見た「ホタルの光のような冷たくも自然な光源を持つ電灯を作りたい」という発想を商品開発コンセプトとしました。

会社のアートディレクターを務めるPischikova氏が新しいパッケージデザインに採用したのは、この開発コンセプトを前面に打ち出したデザインです。

 

電球の商品パッケージ

電球の商品パッケージ2

モチーフは、様々な昆虫たち。長く細い形状の電球はトンボ、省エネ真空管のコイル状の電球は縞模様を持ったハチ、というように、内包する電球の種類や形状によってモチーフの昆虫と上手く組み合わせられています。昆虫の素描は、20世紀初頭に出現した昆虫図鑑を思い起こしてくれるような繊細なタッチで精巧に描かれています。

ワット数を正面に取り入れ、昆虫の羽が広がっているイラストレーションに合わせて内包している電球そのものを見せることという構成で、消費者が自分のニーズに最も適したもの選べるようにと考慮されています。

 

パッケージのブランドカラー

2タイプのパッケージの色

モチーフの精密な描写方法、使用フォントの選択、文字組の仕方、スペックの表示レイアウトの方法など、この作品が優雅で洗練されたイメージを与えてくれる理由は多々ありますが、何と言っても注目したいのがこのパッケージの配色パターンです。白色、ブラウン、濃紺のわずか3つの色の使用で全シリーズの商品パッケージを構成しています。

「冷たさ」をイメージさせる白色と濃紺、「自然界」をイメージさせるブラウン。商品開発コンセプトである『冷たくも自然な光源』をまさに反映しているカラー選択ですね。

三色の配合より生み出されるのは、クールで落ち着いた雰囲気を醸し出しつつ、高品質な商品であるというイメージを消費者の頭に刻み付ける効果です。色の持つ効能を理解し、実践したカラーリングではないでしょうか。

 

パッケージデザインは立体物

ポスターやチラシのデザインと違い、パッケージはいわゆる立体デザインで、表面、裏面、側面、底面をいかに上手く活用した全体的なデザインであるかが重要な鍵です。

パッケージデザインを制作する際に考慮しなければならないのが、陳列場所によって立てて置かれたり平置きされたり、様々な方向でも消費者にアピールできるデザインであることです。

魅力を伝えるパッケージデザイン作成例

Pischikova氏のこのパッケージデザインはこの部分にも最大の配慮がされています。どの向きに置かれても、全ての面でこのシリーズの電球であることが認識でき、単体で置かれても、複数で置かれてもこの商品の持つコンセプトやオリジナリティを感じる事ができる仕組みになっています。


まとめ

『ホタルの光を再現する電球』という商品コンセプトからインスピレーションを受けて出来上がったAngelina Pischikova 氏のパッケージデザイン。良いパッケージデザインというのは、いかにその商品が優れているのか・選ぶ価値のある商品であるのかを消費者に語る『視覚的コミュニケーション』が出来るものではないでしょうか。

design : Angelina Pischikova (Belarus)

photo : Rodion Kovenkin (Belarus)

 

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