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ツアーイベントポスターのデザイン

アーティストの世界観を広げるポスター&パンフレットデザイン作例


アーティストのライブやツアーの告知、会場で配られるチラシやポスター。パンフレットやグッズやCDジャケットなど「音楽活動 には、デザインの力が必要不可欠です。音楽活動を主とするアーティストの魅力は、もちろんその音楽性が一番ですが、人気を集めれば集めるほど、そのアーティスト自身の動向やファッションなど、その存在そのものが注目を集めるようになります。 LA在住のグラフィックデザイナー Steph Scheerer 氏は、世界的な人気を博す数多くのアーティストのアートワークを手掛けてきました。今回は、その中から気鋭のアーティスト2組の事例をご紹介していきたいと思います。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Steph! )

 

世界のポップアイコン、Halseyのツアーイベントポスター制作例

ツアーイベントポスターのデザイン

今、世界中から熱い視線を集めるHalsey。卓越した音楽センスと奇抜なキャラクターがうけ、新たなポップアイコンとして若者たちを熱狂させています。

そんなHalseyのファーストアルバム「Badland」を冠したツアーのアートワークを担当したのがSteph Scheerer氏。この「Badlands Air」は、航空会社とタイアップしたスペシャルイベントのポスターデザインです。

アルバムジャケットにも登場した、淡いレッドとブルーを使ったグラデーションをメインカラーに、飛行機が飛び立つイメージと飛行場内の雑踏を一つの絵に収めています。飛行機の画像や人物のシルエットに飛行場の外観写真を透過させ、グラデーションを重ねることで、ロケーションや被写体が全く異なるにも関わらず、アルバムジャケットが持つ儚く荒涼としたイメージを見事に踏襲しています。

ツアーイベントポスターのデザイン2

同イベントの別バージョンのポスターデザインです。先ほどと同じく、淡いレッドとブルーを基調としていますが、下界に広がる景色と上空の色を使い分け、先ほどのポスターのイメージとは、また異なった印象を作り出しています。 どちらのポスターも、印象的なシーンを切り取ったアーティスティックな背景に端的でインパクトの強いメッセージを添えています。これは、Halseyの他に類を見ないファッションやルックス、そして歯に衣着せないストレートな物言いを彷彿とさせる、アーティストイメージとシンクロさせたデザインといえるのではないでしょうか。

 

クラブシーンのカリスマ、LIDOのツアーパンフレット制作例

DJのツアーパンフレットデザイン1

DJのツアーパンフレットデザイン2

DJのツアーパンフレットデザイン3

様々なアーティストのプロデュースでも知られるLIDO。2016年、本人自らアルバムをリリースしワールドツアーを敢行しました。Future Bassと呼ばれる最先端のクラブミュージックを操る彼のサウンドは、未来を感じさせる電子的なものですが、アルバムジャケットやツアーポスターなどに使われているビジュアルはアナログライクな油彩タッチのイラストです。

エレクトリックな音楽のジャンルに使われるイメージは、何色もの光が交差するような煌びやかなイメージのものや、無機質なデジタルアートなどがメインストリームです。そんな中、あえて選んだアナログテイストのビジュアルは、彼のアーティストとしての意外性を感じさせ、一筋縄ではいかない才覚の広さを感じさせます。

パンフレットに使用されているカンバスに描かれた3枚の絵。1枚目はLIDOの肖像画、2枚目はベッドに横たわる女性を背に座り頭を抱える男性の絵、そして3枚目は、アナログの背景にデジタルで描かれたLIDOのシンボルマークのイラスト。どのイラストにも、端々にビビッドなカラーが差し入れられ、LIDOの「音 の存在を感じさせます。


まとめ

ライブツアーやイベントのポスター・チラシは、直近にリリースされたアルバムのイメージを引き継ぐことがよくあります。ただし、同じものをそのまま使いまわしてしまっては、あまり面白みもありませんし来場者へのインパクトもありません。アーティストのライブは、今まで音源やテレビ画面でしか見られなかった世界を肌で感じる特別なエンターテイメント。それを演出するビジュアルは、アルバムジャケットやアーティストイメージから更に一歩進んだものでなければなりません。

アーティストの世界観を共有し、より深く大きく広げていく。それは音楽関係のデザインだけではなく、映画や舞台、はたまた、商品紹介の広告にもいえることかもしれません。アピールするものの特性やコンセプトを熟知し、多くの人の心に訴えかけるようなビジュアルを作っていく。それは、すべてのグラフィックデザイナーの使命といえるかもしれませんね。

design : Steph Scheerer ( USA )

 

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