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コミュニケーションを誘導するスイスのチラシ作成例

ビジュアルでコミュニケーションを誘導するスイスのチラシ作成例


スイスのstudio gambettaは、2人のデザイナーのコラボレーションから成るデザイン事務所。彼らがタッグを組んで仕掛けるプロジェクトは、デザインをきっかけにコミュニケーションを発生させたりアクションを起こすものなど、デザインがトリガーとなり、さまざまな結果を生み出します。五感を通じて体感した経験は記憶に残りやすく、心象に深く刻まれます。メッセージの受け手を傍観者にさせない、コミュニケーションをデザインする彼らの作品とは一体どのようなものなのでしょうか。 ※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, studio gambetta ! )

 

スクラッチを導入したパーティーのチラシデザイン作成例

スクラッチを導入したチラシデザイン作成例1

スイスの都市Meyrinで行われた18年目を記念するパーティーへの招待状です。二つ折りのDMとして制作されたこのチラシは、表面となるページに非常にインパクトの強いデザインとある仕掛けが施されています。濃いイエローをバックにブラックで書かれた文字。工事現場や蜂などのカラーリングでお馴染みのこのパターンは、警戒色と呼ばれ、強烈なコントラストで人の目を引きます。

書かれている文章は、フランス語で「あなたが主役のパーティータイム」という意味合いで、何のパーティーかは明記されていませんが、受け取った人は気になって中を開いてしまうでしょう。 そして、もっとも気になるのが、部分的にシルバーの円で隠された不可解なイラスト。この仕掛けについては、チラシ中面を開くと明らかにされていきます。

スクラッチを導入したチラシデザイン作成例2

中面を開くと、表面のインパクトとは正反対のシンプルな構成。メッセージと当日のプログラム、日時、場所が右側のページにまとまっており、左側には、表紙に隠されたイラストの種明かしがされています。

「イラスト内のスクラッチを削り、あなたの画像を発見しよう!」と大きく書かれており、「あなたの絵は?」の後にある二つのマークを選択するように促されます。

 

スクラッチ付きのチラシデザイン

ここで今一度、チラシの表紙に戻り、気になるスクラッチを削るという流れになります。スクラッチを削ると覆面が描かれたイラストと共に、スマイルマークかハートマークのいずれかのマークが表れるようになっており、そのどちらかをチェックして返送するようになっています。

チラシの活用方法

スクラッチで選ばれたマークは、当日の席決めなどに利用され、新たな市民同士の出会いを促し、街の未来を語るディスカッションを大いに盛り上げたようです。

これは、選択することで未来が変わるというテーマに基づいた疑似的なデモンストレーションで、「街の未来を選ぶ」という大きなテーマに繋がる大切な導入部分です。一枚のチラシをきっかけに自らの未来が決まるという実験的な試みは、チラシのデザインだけに留まらない、コミュニケーションとその未来のデザインと呼べるのではないでしょうか。

 

旬の味覚を伝える食品会社のダイレクトメール(DM)デザイン制作例

ダイレクトメール(DM)デザイン制作例1

生の魚介類や肉をミンチにし野菜などと合わせて、さまざまな香辛料やソースで味付けした料理を「Tartares」と言い、ヨーロッパではポピュラーなメニューの一つに数えられます。日本ではタルタルステーキと呼ばれ、ユッケと似た料理として認識されています。

スイスのタルタルステーキに特化したレストラン「Tartares & co」の依頼でstudio gambettaは、ダイレクトメール型のチラシを制作しました。 チラシの種類は全部で12種。毎月1枚ずつデザインされ、顧客の元へ送ることができるようになっています。

ダイレクトメール(DM)デザイン制作例2

チラシデザインの表面には、月の名前とツートーンで色付けされた風景写真。裏面には、社名と連絡先、その月のおすすめのタルタルステーキの名称と食材、メイン食材をシルエットにしたイラストが描かれています。全てのデザインで共通して見られるツートーン。実は、studio gambettaはこのレストランのブランディング全般を担当しており、ロゴマークを制作するところから関わっています。

食品会社のロゴデザイン

見ての通り、このレストランのロゴマーク自体がベタ塗りとドットのツートーンから成っており、このデザインコンセプトがブランドのビジュアルアイデンティティとしてすべてのメディアのデザインで統一され使用されています。

 

ダイレクトメール(DM)デザイン作成例3

ダイレクトメール(DM)デザイン作成例4

表面の月名と「今月のタルタル」のタイトルデザインはロゴデザインを忠実になぞっており、月のメイン食材に因んだ場所を写した風景写真を2色で表現しているのもビジュアルアイデンティティに準じた結果です。チラシ裏面のメイン食材のイラストもロゴマーク同様にツートーンで描かれ、印象にまとまりを持たせています。月毎に送られてくるダイレクトメールには、料理の写真こそ載っていないものの、お洒落なデザインのポストカードの裏面には旬の食材を列挙したメニューが記されており、店への来店動機に繋がるよう工夫されています。

レストランのDMといえば、料理の写真が相応しいようにも感じますが、どこか風情がありスタイリッシュなデザインであることで手元に置きたくなり、センスのある店であることをアピールすることで狙った層へ的確に訴求する、この店らしい広告戦略といえるのではないでしょうか。


まとめ

シンプルながらスタイリッシュに洗練されたデザインは、印象に深く残る力強いデザインでもあります。彼らのプロジェクトは、そうしたシンプル&ボールドなデザインを武器に、綿密に考えられた戦略を折り込むことで、企業や自治体が望むメッセージを的確に受け手側へ届け、強いインプレッションを残しています。「誰に何を伝えるのか」これは、広告の主題であり目的です。達するためには、デザインだけでも戦略だけでも片一方のみでは不完全です。二つのバランスが取れてはじめて目的が達成されるのではないでしょうか。伝わるデザインを作るため、彼らのデザインや戦略は大いに参考になる事例です。

design : studio gambetta ( Switzerland )

 

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