
南米コロンビアでグラフィックデザイナーとして活躍するIvan Jaimes氏の作品を紹介します。Jaimes氏は、おもにAdobe社のAfter Effects、Illustrator、InDesign、Photoshopを得意のツールとして、コラージュ作品を多く発表しています。
スイーツやカフェなど飲食関係のキャンペーンに提供しているイメージは、シズル感たっぷりです。ながめているだけで楽しくなるJaimes氏のクリエイティビティのひみつをのぞいてみましょう。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Ivan Jaimes!)
Jaimes氏のコラージュが「美味しそう」に見える理由は「食材の切り口の鮮度感」を活かしているから
Ivan Jaimes氏のフードコラージュが食欲を刺激するのは、食材の「切りたての断面」や「搾りたてのジューシーさ」が視覚的に強調されているからです。果物のみずみずしい断面、チョコレートの滑らかな表面、クリームの流動感。こうした「食材が最もおいしく見える瞬間」を切り取ってコラージュに使用しています。
食品関連のビジュアル制作で参考になるのは、食材を「全体像」で見せるより「断面」や「テクスチャ」で見せる方が食欲に訴える効果が高いという点です。リンゴの全体よりもリンゴの断面、パンの外観よりもパンをちぎった断面の方が、「食べたい」という衝動を喚起します。
コーヒーの香りがただよってくるカフェのビジュアルデザイン


コロンビアの「Tributo Café Café」というカフェのキャンペーン用ビジュアルをJaimes氏は手がけています。カップから立ちのぼる湯気にからめたキャッチコピーは、「これこそがコーヒーというべきコーヒー」といった意味です。ブランド名にCaféがふたつ並んでいる理由はよくわかりませんが、キャッチのようにコーヒーの中のコーヒーという意味がこめられているのでしょうか。
コーヒー豆、ドーナツ、クロワッサン。どれもきれいに光がまわっていて、妙ないいかたをしますが、本物以上に質感がリアルです。コーヒーの色を尊重して、全体をブラウンのトーンで揃え、おいしそうな印象を与えています。
クリエーターのためのSNS「Behance」で、どのような素材をコラージュしてこの作品が作り出されたかがわかります。クロワッサンや手の陰影が丁寧に処理されているのに気づきます。背景の色調を整えて、朝の光が柔らかく満ちている店内の空気感を演出しています。
Behanceに掲載されている画像のひとつに、コールアウトが添えられているものがありますが、それぞれ、100%サンタンデール産、オーガニック、サービスの品質、という意味で、コーヒー豆とカフェのクオリティを訴求しています。サンタンデール(Santander)は地域名で、コロンビア豆の産地ブランドのひとつです。
コロンビア独立記念日:自由の味は甘い

宙に浮くドーナツ3個に、大きく力強い書体で「自由(libertad)」という文字が重ねられています。キャッチコピー全体では、「自由の甘い味を祝います。コロンビアの日おめでとう」という意味です。
小麦粉などの食品関連プロダクトを製造販売しているコロンビアのHarina Robinsonという企業のための作品です。SNS用に作られたイメージで、コロンビアの独立記念日である7月20日に投稿されました。コーティングの黄・青・赤の三色は国旗の色でもあります。

ほかに、Cohasanという医療品関連企業のためにも独立記念日を祝うSNS用画像をJaimes氏は提供しました。そのイメージでは、カプセル剤の中にコロンビア国旗が掲げられ、「自由ほど健康なものはない」というコピーが添えられています。
肉汁も塩の粒もおろそかにしないシズル感たっぷりのステーキのデザイン

良い牛肉を食べよう、というキャンペーンのイメージビジュアルです。ジューシーな牛肉、柔らかい牛肉、といった文字をステーキにからめて構成しています。肉のつやはもちろんのこと、ポテトやアボカド、カトラリーの質感がしっかり表現されています。
制作過程のダイジェストを動画で見ることができますが、さながら調理の仕方を解説したレシピ紹介動画のようで、食欲を刺激します。
縮尺の感覚がまどわされる巨大なスイーツの広告デザイン

クッキーのオレオを使ったフラッペがクレーンでつられています。到着したばかりなのか、これからどこかへ運ばれるのか。デッキやパームツリー、ヨットなど別々の素材を合成して、朝の新鮮な光を浴びたおいしそうなフラッペがそそります。このイメージでも、遠景を配置しただけでなく、全体がひとつの絵としてなじむように、色調を丁寧に調整してあります。

同様に、野菜をたっぷり添えられた豪華なステーキをクレーンで吊り上げたイメージもあります。こちらは激しい波しぶきをあげる、空模様もやや不穏な雰囲気の背景です。陸地の水たまりに岩場の映り込みを入れたりするなど、手間をかけたことがわかります。
このビジュアルは、コロンビアのサンタンデール県のブカラマンガに店を構えるContainer Food Companyのために制作されました。アメリカンフードのレストランで、社名に「コンテナ(container)」が入っているのも、本場の味を届けますという意味が込められているのでしょう。クレーンのモチーフは、そのビジネスのコンセプトをビジュアル化したものだったのです。
コラージュ作品で「異なる素材を1つの紙面に共存させる」ための光源統一
Jaimes氏のコラージュが「バラバラの素材の寄せ集め」に見えないのは、すべての素材に同じ方向から光が当たっているように処理されているからです。光源の方向が揃っていると、異なるソースから集めた写真同士が「同じ空間に存在している」かのように見えます。
コラージュやフォトモンタージュの品質は、この「光源の統一」で8割が決まります。形のトリミングがどんなに精密でも、光の方向がバラバラだと合成感が出ます。逆に、光の方向さえ揃っていれば、多少のトリミングの粗さは目立ちません。
メッセージ、コンセプト、仕上げ
Ivan Jaimes氏の作品に共通しているのは、広告やキャンペーンで伝えようとしているメッセージを少しひねりながらもわかりやすくビジュアル化していることです。
いずれの作品でも、クリエイティブディレクターが別に存在しているようですので、ビジュアルコンセプトはそこで決定されているのでしょうか。しかし少なくとも、そのコンセプトを具現化しているのはJaimes氏の高度な技術です。素材のチョイスと仕上げのひと手間がクオリティを高めるのに貢献していることは間違いなさそうです。
design : Ivan Jaimes (Colombia)
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