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ジュースのラベルデザイン作成例

南米コロンビアの鮮やかさを感じるパッケージデザイン集


飲料のパッケージ作成例

輸入食品を扱うお店を訪れたとき、何とも言えないワクワク感を感じたことはありませんか?普通のスーパーとは違い、並んでいる商品のラインナップの豊富さ、目新しい商品群。そして何より違うのはパッケージデザインのテイストです。国内でも見かける同じような食品でも、国が変わればそのデザインや表現方法も異なります。それは、その国の風土や気候、文化が密接に関わっており、その国独自のバックグラウンドが美意識の構築に大きな影響を及ぼしているからです。

今回は南米に位置するコロンビアで活躍しているデザインスタジオ「Siegenthaler & Co」のパッケージデザインをご紹介したいと思います。日本とはまた違った異国のセンスを一緒に体感していきましょう。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Siegenthaler&Co! )

 

ジャングルをイメージしたアイスクリームのパッケージデザイン制作例

アイスのパッケージ作成例

コロンビアにある食品会社の依頼で、新しく発売するアイスクリームのパッケージとブランディングを担当することになったSiegenthaler & Co。彼らが最初にアイスクリームを試食した際の感想は、「ジャングルの中にいるような感覚」だったそうです。濃密で多様な味わいが混ざり合うような特別なフレーバー。それはさまざまな植物や動物たちがともに暮らす密林のような味わい。

このアイスクリームを表現するパッケージデザインの方向性は「ジャングル」に定まりました。

アイスクリームのパッケージデザイン

このアイスクリームを食べたときの感覚を手に取る方へ届けたい、その思いからパッケージデザインはコロンビアの熱帯雨林をイラストで表現することになりました。そこで参考にすることになったのが19世紀のフランスで活躍した画家、アンリ・ルソーの作品。彼の作品はジャングルを題材にしたものが多く、シュールレアリスムを先取りしたような作風で、ディテールにこだわりながらも平面的でユニークな絵画で知られています。

 

アンリルソーにインスパイアされたデザイン

アンリ・ルソーのように細かなタッチで描かれたジャングルのイラストには、コロンビアの動物や植物たちが隠れています。このパッケージにはコロンビアのジャングルにおける生物相が描かれており、環境保全のメッセージも添えられています。

南米らしい鮮やかな商品パッケージ

冷たいアイスクリームと暑いジャングル。この正反対の事象をデザインで結びつけることで、通常の商品にはないインパクトと特性を購買層へアピールしています。また、カップの全面に描かれているイラストは見ているだけでも楽しく、思わず手に取ってしまうだけの誘因にもなっています。商品名自体が浸透していなくても「ジャングルのアイス」といえば、子供にも大人にも伝わるインパクトは相当なものでしょう。

 

 

コロンビアメイドの世界のパンを表現したユニークなパッケージデザイン制作例

パンメーカーのパッケージデザイン

「sunrise」は、世界各地の有名なパンを販売することで知られる地元のパンメーカーです。その種類はマフィンやクレープ、ワッフルなど国籍を問わずバラエティに富んでいますが、sunriseはコロンビアの首都ボゴダのウサケン地区にあります。

この関係性をパッケージデザインに活かせないかと思案した結果、「ウサケンの中の小さな世界」というコンセプトが出来上がりました。

自由の女神が描かれたパッケージデザイン

エッフェル塔が描かれたパッケージデザイン

ベーカリーのあるウサケンの中央広場を模したものです。そしてその中央に据えられたのが、商品であるパンの出身国の象徴的なモニュメントです。フランスであればエッフェル塔、イギリスならばフォンブース、ニューヨークならば自由の女神。母国のパンをバックにウサケンの中央広場に立つモニュメントたちは、その国のシンボルに相応しく商品を示すアイコンとしてパッケージデザインの中心となっています。

 

熱帯の空模様をイメージしたトロピカルドリンクのパッケージデザイン作成例

ジュースのラベルデザイン作成例

「Blend」というこのトロピカルドリンクは、甘味料や香料、水を一切使用せず、野菜と果物100%で作られた濃厚なジュースです。その味わいは、素材同士の相性とそれぞれの風味を生かした絶妙のブレンド。まさに、コロンビアの熱帯そのものです。

 

飲料のパッケージ作成例

ジュースのパッケージデザインの王道は、フルーツや野菜のイラストレーションです。その表現でももちろん間違いではありませんが、この「Blend」の場合、そのストレートなイメージではなく、複雑にブレンドしたこのトロピカルな味わいを表現するにはもっと別の方法が相応しいように彼らは感じていました。

空を模したグラデーション

そして、行き着いたのが「熱帯の空」というコンセプトです。特に、日の出や日の入りの時間ごとに移り変わるようなグラデーションの空。それは、いくつもの素材をミックスしたこのドリンクのごとく、複雑で絶妙な色合いだからです。そして、王道である素材のイラストレーションは、パッケージの側面部分に入れ、どんな野菜やフルーツが配合されているのかを一目でわかるよう配慮されています。

 

 

シンプルデザインで品質の良さをイメージ付ける、ベーカリーのブランディング

ベーカリーショップのバッグデザイン

「MASA」はコロンビアで腕の良いベーカリーショップとして有名なお店です。そんなMASAから長年使ってきたペーパーバッグのリニューアル案件を依頼されました。すでに美味しいベーカリーとして確立されているブランドである「MASAの商品をいかに魅力的に見せるか」という題目に対し、出した答えは「デザインは極力シンプルに、商品の顔を見せること」でした。

 

ベーカリーのパッケージデザインたち

ベーカリーのパッケージデザインたち

ベーカリーのパッケージデザインたち3

商品そのものである「パン」のモノクロ写真を全面に、カラーはイエロー・オレンジ・ブルーのいずれか1色とし一部分に差し入れられました。このパッケージデザインは商品を直接包む内袋にも採用され統一が図られました。

すでに街を行く多くの人々が「MASA」のパンを知っており、尚且つ商品自体に自信をもっているショップだからこそ、華美な装飾よりも商品そのものを見せ、同時に店名も大きく表記していくことで新たなパッケージデザインを速やかに浸透させていく狙いを持たせました。

 

商品ごとのパッケージ作成例

また、別パターンのパッケージデザインも同じく「MASA」から依頼されました。こちらは、商品ごとの個別パッケージデザインです。

 

ショップバッグ制作例

小包装の食品パッケージ

こちらのコンセプトも基本的には前述のショッピングバッグと同じで、シンプルかつ商品の顔を見せるデザインに統一されています。違うのは、ベースをクラフト紙にし、印刷は黒一色にしてさらにシンプルさを極めていること。粒の小さな商品の包装は中窓を開け、写真の代わりに商品そのものが顔を出すようなデザインにしてあります。

 

ベーカリーのポスターデザイン

また、店内掲示用のポスターもこのデザインの流れで制作されました。商品を主役にしたデザインはそのままに、写真をカラーにしその存在感をさらに強調しています。商品に重なるように配置された象徴的なコピーが、デザインのアクセントとしてよく効いていますね。

 

パッケージデザインから広がるブランド

ショッピングバッグのリニューアル案件としてはじまった「MASA」のプロジェクトは個包装やポスターなどに裾野を広げ、トートバッグや缶バッジなどグッズ制作にも波及しました。シンプルでスタイリッシュなデザインは「MASA」のアイコンとなり、ブランドの新たな魅力を生み出しました。パッケージデザインに端を発したショップブランディングの良い事例です。

 

ルーツの土地柄を表現した、加工肉のパッケージデザイン作成例

ハムやソーセージのパッケージデザイン

スイスのアルペン地方発祥の、ハムやソーセージなど加工肉のブランドである「Koller」。今ではコロンビア国内で製造販売されていますが、創業当初の製法を守り、今でも伝統的な味を提供し続けています。そんなKollerのパッケージデザインを制作するにあたり、やはりコンセプトとして表現していくことになったのは「スイス、アルペン地方の風景」でした。

 

ハムのパッケージ制作例

肉の色を際立たせるブラックをベースに、クリーム色でスイスの酪農風景が描かれています。北方建築の大きな建物とそこから広がる道々に、人や家畜たちが生活する様子が見てとれます。広さや奥行を平面的に表現し、シンメトリーにまとめてられているユニークなイラストです。

シルエットながらディテールまで細かく描写されており、丁寧で緻密な仕事に好感を覚えます。こうした手のかけられたイラストは、職人的な仕事が求められる加工業などとは非常に相性がよく、商品のイメージを向上させる要因にもなります。

 

パッケージデザイン一覧

パッケージデザイン一覧2

ブラック・ゴールド・クリームの3色で構成されたパッケージデザインは、クラシックで質の高い印象を与え、グレードの高いハイクラスな食品のイメージを作り出しています。また、コロンビアにおいて、寒冷地である北欧は対照的なデザインであり、そこがまた印象をより強くアピールしているポイントです。ハイクオリティーな様相は呈しつつ、パッケージの平面的なイラストや肉切り包丁をモチーフとしたロゴマークなど風変りなパーツを置くことで、思わず手に取ってみたくなるような仕掛けもなされているといえるのではないでしょうか。

 

ブランドのビジュアルイメージ1

ブランドのビジュアルイメージ2

ブランドのビジュアルイメージ3

最後に、webサイトや販促向けに撮影された商品を使ったイメージ写真です。色合いやバランスを整え、商品をポップで軽快な雰囲気にコーディネイトしています。パッケージデザインとはまた異なった商品の魅力をアピールする表現方法ですね。これらは動画にもなっておりCMとして使用されているようです。


まとめ

コロンビアはまだ発展途上の国に数えられていますが、世界各国を対象に調査した「幸福度ランキング」では毎年3位までには入る幸福度の高い国として知られています。熱帯特有の熱く陽気なお国柄と人情に厚い国民性が幸福度に反映されているのかもしれません。

今回紹介したパッケージデザインも、基本的には熱帯の鮮やかな雰囲気を生かしたものが多かったように思います。しかしながら、それだけではないデザインに対する冷静な判断と豊かな表現力は「熱さ」だけに頼らないプロの仕事ぶりを感じさせられました。その土地に暮らす人や国の文化を反映しつつ、そのブランドに最適な表現方法を提案することが、デザイナーの力量なのではないでしょうか。

design : Siegenthaler &Co (Colombia)

 

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