Skip links
スキンケア製品のパッケージデザイン

高品位なデザインを提供する韓国の新世代スタジオDesign Momentum


スキンケア製品のパッケージデザイン

韓国の広告デザイン界では、海外で勉強するデザイナーの比率が高いそうです。日本や米国、欧州各国で、マス広告や本格的なタイポグラフィ、グラフィックデザインなどを吸収し、韓国の文化と融合させた独自のスタイルも見られます。

ソウルのデザインスタジオDesign Momentumのクリエイティブ・ディレクターJia Hwang氏も、米国ニューヨークのパーソンズ美術大学(Parsons School of Design)でコミュニケーション・デザインを学びました。

コスメ、美容関連の実績が多いDesign Momentumのブランディングやパッケージデザインは、明快でありながらしなやか。確かなビジョンと柔軟な表現力に基づいた質の高さを感じます。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Design Momentum!)

Design Momentumの「高品位」を支えているのは「デザイン要素間の呼応関係」

Design Momentumのデザインが「高品位」と感じられるのは、個々のデザイン要素(色、フォント、写真のトーン、レイアウト)がバラバラに選ばれているのではなく、相互に「呼応」しているからです。

たとえば、スキンケア製品のパッケージでは、製品の色に合わせてパッケージの背景色が選ばれ、その色に合うフォントの太さが選ばれ、そのフォントに合う余白量が設定されている。1つの要素を変えれば他の要素も連動して調整される、という「デザインのエコシステム」が構築されています。要素単体の品質だけでなく、要素同士の関係性の設計が、制作物全体の品位を決定しています。

 

ヴィーガンコスメのミニマルで上品なパッケージデザイン

ヴィーガンコスメのパッケージデザイン

韓国のコスメブランド「Efilow(エフィロー)」のパッケージデザインは、Design Momentumが手がけたものです。同ブランドは、自分らしい美しさを求める「スロービューティー」の考え方に沿った製品を提供しています。

ベジタリアンよりもさらに徹底して動物由来の食品を避ける、完全な菜食主義者であるヴィーガン。口に入れるものだけではなく、革製品なども使いません。

化粧品でも、動物性の成分を含まず、製造過程でも動物実験をおこなわない「ヴィーガンコスメ」というカテゴリーがあります。Efilowもそのヴィーガンコスメのひとつです。製品の成分だけでなく、パッケージも環境に配慮して作られています。

ロゴタイプの美しさを生かしたシンプルなラベル

ブランドロゴデザイン

EfilowのブランディングもDesign Momentumがおこないました。

リガチャー

小文字で組まれたEfilowのロゴタイプは、トランジショナル・ローマン体のセリフ書体を使った、とても美しいものです。字間のとり方や、「fi」の合字(リガチャ)などを見ても丁寧に作られたことがわかります。

コスメのラベルデザイン

Design Momentumがデザインした、カーミングクリーム、バランシングトナー、洗顔用石鹸などのラベルは、テキストだけで構成されたミニマルなものです。テキスト要素をサンセリフ書体にすることで、ロゴタイプをきわ立たせています。

シンプルなデザインですが、アーチ状にレイアウトされた製品名や、それに沿った丸いカットアウトによって、無機質さや冷たさは感じさせません。また、無彩色のラベルは内容物の色や質感を引き立てています。

フェイシャルシートの落ち着いた色とイメージ

パッケージのカラー

ヴィーガンは心の健康や精神面の充実を重視する点で、身体的健康志向のベジタリアンとは違う、という見方をするひともいます。「ガーデニング」「お茶」「マインドフルネス」というテーマを持ったEfilowのシートマスクは、そういう意味で、いかにもヴィーガン製品らしいと言えるでしょう。

フェイシャルシートのパッケージデザイン

このシートマスクの個装パッケージを、Design Momentumはアブストラクトな写真で飾っています。ガーデニングには、風になびいているかのようにブレた葉、お茶には波紋が使われています。マインドフルネスには、お香から立ちのぼる煙をモチーフとしたブルーのイメージです。

 

レッド・ドット賞に輝く健康美容関連のリブランディング

リブランディングしたロゴ

韓国ソウル市に本社を構えるアモーレパシフィック(Amorepacific)は世界的な化粧品メーカーです。同社がMZ世代向けに立ち上げたブランドに「Cube Me(キューブミー)」があります。

Cube Meは健康な暮らしが美につながるという考え方のもとで、からだの内側からサポートする製品を提供しています。コラーゲンやビタミン、さらには水分を、水を飲まずにかみ砕いて摂取できるタブレットです。タブレットが四角いキューブ状なので、このブランド名になりました。

デビュー以来、Cube Meブランドは、消費者から好意的に受け入れられていました。その後、製品ラインを拡大し、スキンケア・ブランドからライフスタイル・ブランドにコンセプトが変更されます、これを受けて、2020年にブランド・アイデンティティのリニューアルがおこなわれました。

サンセリフ体からセリフ体のロゴへ

ロゴのリニューアル

2018年にCube Meがスタートしたときにブランディングを手がけたDesign Momentumが、2020年のブランド・リニューアルもおこないました。

初代ロゴはシンボルマークとワードマーク(ロゴタイプ)との組み合わせでした。シンボルマークは、Cube Meの頭文字を組み合わせたモノグラムです。均一の太さのラインで構成されたミニマルなものです。ワードマークは大文字のサンセリフ体で組まれていました。モダンで洗練されたデザインです。

2020年のリブランディングで、シンボルマークはモノグラムから、「C」をモチーフにした、よりシンプルな単独のマークに変更。ワードマークはたっぷりとしたセリフ書体になりました。また、2単語で表記されていたのですが、スペースを無くし結合されています。

初代のライトなサンセリフのロゴと比べると、あたらしいロゴタイプのほうが、健康的ではつらつとした印象です。「b」のスワッシュ(ひげ飾り)によって、「u」と「b」がつながっているかのように見えるのがおもしろいです。

躍動的なシンボルマークは、無地のカートンボックスに1個入れるだけで全体の景色を変えてしまう、とても個性的な強さを持っています。

コミュニケーションデザイン部門で2021年に受賞

ブランド・デザイン部門

このリブランディングは、レッド・ドット・デザイン賞(Red Dot Design Award)のブランド・デザイン部門で賞を獲得しています。

レッドドット・デザイン賞は、iF(International Forum)、IDEA(International Design Excellence Awards)とともに世界3大デザイン賞にあげられている歴史ある賞です。

パッケージデザイン部門でも2019年に受賞

パッケージデザイン部門

初代ロゴとともに2018年にデビューしたCube Meは、リブランディングに対する賞の前に、パッケージについてもレッド・ドット・デザイン賞が贈られていました。

Cube Meは、口から摂取するサプリメントですが、その用途は、からだの内側から肌に働きかけるスキンケアです。そのため、Design Momentumは、スキンケア商品として受け取られるようなパッケージにデザインされています。

パッケージデザイン部門2

肌の色に通じる落ちついたトーンのカラーパレットと控えめのタイポグラフィで、そのデザインコンセプトを実現しています。2020年のリブランディングでロゴは変わりましたが、スキンケア商品としてのパッケージデザインは引き継がれています。

 

具象的でありミニマルなスキンケア製品のブランディング

スキンケア製品のパッケージデザイン

韓国の南部に浮かぶ観光地、済州島(チェジュとう)のサンゴを成分にもつスキンケア製品が、Coralist(コーラリスト)です。サンゴを美容成分に採用したのは、韓国ではCoralistがはじめてでした。

Design Momentumが手がけたパッケージデザインは、この最大の特徴をストレートに表現したものです。ホワイトスペースを生かしたレイアウトで、サンゴのイラストを大きくあしらい、それ以外のグラフィック要素は一切なくした、ミニマルなコンセプトのデザインです。ロゴタイプとテキスト以外に余分な要素はありません。

スキンケア製品のロゴ

イラストのサンゴは具象的に描かれていますが、水彩画、または水彩画風の加工のおかげで、やさしくオーガニックな印象を与えます。カラーパレットもサンゴのレッド系と無彩色で、すっきりとまとめられています。徹底してサンゴを軸として、できるかぎり無駄を削ぎ落としたブランディングといえるでしょう。

ロゴタイプにも、サンゴの形状をモチーフとしたと思われる加工をほどこしてあります。基本的にはヒューマニスト系のサンセリフ体といえますが、細かいひねりが思いのほか多く加えられていて、おもしろいですね。結構ユニークなデザイン処理がおこなわれていますが、いやみは感じません。

スキンケア製品のパッケージにおける「触れたくなるような質感表現」の重要性

Design Momentumのスキンケア製品パッケージでは、ビジュアルだけでなく「触りたくなる質感」がデザインの重要な要素として組み込まれています。マット仕上げの表面、スムースな角の処理、指で触れたときの適度な厚み。

スキンケア製品は「肌に触れるもの」であるため、パッケージも「手で触れる体験」が製品全体の品質感を左右します。ツルツルした安価なプラスチック容器と、マットで滑らかな高品質容器では、中身が同じでも消費者が感じる「効きそうな期待値」が変わります。パッケージの触感設計は、デジタル上のデータでは確認できないため、必ず実物のサンプルで確認する工程が不可欠です。

design : Design Momentum (Seoul, Korea)

 


▶︎ デザイン制作依頼・料金を知りたい方はこちら / ▶︎ デザイン制作実績を見る / ▶︎ 海外デザインの紹介記事一覧 / ▶︎ デザイン制作のガイド・媒体の特徴
最後までお読みいただきありがとうございます。共感する点・面白いと感じる点等がありましたら、【いいね!】【シェア】いただけますと幸いです。ブログやWEBサイトなどでのご紹介は大歓迎です!(掲載情報や画像等のコンテンツは、当サイトまたは画像制作者等の第三者が権利を所有しています。転載はご遠慮ください。)

この記事について

執筆: ASOBOAD編集部

デザインの潮流や作例調査をもとに記事制作・編集を行っています。

運営: ASOBOAD(アソボアド)

デザイン事務所AMIXが運営するオンライン完結型のデザインサービスです。