
Ben Galbraith氏はイギリス、オーストラリア、シンガポールの有名なデザインスタジオで15年以上の経験を持つデザイナーの1人です。Ben Galbraith氏の強みは、オリジナリティ、ユーモア、そしてゼロから立ち上げるブランドを構築すること。確立されたブランドに関しては新しい市場で輝けるよう、更に売り上げを伸ばす手助けをしています。
デザインにまつわるディレクションやブランド戦略、パッケージやネーミングなど全ての工程に携わるBen Galbraith氏の素晴らしい作品をご紹介いたします。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Ben Galbraith!)
Galbraith氏の「マルチプレイヤー」としての強みは「媒体が変わっても設計思想が一貫する」こと
Ben Galbraith氏がロゴ、パッケージ、Web、エディトリアルと幅広い媒体で活躍できているのは、個々の媒体の技術力だけでなく、「ブランドのメッセージをどの媒体でも一貫して伝える」設計思想が根底にあるからです。
ロゴだけ作れる人、Webだけ作れる人はそれぞれ専門家として価値がありますが、クライアントが最も助かるのは「すべてのタッチポイントを1人の設計思想で統合できる人」です。Galbraith氏のポートフォリオは、「複数の技術を持っている」のではなく「1つの思想を複数の媒体に展開できる」ことを証明しています。
大胆なイラストに惹きつけられるワインのラベルデザイン


切手のようなラベルカッティングが個性的な「巨人の国」のワイン。マーク・バークハート氏による繊細でありながらも臨場感のあるイラストが描かれています。Land of Giantsは、かつてマールボロ平原を歩き回っていた巨大な在来種の鳥「モア」にインスピレーションを受けて制作されました。
イラストにも表されているように、人間よりもはるかに大きい鳥の頭がにゅっと出てきた大胆でユニークなそのイラストが印象的です。映画のタイトルのような太めのサンセリフ体で構成されたLand of Giantsのロゴには箔押しを使用して高級感があります。
その下にぎゅっとバランスよく詰められた情報は全てブラックで統一。ワインのラベルは比較的小さめで下部に寄っており、全体のイメージはシンプルに仕上がっています。キャップの部分にロゴマーク入りの少し濃いモスグリーンのラベルを仕込むことで全体が締まりますね。ロゴマークはLとGが絡み合った蔦のモチーフでこの土地の自然を感じさせます。

そして箱のパッケージデザインにはなんと巨大な鳥の足のイラストが使われています。このワインを知らない人が見れば、一体どういう背景があるのか気になりますよね。とても思い切りが良く、ストーリー性を感じさせるユニークな発想です。
爽やかでポップなミネラルウォーターのパッケージデザイン

夏らしく鮮やかな色を使うのではなく、敢えてパステルカラーを使った涼しげな飲料水のパッケージデザイン。「SOMMA」は”アルコール性のミネラルウォーター”と銘打たれています。人工的な色や風味をつけず、すべて天然で作られており、炭水化物は少なく、砂糖などは添加されていません。

パッケージのイラストに描かれているのはビクトリアの絶滅した火山、そして太陽の恵み、生き物がいる広大な海、植物など自然にまつわるものがモチーフとなっています。全てはロゴと同じ濃いブルーの線で描かれています。情報として大事な「NO SUGAR」などは味の表記などと同じカラーで表記されています。どちらの味も、全体を3色でまとめたことで統一感が出ますね。少し丸みを帯びた優しいゴシック体で全体がポップに、更にイラストを使用することでより親しみやすく感じます。夏を感じさせる、爽快なパッケージに仕上がっています。
コンテンポラリーなパターンがおしゃれなソーダのラベルデザイン


柔らかなパステルカラーとコンテンポラリーなパターンを組み合わせた大胆なパッケージが印象的なSomersault Soda。Somersault Sodaはメルボルンの有機食材からゆっくりと時間をかけて醸造されています。
パッケージでは4つの味をそれぞれのカラーとパターンで差別化しています。製品ロゴは黒縁の細めサンセリフ体で、そのほかの文字情報も模様も全てブラックで統一されていて見やすいですね。ちなみに箱に入れた時にもキャップ下に入れているラベルと同じパターンの柄が見えるので、そこでもしっかりと味の違いがわかるようになっています。
Galbraith氏の制作物に見る「同じトーンの色が繰り返し登場する」統一感の仕組み
Galbraith氏の複数のプロジェクトを横断して見ると、各プロジェクト内で使われている色のトーン(彩度の帯域、明度の範囲)が一定の範囲に収まっていることに気づきます。色そのものはプロジェクトごとに異なりますが、色の「強さの帯域」が揃っている。
この「トーンの帯域の統一」は、制作物を並べたときに「同じ人が作った」一貫性を生みます。ポートフォリオに統一感を持たせたいとき、色を揃えるのではなく色の「トーンの帯域」を揃えると、プロジェクトごとの個性を維持しつつ全体の調和が取れます。
ブラックで統一された高級感漂うロゼのラベルデザイン

細めのストレートの瓶にブラックで統一されたパッケージが映えますね。ピノ・ノワールのぶどうは夜に収穫されます。パッケージのマットな質感と、静かな印象が収穫の風景を表しているのでしょう。ラベルには少しだけエンボス加工で植物や鳥がモチーフで浮き出ています。

また、ブラックの空気感を壊すことなく、さりげなくシルバーの箔押しも使われています。その中でも「CUPIO」という製品ロゴはひときわ目立つホワイトを使用。瓶を含め、ダークな印象の中でクッキリ浮き立つロゴが美しいですね。また、ストレートの瓶のシルエットを生かし、敢えて中心ではなく、上部に寄せたラベル位置もおしゃれです。
まとめ
今回選んだパッケージをそれぞれ比べてみると、全てジャンルの異なるイメージのデザインだったかと思います。色使いやレイアウトのスペースの使い方、フォント選び、様々な角度で作品を創り出せる豊かなデザイン力が素晴らしいです。デザインだけでなく、ディレクションやブランド戦略など全てを通して依頼できるそうなので、今後の活躍に更に期待が深まりますね。
design : Ben Galbraith (Australia)
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