本日はパリのデザイナー、Ghassen KADRI 氏のロゴフォリオをご紹介します。 芸術の都市であるパリで生み出され、現地に息づくデザインはどのようなものか、さっそく見ていきましょう。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Ghassen ! )
モノクロの洗練されたロゴデザイン作成例
セリフと呼ばれる装飾のついたローマン体を用いた、ボックス型ロゴです。 本来であれば、正方形のボックスの上にわずか3文字をレイアウトする、ポップで単調になりがちな組み合わせ。 それをあえて小文字のローマン体という装飾的なフォントを選ぶことで、ぐっと印象的に仕上げています。
紋章からインスピレーションを受けたと思われるデザインを、均一のストロークで表現したロゴ。 本来の紋章の持ちうる華美さを、現代的で気取らないフラットデザインに昇華しています。
ラインの省略が印象的なロゴで事案です。 読んで字のごとく、という言葉がありますが、目にしてその字のごとく、一瞬にしてすっと空間に溶け込んで消えてゆくアロマ。 その雰囲気と、不思議な残り香の存在感、そしてどこかエキゾチックなイメージが見事に表現されています。
いずれも白地に黒で表現され、一見控えめでありながら洗練されたロゴたちは、どこにあしらっても全体のまとまりを損なうことなく、そのブランドイメージを明確に演出する事でしょう。
繊細さを華奢なロゴタイプで表現
軽やかながら、匂い立つようなセクシーさと上品さを両立した女性に相応しい、コスメティックブランド”LUSH”のロゴ。 華奢すぎるほどの字体ですが、その華奢さがかえって硬質な印象を抱かせず、女性的かつ優美にまとまっています。 銀箔のようなメタリックさで表現することにより、まるで上質なアクセサリーのように、さりげなくも確かな存在感がキラリと輝きます。
デフォルメが絶妙な動物モチーフのロゴデザインたち
動物モチーフのロゴも粒が揃っています。 魚屋・寿司バー・ホテル・コーヒーショップとその展開は様々ですが、いずれのデザインも動物たちは適度にデフォルメされ、ロゴの一部となっています。 ひとつひとつを見ていくと、全体の調和がとれており、制作者が文字とモチーフの複合されたデザインもフラットにまとめる技術を持った人物であることがうかがえます。
“Kangaruu”は寿司を扱うお店らしく、白地の中央にある赤い円は、見ようによっては寿司のふるさとである日本の日の丸を連想することができ、目にした者を異国を彷彿とさせる店内へ誘うのではないでしょうか。
植物をモチーフにしたロゴ制作例
植物モチーフは、web2.0時代を思い起こさせるものからフラットデザインまで、視認性の高さを保ちながらも品良くまとまっています。
“Sweet Pea”は一粒のエンドウ豆がモチーフのロゴです。 生まれたてで儚く小さく、それでいて限りない可能性を秘めた、愛らしい赤ちゃんのような小さな種。 その丸みをおびた形状と母性を連想させるピンクの配色が、ベビーグッズのロゴに相応しい、ぬくもりや安心感を演出します。
“Leafypedia”を見ると、制作者にはロゴに限らず、アイコンのオーダーにも対応していたことがわかります。 アプリアイコンはロゴデザインとは異なり、スマートフォンやタブレット上で一目でわかる存在感を放ちつつ、飽きのこない見た目に仕上げることが要求されますが、そういった要件を満たすデザインに仕上がっているのではないでしょうか。
まとめ
ポートフォリオなどに単体でまとめられたロゴというものは、それだけ見ると、もしかしたら物足りなく感じられるかも知れません。 ですが、Ghassen KADRI氏は、どういった状況でロゴが使用されるか―パッケージに印刷されて店頭に並ぶ姿や、看板になり街中に大きく掲示される姿など、その完成系の姿の調和をイメージした上で制作にあたっている印象を受けます。
優れたデザインがあふれ返る街、パリにおいて、洗練されながらも主張しすぎることのないデザイン。 現地を訪れれば、実際に目にする事があるかも知れません。その時は、どのような印象を受けたか―今回web上で見た印象から、何か変化がなかったか、ぜひ確かめたい。そう感じさせられるデザインでした。 芸術の街に息づく、Ghassen KADRI氏のロゴのご紹介でした。
design : Ghassen KADRI ( France )
サイトへのお問い合わせ・依頼 / 各種デザイン作成について