先週は、デザイン案件のラフ案作成やロゴのブラッシュアップ、そして新規クライアント向けの提案資料づくりなど、細かくもクリエイティブな作業が立て込んでいました。朝から夕方まで、気づけばディスプレイ越しに時間が流れ、目まぐるしく移り変わるタスクと、何度も見直しを重ねていく過程。その中で、印刷関連の見積りや発注確認を行う時間さえ、感覚的には一瞬でした。
そんな怒涛の先週を乗り越えた今週、ようやくほんの少しペースダウンし、自分たちの取り組みを俯瞰する余裕が生まれています。とはいえ、静寂な時間が訪れると、デザイナーとしての心には不安という名の小さな影が揺らめくものです。
「今、受注が落ち着いているけれど、これで大丈夫なのかな?」
「新しい案件はこの後、どのタイミングで動き出すだろう?」
ビジネスは生き物のようなもの。波があれば凪もある。そのバランスの中でうまく舵取りをすることは容易ではありません。忙しさを欲しがる一方で、ゆとりがあると今度はそれを心配する。デザイン事務所を運営していく中で、このジレンマはいつも私たちのそばにあります。でも、こうした揺らぎは、より良い成果や新しいアイデアに向かうための呼吸のようなものなのかもしれません。
金沢の心温まる贈り物
そんな微妙な心理状態の中、親しくさせていただいているグラフィックデザイン事務所の方が、先日金沢へ行かれた際に素敵なお土産を届けてくれました。箱を開けると、そこにはまるで小さな宝石箱のような、美しい彩りの寒天菓子が並んでいます。半透明の寒天には、加賀棒茶が練り込まれているとのこと。その一粒を口に運ぶと、最初はほんのりとした甘みがあり、続いてお茶の香ばしい風味が鼻腔に広がります。後味は意外なほどすっきりとしていて、ふわりと消えていく。その余韻は、まるで金沢という土地の静かな文化性や歴史の深みを感じさせるような、控えめで上品な味わいでした。
忙しさと静けさ、どちらに傾いても心は不安定になることがあるものです。でも、この小さなお菓子が教えてくれたのは、日々の喧噪の中にあっても、ふとしたときに立ち止まることで見えてくる幸福や発見があるということ。
デザインという仕事は常に新しさ、独創性、そしてスピードを求められがちですが、その奥には人の心を和ませたり、穏やかな気持ちにさせたりする力が隠れているはずです。美しいものを見たり、美味しいものを味わったりする体験は、結局のところ、クリエイティブな思考を活性化し、自分たちが提供するサービスや作品の質を底上げしてくれる原動力になっていくのでしょう。
このお土産がもたらした、ほんのひとときの安堵。その感覚は、忙しく過ぎ去っていく時間の合間に、デザインという仕事の根底にある喜びや使命を改めて思い出させてくれます。そして、また新しい案件が舞い込んでくる時には、きっとより前向きな気持ちで挑んでいけるはず。そんな心の余裕を感じながら、今日も事務所の中で静かに次のアイデアを育てています。
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