白紙に戻す。
白日の下にさらす。
白羽の矢が立つ。
白星を上げる。
「白」を含む言葉は数多く、いかに「白」が人々の中に強いイメージを根付かせているかを伺い知ることができます。日本でも古来より白は神聖な色とされており、神主や巫女などの聖職につく人たちの装束や花嫁が着る白無垢など、穢れなき色として文化と密接に関わってきました。
白は何にも染められていない色として、清潔さや純粋さというような清らかなイメージのほか、「白紙に戻す」という言葉に代表されるスタートやリセットという意味、「白日の下にさらす」や「明白」という言葉のように真実を明らかにするという意味も持っています。
白は色味を持たない無彩色。光をすべて反射し輝くような眩しさを持つ白は、どんな色にも染まっていないからこそ、どんな色とでも相性良く組み合わせることができます。
「白」のイメージワード
●純粋 ●真新しい ●清潔 ●潔白 ●神聖 ●イノセント ●リセット ●光 ●無 ●正義 ●軽い ●祝い事 ●静寂 ●空気 ●雪 ●雲 ●うさぎ ●花嫁 ●白衣
「白」の心理的効果
・清らかで純粋なイメージ
・汚れのないクリーンなイメージ
・手つかずの新しさ
・清廉潔白
・理想の高い完璧主義
・虚無感
「白」に近い色のイメージ
黄色みと赤みを少し加えた明るい白(アイボリー・オフホワイト・ミルキーホワイトなど)
ほのかな・あたたかみ・優しさ・やわらかい・上品・ナチュラル・肌
青みがかった明るい白(スノーホワイト)
雪・冬・冷たい・高貴・自然・純白・パウダースノー
若干黄色みのある明るい白(パールホワイト)
真珠・宝飾品・品のある・贅沢・クラシック・滑らかな
「白」をデザインに取り入れるポイント
白は色味をもたない無彩色。光をほぼ全て反射し、光で色をあらわす加法混色では、色光の三原色である「赤」「青」「緑」の3色をすべて混ぜると「白」になります。
白は、すべてを包み込む光を象徴し、光のように高い明度と彩度を持ちます。明度に関わる色の感覚に「軽重感」と「柔硬感」がありますが、白は色の中でもっとも軽く、柔らかい印象を持つ色ということになります。宅配便の段ボールに白いものが多いのは、この軽重感を利用したもので、茶色の段ボールより白い段ボールの方が軽く感じられるからだそうです。
また、彩度に左右される色の感覚には、派手さや興奮度をあらわすものがありますが、白は色味を持たないため、派手さや興奮という概念を超越し、開放感のあるイメージが強く現れます。終わりのない開放感を持つ白は「無」とも言い換えることができ、背景に設定することで物理的な存在感を消し去ることができます。
デザインに興味を持っている人にはおなじみの「余白の美学」もこれに相当し、白を使って無のスペースを作ることで適度な間隔が生まれ、デザイン要素を美しく際立たせて見せることができます。ただ、あまり白のスペースを多用すると、味気無さや虚無感を感じ手抜きのデザインに見えてしまうので注意が必要です。
また、無彩色の白は、どんな色と組み合わせても違和感なく調和しますが、とくに明度・彩度の暗い色と組み合わせるとコントラストで視認性が高くなり、目線を誘導しやすい配色になります。デザインの中で「ここは注視させたい」という場面には、暗い色と白を組み合わせたコントラストの高い配色が効果的です。
白は絵を描くためのキャンバスのように、すべてのデザインの出発点となる色。白が持つ性質やイメージを生かし、好感度の高いデザイン制作に生かしましょう。
※色が与える印象や影響には個人差があり、国や環境・文化背景などによっては持つ意味や受け取るメッセージが異なる場合もあります。
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