命力溢れる日の光の後に必ずやってくる夜の闇。太極図が示す通り、陽と同じ分だけ陰は存在します。同じ無彩色の「白」が「光」の象徴ならば、「黒」は「影」の象徴。影の存在がなければ、光もまた存在はしません。
黒は、すべての光を吸収する色といわれ、減法混色では色の三原色すべてを混ぜると黒に限りなく近い色になります。見ているだけで吸い込まれるような強い心理的効果を持つ黒は、ブラックマンデーやブラック企業というように、言葉の上でも負のイメージを背負わされることの多い色。強い威圧感と底の知れない闇に感じる漠然とした恐怖が色のイメージに重なります。
しかし、黒のイメージはそれだけではありません。他の色にはない研ぎ澄まされた高級感やフォーマル色としての不動の地位。他のどんな色よりも影響力の強い黒は、揺るぎない価値を表現するにはもっとも適した色と言えるでしょう。
「黒」のイメージワード
●闇 ●夜 ●宇宙 ●威厳 ●高級感 ●恐怖 ●不吉 ●洗練 ●クール ●普遍性 ●孤独 ●重力 ●神秘 ●髪 ●カラス ●墨 ●タイヤ ●喪服 ●スーツ
「黒」の心理的効果
・確固たる信念
・洗練された高級感
・フォーマルの定番色
・クール&モダン
・恐怖と孤独感
「黒」に近い色のイメージ
深く艶のある黒(漆黒・リッチブラック)
和の伝統・漆器・高級感・情緒豊か・趣・黒髪・闇
青みと黄色みのある濡れたように艶のある黒(濡羽色)
カラス・濡れ髪・色気・輝き・光沢
黒に限りなく近い濃い灰黒色(墨色)
墨・僧侶・スタイリッシュ・ミステリアス・禅・礼儀
「黒」をデザインに取り入れるポイント
デザインにおける黒のイメージは、格式の高い高級感やファッショナブルでクールなイメージなど商品やブランドのイメージにプラスに働く非常に有用な色です。
白の反対色にあたる黒は、明度と彩度がもっとも低い色。収縮性が高い色なので、視覚的な引き締め効果があり、黒い服を着るとスリムに引き締まって見えます。
また、黒は他のどの色よりも奥に引いて見える後退色。それゆえに、黒と配色された色は一歩前に飛び出すように見えるため、どんな色でも鮮やかに美しく引き立ちます。黒い皿に料理を盛り付けると品よく美味しそうに見えるのは、黒が後退色であるおかげと言っても過言ではありません。
心理的には威圧感ともとれる程の硬く重みのある重厚感は、裏を返せば揺るぎない安定感やプロフェッショナリズムと捉えることもできます。暮らしを豊かにするテレビやオーディオなどのAV家電は黒モノ家電とも呼ばれ、置いておくだけでもインテリアの中で洗練された高級感を感じさせます。言葉としても、「黒字」や「黒潮」、「大黒柱」など豊かさを象徴する言葉としてよく使われています。
黒の他の色に影響を受けない圧倒的な強さは、名立たるブランドのロゴマークの色としてよく使われる理由の一つでもあります。時代が変わってもブレない普遍性や、偏りのない個性を主張する時、黒は唯一の力を発揮します。
高級感を表すならゴールドやシルバー、先進性を表したいなら青や緑、ファッション性を高めたいなら赤やピンクなど、表現したいイメージに合わせてアクセントカラーを効かせインパクトの強いメッセージを発信しましょう。
※色が与える印象や影響には個人差があり、国や環境・文化背景などによっては持つ意味や受け取るメッセージが異なる場合もあります。
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