時は飛鳥時代、かの有名な聖徳太子が制定したといわれる日本初の階級制度、冠位十二階。役人の能力や功績によって位を与え、位ごとに決められた色の冠を被ることで地位が一目でわかるという、それまでの家柄による位制度を一新した当時の画期的な人材登用制度です。その中でもっとも高い地位にあったのが「徳」と呼ばれた位で、徳の臣下には紫色の冠が与えられたそうです。
その頃、紫色を抽出するのに使われたのがムラサキ草の紫根。紫の染料を作るには大量の紫根が必要で、尚且つ、抽出するのに大変手間がかかったため、紫の着物を身に着けるのは高貴な身分の人に限られていたそうです。
これには海外でも同じようなエピソードがあり、古代西洋では、紫の染料を作るのに使われた貝の分泌物は2000個の貝からわずか1gしかとることができず、高位の聖職者が着る法衣の色として使われていたそうです。
その貴重さから古くから尊ばれてきた紫は、今でも高貴で贅沢なイメージを思い起こさせます。また、紫は赤と青という全く正反対の性質を持つ色の混色。情熱と冷静さという相反する感情を持ち合わせた、非常に複雑で深みのある神秘的なイメージを持つ色でもあります。
「紫」のイメージワード
●高貴 ●上品 ●優雅 ●神秘的 ●スピリチュアル ●精神性 ●官能的 ●非日常 ●大人 ●癒し ●和風 ●藤 ●紫陽花 ●ラベンダー ●ぶどう ●アメジスト
「紫」の心理的効果
・高級感漂う上品なムード
・大人の魅力を感じる深みのある雰囲気
・精神世界とつながるスピリチュアルな空気
・高い美意識を持つ芸術性
色味や濃さによって変わる「紫」のイメージ
明るくやわらかな紫(ラベンダー)
ノスタルジック・カントリー・ほんわか・メルヘン・甘い・少女・ロマンチック
鮮やかな青紫(バイオレット)
神秘的・思慮深い・瞑想・ミステリアス・鋭敏な感覚・パンジー
鮮やかな赤紫(パープル)
派手・魅惑的・ドラマチック・エキゾチック・スリリング・芸術的
明るく強い赤紫(アメジスト)
聡明・癒し・守護・透明感・精神的・慈愛
「紫」をデザインに取り入れるポイント
紫は「情熱」と「冷静」という正反対の感情を象徴する暖色の「赤」、寒色の「青」を混色してできる特別な色です。不安定な危うさと非日常的なミステリアスな魅力を持ちながらも、見ていると不思議と心が癒されるのは、人間が心の中に常に二つの感情を持ち合わせているせいなのかもしれません。精神的に疲れを感じた時などは紫を近くに置くことで、心身を癒しバランスを整える効果が期待できるようです。
加えて紫は前述のとおり、古来より高貴な色として尊ばれてきました。高い品格と、ミステリアスな雰囲気、人を魅了するスピリチュアルなイメージ。他の色とは一線を画す、独特なインパクトを与える魅力的な色だけに、デザインに取り入れる際には使いどころをよく選ぶ必要があります。
ふんわりと優しいメルヘンチックなイメージを表現したいなら、明るく穏やかなラベンダー色が最適です。ラベンダー色なら広い面積に使用しても印象がやわらかいため、背景色やメインカラーとしても使うことができます。
濃い紫や鮮やかな紫はインパクトが強いため、ポイントを絞って取り入れる方が効果的でしょう。上品なイメージを印象付けたい場合は、できるだけ濃いめの紫を使用し、派手さを抑えた品格ある見せ方がおすすめです。鮮やかな紫は、ファッショナブルな印象や個性的なデザインなどクリエイティブな表現によく合います。
また、美容室やエステサロン、マッサージ店や飲食店、バーなど日常から一歩離れたイメージを表現したいシーンには紫が活躍します。
紫が持つ個性的な心理効果を使い、より魅力的なデザイン表現で伝えたいイメージを発信しましょう。
※色が与える印象や影響には個人差があり、国や環境・文化背景などによっては持つ意味や受け取るメッセージが異なる場合もあります。
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