奈良県で2017年に開催される「国民文化祭」ロゴの540万円の制作費用が不当に高いとして、県の市民団体が「30万円が適切」として差額を知事に請求しているそうです。国民文化祭のロゴは水野学さんが作成されています。水野さんはあのくまモンも手がけた腕のあるデザイナーさんですね。詳しくはこちらの記事を

こういう問題は、両極端な意見がぶつかり合って大体揉めるわけですが、デザイナーを責めるような発言は完全にお門違いです。(市民団体の主張自体は行政側に対しての指摘であり、何も問題ないと思います。) 一般的な感覚として「1年のイベントに税金で540万円使ってロゴを作るのはどうなの?」と思うこと自体は、全然間違っていないと思います。

市民団体が、自分たちの税金の使い道に対しておかしいと思うことがあれば、意見を主張するのは当然です。そこで、”今後”どうしていくかを考えるのは行政側であって、もしデザインの手がけた水野さんを貶めるようなことや、水野さんのロゴの金額(価値)が不当であるというような考えになるようであれば、それは間違っていると思います。

それに、こういうことはケースバイケースであって、どんな判決が出たとしても「540万円のロゴ=高い」というわけでは無いと思います。

ユニクロのロゴ

TungCheung / Shutterstock.com

たとえば、今や世界的なブランドであるユニクロや三井物産のロゴなどを手がける有名デザイナーの佐藤可士和さんなんて、もっと高い値段でお仕事されていると思います。(ロゴだけではなく、その他諸々企業のブランディングに関することを包括的にされていると思いますが) 相応の価値があるかどうかは相対的なものであって、クライアントが納得しているなら、それはもう誰も文句は言えないはずです。

デザイン業も商売なので、自分の作り出すロゴ(商品)のクオリティーや自分自身のブランド力と価格が釣り合わなければ、誰もお金を払ってくれません。美味しくないのに高いレストランなんて、すぐに潰れてしまいます。世間全体から、不当に高いと思われているなら、常識的に考えて生き残れないはずです。僕が540万でロゴやりますよー!と言ったところで成り立つかどうかは明白ですよね。水野さんには、きっとその価値があるのです。

ロゴを制作するプロレスは人それぞれ

またデザインは、たとえば工業製品のように全く同一の商品を量産するわけではありません。となれば、ロゴを生み出すまでの労力やアイデアの作り方などが人によって異なるため、価格に大きなバラツキが出ても何もおかしなことではありません。

ロゴデザイン費用の内訳

大規模なロゴプロジェクトの費用には、デザイン制作だけでなく様々な工程のコストが含まれています。

工程 内容 全体に占める割合の目安
戦略立案・リサーチ 競合分析、ターゲット設定、ブランドポジショニング 20〜30%
コンセプト開発 複数の方向性の検討、キーワード抽出 15〜20%
デザイン制作 ロゴの形状、カラー、タイポグラフィの設計 25〜30%
プレゼンテーション 複数案の提示、コンセプト説明 5〜10%
修正・ブラッシュアップ フィードバックに基づく調整 10〜15%
ブランドガイドライン 使用ルール、カラー仕様、最小サイズ規定などの文書化 10〜15%

540万円クラスのプロジェクトでは、これらすべてにプロフェッショナルチームが数ヶ月にわたって関わります。

ロゴデザインの価格帯別の違い

価格帯 含まれる工程 適した事業規模
3〜10万円 デザイン制作のみ(1〜3案) 個人事業主、スタートアップ
10〜50万円 ヒアリング+デザイン+修正 中小企業、店舗
50〜200万円 戦略+デザイン+ガイドライン 中堅企業、リブランディング
200万円以上 ブランド戦略全体+VI設計+各種展開 大企業、グローバル展開

ロゴの価格は「デザインの品質」だけでは決まりません。関わる人数、工程の深さ、ブランド戦略全体への貢献度で決まるものです。自社にとって「何が必要か」を明確にすると、適切な予算が見えてきます。

「安いロゴ」を選ぶリスク

格安のロゴには以下のリスクが伴うことがあります。

  • オリジナリティの欠如: テンプレートの使い回しや既存フォントの加工だけでは、他社と差別化できない
  • 商標登録できない: 類似のロゴがすでに登録されている可能性がある
  • 拡張性の不足: 名刺サイズでは問題なくても、看板やパッケージに展開すると破綻するデザイン
  • データ品質: ベクターデータ(AI/EPS)ではなくPNG等のラスターデータのみで納品されると、拡大時に画質が劣化する

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執筆・編集ASOBOAD編集部

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