デザインソフトの技術を効果的に活用した、モーフィングや実在するような質感、また動作の過程や成長を表す様な有機的なロゴが目立つ年と言えるのではないでしょうか。今回も海外のデザインWEBマガジン「LogoLounge」より【2006年のロゴデザインのトレンド】を紹介していきたいと思います。(Thank you Bill !! )※翻訳・編集・掲載許可をいただいています。
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2006年 流行したロゴデザインたち
ロゴトレンド1 【ブランケット】
このAquaconのロゴマーク(図1)は波や他の使い古された要素を使わずに、完璧に水面を表しています。これは、風になびくマイクロソフトWindowsのロゴや幾何学的な風景をイメージしたバンク・オフ・アメリカのロゴが進化したもののように見えます。
1. Chimera Design for Aquacon 2. SD Graphic Design for Crabtree Lane Studio 3. Gabi Toth for Chequered Flag Limited 4. Brandient for Radiocom
ロゴトレンド2 【ブレンダー】
激しい動きと光を持つこれらのロゴは、まるでブラックホールに飲み込まれてゆくような見た目をしています。様々な形が光の法則を定義するかのように曲がったりねじれたりしています。その踊り回るかのような特徴から、製品や企業のエネルギーが感じられます。
これらのロゴデザインは3年前の「自然の螺旋」トレンドが成長したものにも見えますが、「自然の螺旋」の方がゆっくりした見た目をしていました。これらのロゴは未知の力によってパワーアップされたように見えます。このトレンドは市販の薬やビタミン剤からカフェインの効いたエナジードリンクまで、様々な消耗品に使われています。
1. Brandia for Galp Energia 2. Shift Design for BP 75 Years 3. Brandia for Ola 4. Cato Purnell Partners for Guangzhou Baiyun International Airport
ロゴトレンド3 【ボタン】
光る表面とハイライト、影、エンボス加工、ポリマーで出来たボタンは至る所に見られます。消費者が全てのボタンを押さずにはいられない様子が想像できます。綺麗に作られたボタンは見ていて気持ちがいいものです。
これらのボタンが伝えたいメッセージは社会的影響力なのかもしれません。ボタンは役に立つ結果を生むために押される事が多いからです。Dellのボタン(図2)を押せばコンピューターが命を宿します。Beeline Cellularのボタン(図1)を押せば他人とすぐに繋がることができます。これらのロゴはもちろん、電化製品とコミュニケーションの分野で使われています。
1. Wolff Olins for Beeline 2. DDB for Dell 3. America Online Design for AOL Web Properties 4. Judson Design Associates for Level 36
ロゴトレンド4 【ぼやけた点】
このテクニックを使って動きを表現することは、昨年の「ぼんやり」のロゴトレンドとは少し違います。「ぼやけた点」のトレンドではより正確な造形デザインが可能となり、その砂のような性質に消費者は驚いて二度どころか三度見てしまうでしょう。イタリアのStudio GT&PはこのエフェクトをAJ Mobilitá Srlの通運会社のロゴ(図2)のデザインに使いました。近くで見ても、しっかりと鳥の形をしています。
1. Strategy Studio for Dub Rogers Photography 2. Studio GT&P for AJ Mobilita’ Srl 3. Chimera Design for Tennis Victoria 4. Chimera Design for Tabcorp
ロゴトレンド5 【オーブ】
このオーブを見つめてみると、包み込むようなレイヤーや軌道に乗って回る星、渦を巻く液体など様々な世界が全てポケットサイズに詰め込まれているのが見えてきます。これらのロゴデザインは、製品の裏には複雑な世界があるというメッセージを伝えていますが、それは一つの球体にとても綺麗に詰め込まれています。このイリュージョンはフォトリアリズムの高度なテクニック無しでは実現できません。
1. Apple Design for .Mac 2. Brandia for Sporting Clube de Portugal 3. Brandia for Lusomundo Premium 4. Takuya Kawagoi for Sony Ericsson
ロゴトレンド6 【ドライブラシ】
つやを出さない人間味のあるデザインへの試みは、シンプルなブラシ・ストロークによって成功しました。少しの混沌と少しのコントロールによってロゴにバランスが生まれています。生き生きとしていてなおかつ人間味のあるロゴをデザインするのは難しいですが、このテクニックがあれば簡単です。
1. M3 Advertising Design for Osaka Sushi 2. Kendall Ross for Precept Brands 3. Cheri Gearhart Graphic Design for Sarah’s 4. Polemic Design for Fire + Ic
ロゴトレンド7 【装飾】
これらのロゴデザインには粗さと繊細さの素晴らしいコントラストが使われています。多くの場合、繊細なディテールが特徴となっています。リズムとエモーションに富んだこれらのロゴは、芸術以外のものとも関係していると考えられることが多いようです。
このジャンルには若い世代とスケートボードカルチャーに通ずるものがあります。しかし最も重要なのは、グラフィックデザインとファインアートの融合を生み出したRyan McGinnessの影響でしょう。
1. Howerton+White Interactive for Buffalo Saints 2. The Flores Shop for Gridlock Paintball Team 3. Hammerpress for The Darling Room 4. Gardner Design for REB Textiles
ロゴトレンド8 【インクの飛沫】
ドイツのHesse Designが2006年FIFAW杯に先立ち手がけたサッカー選手のロゴ(図1)は、私がここ何年かで見たロゴの中で最高でした。一見だたの虫のように見えるこのロゴは、突然ゴールに向ってボールを勢い良く蹴り出すサッカー選手として飛び出してきます。私が驚いたのは、その目を凝らさなければいけないほどのディテールです。
1. Hesse Design for 2006 FIFA Worldcup 2. Edward Allen for World Uncorked 3. KOESTER Design for Q ink 4. Shift Design for Parque Temático da Madeira
ロゴトレンド9 【グロー(ぼんやりとした輝き)】
これらのロゴの背景のさりげないグラデーションは、今までの典型的なロゴデザインのルールに挑戦しています。しかしこれらのルールは、テクノロジーとプロダクションメソッドの発展によって投げ捨てられたものです。背景は白に限られてしまいそうですが、その価値があるだけの魅力を持っています。
1. Sockeye Creative for ieLogic 2. Kaimere for Fairmont Hotels 3. Felixsockwell.com for Firefly 4. Carol Gravelle Graphic Design for Tournesol Siteworks
ロゴトレンド10 【透明3D】
これらのロゴマークは、形を変えたりグラデーションやハイライトを使ったりできる透明なレイヤーによって出来ています。その輝くような性質はとても魅力的です。そのうち、テクスチャーのある表面を持つ透明なロゴが見られるかもしれません。
今や企業の世界では「透明」が決まり文句となり、企業が世間に全てをさらけ出さなくてはならない時代になりました。実際に透明なロゴは、よく見られる比喩です。
1. Brandient for Europharm 2. Strange Ideas for Oceania 3. Gardner Design for MVP Architecture 4. Shift Design for SDNM Originário
ロゴトレンド11 【オーバーレイ】
透明なロゴのトレンドの背景にあるのは技術だけです。イラストレーターを使えば、クリック一つでレイヤーに色をつけることができるようになりました。これは、Photoshopと比べてベクター環境でのエフェクトコントロールを使ったデザイン検証がしやすくなったということです。
Iconologicのデザイナーたちが手がけた2006年トロント冬季オリンピックのロゴ(図3)が、このトレンドのきっかけとなったと考えられます。フラットカラーと透明度を使った美しいピクトグラムは、1色でも4色でも素晴らしいものでした。
1. Iconologic for 2006 Winter Olympic Games 2. Brandia for TAP Portugal 3. Tanagram Partners for Davidson Oil 4. Grapefruit for UCS Romania
ロゴトレンド12 【透かし細工】
このテクニックは、ロゴの周りに何にも影響されない権威のあるフィールドを作り出します。これらのロゴは、量に頼る代わりに、その空気のように軽く繊細でユニークな性質を持っています。昨年のトレンド報告でご紹介したLippincott Mercerがデザインしたニューヨーク銀行のロゴも、これらのロゴと似たような美しさと安心感を持っています。
1. Gardner Design for RelianzBank 2. UNO for Minneaplois 3. Cato Purnell Partners for Bank West 4. Sockeye Creative for Adidas
ロゴトレンド13 【終末の後】
「目に見えない球体。以前あった地球は完全に消滅し、大気だけが残った。」私も、素晴らしいデザイナーであるMiles Newlynのように、このトレンドを説明するのにこういう言葉が思いつけば良いのに、と思いました。
もしあなたがグローバルな人なら、これらのロゴのメッセージは「地球」ではなく「なぜあなたが地球にいるのか」です。AT&T(図4)はただの球体ではなく、場所を超えた繋がりを私たちに提供しています。Wolff OlinのBTのロゴ(図1)でも同じことが言えます。このロゴを見ていると、世界の大陸と世界全体に及ぶコミュニケーションが見えてきます。これらのロゴはどちらも、透明度をつかってそのメッセージの効力を上げています。
1. Wolff Olins and Rufus Leonard for BT 2. Cato Purnell Partners for Bank Direct 3. Brandia for INAS-FID 4. Interbrand for AT&T
ロゴトレンド14 【ビビッド】
今年のトレンドを見ていて二番目に目立つのは「色」です。これはただの色ではなく、揺るがない色です。全てではないですが、多くのロゴで鮮やかな色が使われています。
これらのロゴはイベント、目的地点、お祝いなどに使われますが、その大胆な色使いから、例えばコミュニケーションやバンキングの分野でも使われています。今まで難しかったロゴの色使いが、テクノロジーの発展によってずいぶんと制限されなくなりました。企業ロゴがインターネットやテレビなどのデジタルメディアで見られる事も多くなりました。
1. Gabi Toth for Villa Schneider 2. FutureBrand for Wines of Chile 3. Cato Purnell Partners for BenQ 4. Duffy & Partners for The Bahamas Ministry of Tourism
ロゴトレンド15 【落書き】
このトレンドは私たちに幼少期を思い出させてくれます。好きな色のクレヨンを使って紙の上に大混乱を起こすのはとても楽しかったですよね。これらのロゴデザインは若い世代を惹き付けるような性質を持っていますが、どれにもフォーマルな文字が使われています。
ここで、コントロールされた混沌というテーマに戻ってみましょう。これは、重力には逆らわないまま地球を抜け出すような、秩序のある自由を作りだす企業の能力を表しています。
1. AKOFA Creative for Conquest Recordings 2. Planet Propaganda for Double Dutch 3. Edward Allen for Revolve Motion 4. MINE for Brainfloss
参考 : LogoLounge ©2006 Logolounge Inc.
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