ロゴマークのトレンド傾向として、今年はより鮮やかに、まだアイデアも簡潔さのあるものが多く見られるようになりました。すっきりとした清潔感のある印象のデザインたちと言えそうです。今回も海外のデザインWEBマガジン「LogoLounge」より【2008年のロゴデザインのトレンド】を紹介していきたいと思います。(Thank you Bill !! )※翻訳・編集・掲載許可をいただいています。
■2009年のロゴトレンドはこちら
■2007年のロゴトレンドはこちら
2008年 流行したロゴデザインたち
ロゴトレンド1 【スーパーノヴァ(超新星爆発)】
これらのロゴは様々な方法で要素を読み手へ近づけたり読み手から遠ざけたりします。Jerry KuyperによるLodgeNet(図左上)のロゴは、飛びちるようなデザインで室内エンターテイメントサービスを宣伝しています。グラデーションが無くシンプルな構成のこのロゴマークは、オンライン商品にしては珍しく少ない色でまとめられています。
1. Jerry Kuyper for LodgeNet 2. Gabi Toth for Halo Consulting 3. Crave Inc. for IQ Beverage Group 4. Mirko Ilic Corp. for Dr. Zoran Djindjic Fund
ロゴトレンド2 【極細ライン】
線の太さが一貫しているロゴは良いロゴの証です。なぜならそれはリズムを作り出し、一目で読みやすいとわかるからです。でも、このルールをここでは忘れてください。髪の毛のように細い線で描き始めましょう。これらのロゴデザインの多くには2つの段階があります。一度目に見る時と、老眼鏡で見る時の2回です。通常、メッセージが多く書かれたものは背景としての役割を持ちます。より深い意味を持つメッセージは表面に強調されるか、飛び出していることが多いようです。
極細の線は模様にしか見えないかもしれませんが、その一方でカウンターメッセージとしての二分性も持っています。また、例えばPULSE(図右下)のロゴのように極細の線がメッセージを表す十分な重さを持っている時もあります。この陰と陽のプロセスは読み手の目を引き、大げさな工具がなくても巧妙なメッセージを伝えることができるという知性を感じさせるのです。
1. Louis Fili for The Mermaid Inn 2. Hula + Hula for Cartoon Network Lainamerica 3. Unit for Artists for Peace 4. Point Blank Collection for Pulse
ロゴトレンド3 【重ね折り】
ユニークな特性を持つ物がシンプルに折られると、それは時に更なる意味を持ちます。TURN(図右下)のロゴのように、素材の表裏は色が異なります。もしくは透明度によって素材の重なりが表されています。このロゴデザインのテクニックはどこかパズルのようにも見えます。読み手がロゴの軌道をなぞったり、これらの折り重なりが本当に可能かどうかを考えたりできるような親密さをもったロゴマークです。
1. PMKFA for Yes King 2. Gardner Design for Liberty Capital 3. A3 Design for Urban Architectural Group 4. Addis Creson for Turn
ロゴトレンド4 【グローバル】
なんと新鮮な光景でしょう。かつて、国際貿易に関わる企業のロゴデザインには地球が多く使われていました。そして、オリジナリティ溢れるロゴを作る事が非常に困難になっていきました。これらのロゴマークは正直に後退し、「完全な地球ではないけれど、少し時間をくれよ」と言っているのです。これらのロゴには全て外側にいくに連れて少なくなる放射状にレイアウトされた模様があり、展開を表すように球体を包み込んでいます。
Cato Purnell Partner(図右上)のドバイ空港のロゴは鍵と成るメッセージを簡潔に伝えています。ドバイは貿易、旅行、観光によって世界の旅行者にとっての十字路となり、この世界トップクラスのロゴマークはユニークな方法で要点を表しています。イスラム教の聖なるシンボルであるオクタグラム(8つの先端を持つ星)が、広がっていくモザイクタイルで地球を包み込み始めています。このロゴは意図的に文化を広めているのです。
1. Lippincott for XOHM 2. Cato Purnell Partners for Dubai International 3. Futurebrand BC&H for Transpiratininga 4. FIRON for Novatel
ロゴトレンド5 【ループ】
これらの無限に続く帯の全てがメビウスの輪の魔法にかかったわけではありません。これらのロゴデザインは、世界中で知られる無限を表すシンボルから少し遠ざかって、単にサイクルを楽しんでいるのです。輪ゴムのようなロゴが明らかに多く見られますが、帯状のものも見られます。
これらのロゴに完璧な対称性が無いことが、それらの個性を表しています。これらのロゴは、その都度ニーズに合わせて形を変える事が出来るフレキシビリティを持っています。エネルギーで溢れる物体が動いている所をカメラで撮った時のようなロゴマークもあります。
プジョー307のロゴの輪っかはその車を表すマークでありながら、空中に軽々と浮いています。クロム合金のような見た目のこのロゴは、シュールレアリズムな特性と技術的な力の両方を持ち合わせているのです。
1. Lippincott for IBM & Freescale 2. Angelini Design for Peugeot International 3. Miriello Grafico, Inc. for Qualcomm 4. Double Brand for Long term car rent
ロゴトレンド6 【ジョー・ブレイカー】
ジョー・ブレーカー(大きくてとても堅いキャンディー)を食べて顎が裂ける思いをした事がある人なら、その虹色の断面図を知っていることでしょう。これらの球体を割ることはまるで宝探しのようで、幼少期の楽しみを思い出させます。70年代のオプ・アートのようなこれらのロゴに使われている色にはとても手間がかかっています。これらのロゴデザインでは色がとても重要で、断面図はテクニカラーの雪の結晶のようにユニークです。
これらのロゴからはマーケットの活力を表す若々しさが感じられます。この視覚的な楽しさを目にすれば、思わず笑みがこぼれます。Targetのロゴなどから影響を受けていると思われますが、ここにあるロゴと比べるとその赤と白のロゴは落ち着いているように見えます。
1. Form for Dazed & Confused/Topshop 2. MacLaren McCann Calgary for Telphonic 3. Volatile for Antidote 4. Volatile for Pod
ロゴトレンド7 【ストローブ信号】
何年か前にInterbrandによって作られたNikon(図左上)のロゴは、大手企業におけるこのトレンドの流行の始まりとなりました。地面に落ちる針のストップモーションアニメーションを表したLippincottによるSprint(図右下)のロゴは、似たようなテクニックを使ったロゴたちへ扉を開けました。Moving Brandsによって作られたNokia Siemens(図右上)の新しいロゴデザインは、ストローブ信号(閃光のような瞬間的信号)のコンセプトを印刷にとても上手く応用しています。
1. Interbrand for Nikon 2. Moving Brands for Nokia Siemens Networks 3. Lippincott for UMW 4. Lippincott for Sprint
ロゴトレンド8 【後光】
光線を使った光やエネルギーの広がりはただの星形のオーラではありません。これは中心にある主題や能力、そしてどんな問題に対しても解決策の鍵を握っていることを表しています。また、光は知識と道しるべを繋いでいます。規則正しく分布した光は、フェアな分布と平等な対応を確証しています。色に関係なく、これらのロゴマークには引き寄せられる魅力があります。
1. Gardner Design for Catalyst 2. Glitschka Studios for Proctor & Gamble 3. Circulodiseno, SC fr New Venturees 4. Chris Herron Design for Marimon Inc. & Kelly Swofford Roy
ロゴトレンド9 【刺繍】
デザイナーたちはまるで千鳥柄とヘリンボーンを忘れて、おばあちゃんのバスケットの奥深くを探っているようです。大事なのは模様ではなく衣類を繋ぎ合わせる要素です。ジグザグや十字縫いの他にも多数の縫い方があります。骨董品、網、フリンジ、房などもソリューションに含まれています。これらの要素の共通言語が素晴らしいセンスで重ね合わせられる時、新鮮で多くの場合女性的な美しさを生み出します。ただ、テーブルクロスとオートクチュールのガウンの違いは素材ではなく、その素材をどう使うかだということを忘れてはいけません。
1. The Woodbine Agency for Lamp 2. tenn_do_ten for chico 3. The Pink Pear Design Company for Rummage 4. Hammerpress for Natasha’s Mulberry & Mott
ロゴトレンド10 【アメーバ】
変形と動きを使ったこのプロセスは、ここにある企業の構成をビジネスプロセスのヒントをくれます。これらのロゴデザインのフレキシブルで機敏な特性は移り変わりの早い業界にビジネスを順応させています。これらのロゴは進化の価値を抱いているのです。進化しているのなら、それは生物である証ですし、角がある生物はそう多くいません。
1. Tactix Creative for DJ Eddie Amador 2. Double Brand for Poza Showroom 3. Mola for EDP 4. Yaroslav Zheleznyakov for Promotion
ロゴトレンド11 【宝石】
石のように質の低い素材に最大の価値を見つけるには、それがまず自らの可能性を知らなければ成りません。熟練者なら、その価値を最大限に引き出すのにちょうど必要な量を削り取ってくれます。もしこれが正しく行われなければ、それは完全な失敗作となってしまいます。大きなリスクは大きな報酬と共にやってきます。
これらのロゴデザインはビジネスが持つ様々な面も表しています。これらの面を最適な位置に並べる事で、最大の透明度と光が生まれます。もしくは、そこまで深い意味はなく、私たちがただ光っているものが好きなだけかもしれません。
1. Kitsh for Clay Saphire 2. Thomas Manss & Company for VCC Perfect Pictures 3. Gardner Design for Lavish 4. BFive for Solo Company
ロゴトレンド12 【落書き】
これらのロゴにとっても即時性が重要となります。ハリケーン・カトリーナ(アメリカを襲った大型ハリケーン)の後に作られたRebuild(図左上)のロゴは、まさに今助けを必要としている人々がいるというメッセージを伝えています。企業の策略など全くありません。皆さんの助けと返事が今、必要だということを伝えています。
これらのロゴデザインからは個人的なメッセージと人間味が感じられます。ブローカーは除外され、このメッセージは私とあなたの2人だけの間ですよ、という保証なのです。
1. Steve’s Portfolio for www.thehurricaneposterproject.com 2. Stubborn Sideburns for Hipposchemes 3. Fifth Letter for Shawn Lynch 4. Studio Oscar for Levi Strauss
ロゴトレンド13 【繁茂する植物たち】
これらのロゴはSi Scottによる美しい作品と制御不能のMarian Bantjesのデザインに影響を受けています。Scott氏は場合によっては心地よ過ぎさえするシグネチャールックを作り上げました。
これらのロゴデザインのように、装飾的な植物は見る人の予想を超え、満足するのに必要なだけ飾りつけます。これらのデザインはエキゾチックで珍しいですが、フェミニンすぎない気まぐれさも持ち合わせています。
1. Lucero Design for Project 240 Apparel 2. United* for Bar Carrera NY 3. Team Manila Graphic Design Studio for Neu Media 4. Distrubancy Graphic Treatment for Eclipse Streetwear
ロゴトレンド14 【ファイバー】
これらのロゴと中心となるのは、集合的なユニゾンによって作り出された最大限の行動と力強さです。これらの線は互いにぴったり隣り合わせではありません。レコードの溝とは違い、これらの要素は集合した要素の独立性と多様性を表しています。
共通点をもつ要素を集める事は、最近多く見られるようになったテーマです。このロゴトレンドは企業だけではなく、社会的にも見られるようになりました。個人と個性を尊重することは立派なことです。
1. Guillermo Brea & Associates for Argentina 2. Najlon for Town RIJEKA 3. Mattson Creative for The Collective 4. AtomicasStudio for 2 excite
その他のロゴトレンド
上では紹介されなかったけれど、やっぱり紹介しておきたい。その他の今年のトレンドたち。
アニモーション(アニメーション+モーション):これらのロゴは実際に動いているデザインです。静止画を装飾したわけではありません。
Moving Brands for Swisscom
点字:点字のような点からできた言葉や数、文字など。
Pearpod for Plus 3
重なり:まるで積み重なった透明のサンドイッチのように形が重なり合ったロゴ。
Bukka Design for Neven Vision
落ちたコンタクトレンズ:もしコンタクトレンズがロゴの上に落ちたら、これらのロゴと同じようになります。レンズや円の形をしたこれらのロゴは、固い縁と柔らかい中心部分を持っています。バラクオバマのロゴを想像してみてください。
FutureBrand for MasterCard Worldwide
サイケ文字:もしこれからの将来のロゴがどのようになるか知りたいのなら、30年前のロゴを見てみましょう。終わる事のないメリーゴーランドです。グルーヴの効いたサイケデリックな文字は今まさに人気の絶頂にあります。Haight-Ashbury(ヘイトアシュベリー : ヒッピームーブメントの中心地)が戻って来たようです。
Yaroslav Zheleznyakov for Lemonades from Arbuzov
細道:上に行ったり下に行ったり、前後に行ったり、ぐるぐる回ったりするモノラインが見られます。時に透明なトレーサーのようなこれらの線は、光のように飛び回り、空中で曲がっています。Tennis Australiaのロゴは素晴らしい例です。ボールがゆくところに、ロゴもついていきます。
FutureBrand (UK) for Lakshmi N. Mittal
ねじれ:グリッドの書かれた紙を折ったりねじ曲げたりすると、そのグリッドが動きに対応しようとします。しかし、これらのロゴは紙よりももっと柔軟な素材でできています。X軸とY軸がねじ曲がるほど引き伸ばされています。
thackway+mccord for FINRA
参考 : LogoLounge ©2008 Logolounge Inc.
あわせて読みたい
サイトへのお問い合わせ・依頼 / 各種デザイン作成について