シックな空間で繰り広げられるダンスショーの一幕を描いたチラシデザインです。
軽やかに踊る男性と、それを囲む熱気あるオーディエンスとスピーカーは、それだけでイベント内容の片鱗を感じさせてくれます。ニュー・クラシックというコンセプトにマッチするようなチラシデザインになるよう心がけました。
デザイナーの振り返り
■ 流行のEDMテイストに流されないような、クラシック=原典を意識したアートワークを目指して制作したチラシです。
■ タイトルには黄色を用いていますが、キャッチーになりすぎないよう彩度を抑えて仕上げています。
■ チラシの上から徐々に暗くなっていくような構成になっており、背景に応じた文字色を使用しています。全体をモノトーンに近い仕上がりにすることで、イベントタイトルがより一層引き立ちます。
チラシのデザインで開催されるイベントのイメージを伝える
チラシデザインを作成する時に重要になるのは、開催されるイベントの雰囲気を一枚のチラシで正しく表しつつ、魅力的に見せるという事です。つまり、過大な加工によって本来の様子とは異なる印象にしてしまうのは逆効果になりますし、控えめにすると魅力的に見せることができずに興味関心を持たせにくいという難しさがあります。特に難しいのはダンスショーに関するチラシデザインと言われています。その理由は、ダンスショーというイベントは激しさと共に優雅で上品な印象も与えなければならないためです。どちらか一方に傾倒してしまうと、訪れる方に偏りが生じてしまうので、一枚のチラシで両方の良さを詰め込む必要があります。
本チラシでは全体的にはシックに纏めつつも、主役となるダンサーは力強い躍動感を与えるように作成しています。中央部で身軽に舞う男性に対して熱い声援を送るオーディエンスという一見正反対の被写体同士が組み合わさると、上品さと力強さを上手く融合させられるようになるのです。そのため、作成されたものを一目見るだけで、会場に足を運ぶとどのような催しで楽しませてくれるのかが想像できます。この手のダンスショーは、ついクールな印象を与える事に注力してしまう事が多いのですが、クール過ぎるイメージに仕上げてしまうのは来場してくれる観客を絞ってしまいかねません。また、エンターテイメント性に寄り過ぎ、今流行りのEDMに寄せたチラシデザインにもなりがちですが、ダンスショーはクラシックという事なので、ある程度落ち着きも残しておく事が大切になります。
楽しさと真剣さを同居させるチラシに
そういった点を考慮して制作していくと気付くのですが、色味に関しても普段採用しているようなカラーリングでは浮いた印象になってしまうのです。チラシには黄色を用いてるのですが、平均的な黄色よりも鮮やかに欠けているように見えます。通常ならできるだけキャッチーでポップな様子にすべく、派手なイエローを採用すべきところですが、大人しくすることによりダンスの催し物という様相を邪魔していません。そしてチラシの上部を最も明るくさせ、下部に向かっていく度に暗くして最終的には黒くさせていることにより、ステージに浴びせられるスポットライトや照明を連想させられるようになっています。下部が黒くなる事で付加価値として日時などの情報がわかりやすくなり、情報を正しく伝えやすくなっています。
制作フライヤー・チラシデザイン
に対する感想
シャープでキレのあるデザインは、いかにもダンスらしい。
印象的な黒い背景を基準としたコンサートの広告物は、クラシック関係の音楽イベントには非常に多いのですが、この場合はダンスイベントなので、その点では注目に値するデザインです。全体的なコンセプトは、隠れ家あるいは退廃的な倉庫内のような錆色の配色を基調としていますが、どこかにきらびやかな華やかさを持っているのが印象に強く残りますね。文字のレイアウトは横並びで水平的な配にしてあり、文字のカラーも背景との調和を合わせるような独特の模様と周辺に光沢の有るような、立体的なデザインが目を引きます。全体的に黒っぽさがあるようでステージからのライトの残像が背景画像の観客を浮かび上がらせ、ステージ上のダンサーの主張を画像一枚で表現している構成も立体的です。告知に関するインフォメーション、日時や時間やその他の連絡先などは非常に簡潔に、 シンプルなフォントを使ってますが、視線はやはり中央のゴールドにも似たこのイベントのロゴデザイン・タイトルに集まりますし、中央のタイトルにはところどころに水平に光沢で光を放つ表現があるため、シャープで切れの良いダンスシーンをこのチラシを見る者へ、想像を掻き立てるものに仕上がっているでしょう。
センター合わせの文字のレイアウトですが、画像の力強さとタイトルのやや強調したコントラストの差で、縦に流れる目の動きを横方向へ誘導してチラシ一枚でステージの印象を上手に表現できていますね。「ダンスショーケースエントリー概要」の部分は、見た目は味気ないグレー背景の単なるインフォメーションですが、この比率の段落で逆にこの程度の控えめな範囲でなら、視線の主体はその上にある全体を包み込む画像の強さに、そのデザイン性の良さが集中しているので、これはこれで美しい配置だと思います。それに思わず裏面があればチラシをめくりたくなる衝動にきっとかられることでしょう。フォントカラーもシンプルに白抜きのみで、左上のロゴマーク、右上のコンセプトを示すキャプション部分も画像中央に視線が集まるように、大きさとボリュームも絞ってあるのがとても良いと感じます。
力強く踊る男性ダンサーの姿が印象的なチラシデザインですね。
通常コンサート会場をそのまま用いた場合には、背景が暗くなるのが一般的です。それに対してこの場合には、背景がアートのようになっているので、激しく踊っている姿を描いても落ち着いた感じとインパクトがあります。文字は少なくなっているのですが、重要な点をしっかりと書いていることや、大きな文字を使っているのでとてもよく読めます。チラシのタイトルに黄色を用いていることで、より引き締まった感じがします。
※掲載しているフライヤーデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際の用途・サイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。