

雅な雰囲気を大切にデザインしたイベントチラシです。
箏のリサイタルということで、花鳥風月を感じられる日本の美を意識した構成にしました。日本画家の作品である大輪の花と鳥を配置して、華やかなリサイタルの世界を表現しました。
紅の花で彩る艶やかな雰囲気
紅の花を中央にもってくることで艶やかな雰囲気にして、背景に金色を敷いて豪華な印象にしています。花の色と同色でリサイタルの名称と開催に日時を表記して、統一感をもたせました。
モノクロのウラ面で表現する華やかさ
ウラ面はモノクロですが、波紋のようなパターンを背景に敷くことで、華やかさを出しています。演奏者のプロフィール写真は、正方形に近い形にしてかっちりとした佇まいに揃えています。
統一感のある演奏者プロフィール写真
主催のプロフィールは演奏中の写真ですが、賛助の出演者はすべて同じ佇まいの顔写真になっています。写真のトーンを揃えることでスッキリした印象になり、リサイタルの格式の高さを表現できているのではないでしょうか。演目の解説と出演者、コラボレーション協力、アクセスMAPなどを横のレイアウトで整然と並べています。



豪華で繊細な花と鳥のモチーフが日本の四季を象徴
チラシの表面には、豪華で繊細に描かれた花と鳥の絵画が大きく配置され、日本の四季を象徴する美しい自然の要素が強調されています。特に、華やかな赤い花と鳥のイラストは、箏曲の優雅で繊細な音色を視覚的に表現しており、リサイタルのテーマである「四季折々の花」を効果的に伝えています。美しいビジュアルが、見る者の視覚を引きつけ、リサイタルの魅力を伝えています。
赤とゴールドの配色が高級感を強調
チラシ全体には、赤とゴールドが巧みに使用されており、箏曲という伝統的な日本文化を引き立てると同時に、高級感と格式を感じさせます。ゴールドの背景が、リサイタルの格調高さを強調し、箏の音色に対する深い敬意を表現しています。全体的な色使いが、リサイタルの品格とその特別感を訴えかけています。
見やすいタイポグラフィが情報の整理を助ける
日程、時間、会場などの重要な情報は、赤や白を使って強調されており、視認性が高い構成になっています。文字サイズやレイアウトの工夫により、情報が整理され、観覧者が迷わずに必要な情報を把握できるデザインです。このシンプルさが、内容の重要性を引き立て、観覧者に対して親しみやすい印象を与えています。
落ち着いた裏面のデザインが出演者のプロフェッショナリズムを伝える
裏面には、出演者のプロフィールがシンプルかつ上品なデザインで配置されています。グレーのトーンを基調とした落ち着いたデザインが、リサイタルの格調高さを感じさせ、観客に対して安心感と期待感を与えています。また、詳細な出演者情報が記載されていることで、リサイタルの質の高さが伝わります。
制作フライヤー・チラシデザイン
に対する感想
VOICE ※第三者による感想です
艶やかで荘厳な雰囲気のチラシデザインですね。
箏曲の世界へと一気に引き込まれるデザイン
豪華絢爛な屏風絵を思わせる大輪の花と鳥、蝶々の組み合わせで、箏が奏でる伝統美の世界を想像させてくれるチラシです。艶消しゴールドの質感が上品かつ壮麗で、リサイタルの雰囲気や主催が率いる演奏家の音色が遠くから聴こえてくるようです。紅の色が文字色としても使われているのが華やかな印象で、非日常を味わえるリサイタルにふさわしいデザインだと思いました。オモテ面にチケット予約のQRコードが記載されているのもユーザビリティの感じられる構成です。
伝統的なパターンの背景が素敵
ウラ面には演奏者一覧が掲載されています。紋付の衣装と、背景にあしらわれた日本の伝統文様がマッチしていて、一つの世界が完成しています。色がなくても、背景のおかげで地味な印象にならず、印象に残る見た目になっているのが素敵ですね。文字サイズがやや小さく控えめなのも、奥ゆかしさや慎ましさがあらわれていて、日本らしい印象です。文字のサイズは控えめでも、それぞれのカテゴリがフレームで区切られているので読みやすく感じられます。地図の表記が大きめで視認性が高いのもポイントではないでしょうか。
伝統芸能の「品格」と「情報」を両立させる技術

※画像はイメージです
既に上記で触れられているように、このリサイタルチラシは「雅」や「華やかさ」を見事に表現しています。ここではさらに一歩踏み込み、伝統芸能のチラシデザインにおいて、どのようにして「作品のテーマ性」「公演の格付け」、そして「実用的な情報」という3つの要素を、日本の美意識の中で調和させているのかを見ていきましょう。
テーマを「画」で語る。絵画が持つ物語性
まず目を引くのは、表面を大胆に使った日本画家の作品です。リサイタルの副題に対し、写真ではなく「和画」をメインビジュアルに据えている点が重要です。
写真は「今、ここにあるもの」を写実的に捉えますが、絵画は「描かれたものに込められた意味」や「時間の経過(この場合は四季)」を象徴的に表現できます。大輪の花、枝に止まる鳥、舞う蝶は、まさに「花鳥風月」であり、演目の世界観ともリンクします。
裏面で「コラボレーション絵画協力」として画家のお名前を明記していることからも、このビジュアルが単なる装飾ではなく、リサイタルの内容と不可分な、共に作品世界を創り上げる要素であることを示しています。
「間(ま)」と「箔(はく)」が演出する「ハレ」の舞台
表面のレイアウトは、伝統的な美意識である「間(ま)」を使っています。背景に敷かれた「金色」は、単なる豪華さの表現に留まりません。これは日本の屏風や襖絵にも通じる「箔(はく)」の表現であり、非日常的な「ハレ」の空間を演出します。
ビジュアルを中央に大きく配置しながらも、タイトル、日時、会場といった重要な情報は、その周囲にゆったりとした「間」を持って配置されています。
情報要素が窮屈に詰め込まれていないことで、鑑賞者は視覚的な圧迫感から解放され、ゆったりとした優雅な「箏の音色」や「リサイタルの時間」を、手にする前から予感することができます。この余白こそが、公演の「格」を視覚的に担保しているのです。
モノクロームが際立たせる情報
裏面は、表面の華やかな「カラー」の世界から一転、落ち着いた「グレースケール(モノクローム)」で構成されています。これは意図的な「対比」です。
「読む」ためのデザイン
表面が「感じる」ためのデザインであるならば、裏面は「読む」ためのデザインです。色情報をあえて排することで、鑑s賞者の意識は「演目解説」や「出演者プロフィール」といった文字情報へと自然に誘導されます。可読性を最大限に高めるための設計と言えます。
品格を損なわない「墨」の表現
ただし、これは単なる「白黒」ではありません。背景に薄く敷かれた波紋のようなパターンや、濃淡のあるグレー(墨の濃淡)の使用は、情報の読みやすさを担保しつつも、和の品格を損なわない配慮が感じられます。
写真の扱いに見る敬意と役割
既存の分析にもある通り、賛助出演者の方々の写真(バストアップ)がトーンを揃えて整然と並ぶ様子は、リサイタル全体としての統一感と質の高さを感じさせます。これは、出演者一人ひとりへの敬意の表れでもあります。一方で、主催者のみが演奏中の写真である点も見逃せません。これにより、誰がこのリサイタルの「主」であるかが一目で明確になり、鑑賞者に安心感を与えます。
伝統と現代をつなぐタイポグラフィ
使用される書体(タイポグラフィ)も、このチラシの品格を支える重要な要素です。
明朝体の使い分け
基調となっているのは「明朝体」です。メインタイトルは、伝統的でありながらも、硬すぎない優雅な骨格の書体が選ばれています。一方で、日時や会場、裏面のプロフィールといった実用的な情報は、可読性が高く、ややモダンな明朝体で組まれており、読み間違いが起きないよう配慮されています。
縦書きと横書きの共存
表面はタイトルや曲目など、公演の「顔」となる部分を「縦書き」で構成し、伝統芸能としての「和」の佇まいを強調しています。対して裏面は、解説やプロフィールなど、読み込む情報が多いため「横書き」を主体としています。これは、日本の伝統文化(縦書き)を尊重しつつ、現代の鑑賞者(横書きに慣れている)の「読みやすさ」も考慮した、バランス感覚と言えるでしょう。
このように、ビジュアルの選定からレイアウトの「間」、色の対比、そして書体の扱いに至るまで、すべてがリサイタルの世界観と情報を「伝える」ために設計されています。伝統芸能の持つ重みと、現代の鑑賞者への分かりやすさ。その両立を実現したデザイン事例です。
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