

アーティストと楽曲の温かみが伝わるような優しく心和むチラシデザイン。
草原にずらりと並んだ動物のぬいぐるみたち。その真ん中で満面の笑みを浮かべたアーティストがギターを弾く牧歌的な写真をメインビジュアルに、背景にタンポポやクローバー、音符を手書きタッチで描いた優しい絵柄を合わせた心和むカバーデザインを上部に大きく配置。収録曲を写真に重ねてCDアルバムのPRとしました。
アーティストからのメッセージ
下段には、これまでの路線とは少し異なる新たなイメージを受け入れてもらえるように、このCDアルバムが生まれた経緯をアーティストからのメッセージとして掲載し、代表的なアルバムジャケットと共にレイアウトしました。
アーティストの二つの側面〜温かさとダンディさの融合
温かくほっこりとした新アルバムとダンディなイメージの代表作。アーティストが持つ二つの側面を伝えるCDリリース宣伝チラシです。



アーティストの人間性を伝えられるようなチラシデザインのポイント
アーティストの商品やイベントといった広告で重要なのは「アーティストの音楽性や人間性が反映されているか」です。音楽や絵画、イラストのようなゼロからイチを生み出しているベースになっているものは、そのアーティストの人間性ではないでしょうか。
作風を広告媒体に反映させる場合、そのアーティストの音楽性や人間性を伝えられるようなデザインにすることで、より広告効果を得られるでしょう。
作例のシンガーソングライターさんの作風に共通していたのは「優しさ」です。アーティスト本来がもつ「優しさ」をベースにした楽曲が多かったため、アルバムコンセプトと「優しさ」を掛け合わせたデザイン構成にしました。今回のアルバムのようなジャケットデザイン、アルバム訴求広告チラシの制作において意識していることは次の3つです。
- 色彩心理効果を活用する
- イラスト・写真を組み合わせて雰囲気を演出する
- 人間性の異なる面を見せる場合は公約数となる部分を押さえる
作品のコンセプトとアーティストさんの人間性を融合させたデザインのポイントについてお話ししていきたいと思います。
チラシデザインに色彩心理効果を活用する
色彩心理効果とは、色や色の組み合わせによって心理的な影響を与える効果のことです。人間は色を見てさまざまな情報をインプットします。たとえば黄色地に黒のラインを組み合わせてみましょう。蜂や道路工事中のような警告の意味合いが強い組み合わせです。ほかにも白と青で誠実さや清廉さといった心理的影響を与えられます。
作例では外枠をオレンジ、アーティストを囲むイラストや写真素材に緑をベースにしました。オレンジには元気さや明るさ、前向きさといった心理的効果があります。緑には安らぎや癒やし、優しさや調和といった心理的効果を与えられるでしょう。今回のアルバムコンセプトである「ほっこり」という言葉には次のような意味があります。
- 暖かい様子
- ふっくらとして柔らかい印象
- 明るい様子
- 気持ちが晴れる
どの言葉も「優しさ」に通じるものがあります。「ほっこり」というアルバムタイトルをオレンジのフォントにしたのは、こうした言葉と色彩心理を掛け合わせることで、見た人によりアルバムコンセプトが伝わりやすくなるでしょう。
イラスト・写真を組み合わせて雰囲気を演出する
イラストと写真画像を組み合わせる技法を「コラージュ」と言います。コラージュは人の興味をひきつけられるというメリットのほかに、伝えたいメッセージをフォーカスさせる効果もあります。イラストと写真双方のテイストを合わせることで、より伝えたいメッセージにフォーカスさせることができるでしょう。
作例ではシンガーソングライターの写真の背景、空の部分に絵本の世界のようなイラストを入れました。手書き風の優しい色合いで描かれた背景が、シンガーソングライターの笑顔や身にまとっている楽しい雰囲気をより引き立たせています。
写真は撮影したときの一瞬の表情や場の空気感を記録できるものです。どんなに秀逸なデザインを作ったとしても、写真に写っている人の表情や空気感がデザインコンセプトと合っていなければ、伝えたいことが間違って伝わってしまうでしょう。伝えたい雰囲気やテーマをしっかりと定めたうえで写真素材やイラスト素材を選ぶことが重要です。
人間性の異なる面を見せる場合は公約数となる部分を押さえる
人間は多面性があるものです。シンガーソングライターの場合、曲の内容やイメージによって、自分自身の奥底に眠る多面性を引っ張り出して表現しなくてはなりません。多面性を表現することによって多彩な楽曲が生まれる反面、アーティストとしてのブランディング、イメージがアルバムジャケットのデザインで変わることもあります。
作例では、前回アルバムのジャケットを右下に配置しています。今回のチラシで訴求しているアルバムジャケットと異なり、大人の魅力を全面に押し出したデザインが特徴です。今回のアルバムの「ほっこり」とはベクトルが異なるデザインではあるものの、商品広告として前回のアルバムを入れたいということでした。
デザインそのものは変わらないものの、前回と今回のアルバムに共通している部分があります。それが「アーティストの表情」です。前回のアルバムも今回のアルバムも「優しい笑顔」で撮影されています。その部分をデザインに生かしました。
チラシを見てアルバムを購入してくれた人にとっては、雰囲気の異なるアルバムジャケットの音楽も聞いてみたいと思っていただけるようなデザインを心がけました。同じ人間、同じ笑顔なのにかかわらず、アルバムジャケットのデザインで印象が大きく変わるという良い例でもあります。
制作フライヤー・チラシデザイン
に対する感想
VOICE ※第三者による感想です
アーティストの人柄が伝わるチラシデザイン
インパクトのあるジャケット写真が目印に
ぬいぐるみに弾き語りを披露するアーティストの笑顔が、とても印象に残ります。背景にファンタジックな山々や草花が描かれていて、一つの世界が構築されているよう。アーティストのお茶目な一面を感じるジャケット写真です。暖色系でまとめられていて、ぬくもりを感じさせてくれます。ラフな出で立ちでギターを携えているのが親しみやすい雰囲気です。
静かな迫力を醸すジャケット写真とテキストのギャップが◎
ほっこりしている上部のアルバムジャケットと異なり、もう1つのアルバムのデザインはアーティストの大御所の雰囲気がよく表れています。かっちりしたフォントで記されたメッセージも、キャリアを感じさせます。ぬいぐるみを前に歌うような気さくさと、海をバックに佇む貫禄とのギャップが一枚のチラシに集約され、化学反応を楽しむ気持ちになります。好きな歌を自由に歌う、そんなのびのびとしたアーティストの人柄が伝わるチラシデザインではないでしょうか。
CDの「体温」を一枚のチラシで伝える。アーティストの多面性を調和させるデザインの技法
ストリーミング時代に「紙のチラシ」でCDを告知する意味
音楽のストリーミング配信が主流となった現在、CDという物理メディアのリリースを「紙のチラシ」で告知する行為は、一見アナクロニスティックに映るかもしれません。
しかし、このチラシを見れば、紙の媒体でしか伝えられない価値があることが分かります。それは「体温」です。スマートフォンの画面に表示されるジャケット画像よりも、手に持てるチラシのほうが、イラストの質感、色の温度感、紙の手触りを通じて「このアーティストはどんな人なのか」をリアルに伝えることができます。
このチラシは、その「紙ならではの体温」を最大限に活用したデザインになっています。
オレンジとグリーンが奏でる「ほっこり」の色彩
チラシの外枠に使われたオレンジ、そしてアーティストの周囲を彩るグリーン──この2色の組み合わせは、色彩心理の観点から「温もり」と「癒し」を同時に伝えるペアです。
オレンジは「明るさ」「元気」「前向き」を象徴し、グリーンは「安らぎ」「調和」「優しさ」を連想させます。この2色が共存することで、「元気なのに穏やか」「楽しいのに落ち着く」という、アルバムタイトルの「ほっこり」が持つ多層的なニュアンスが色だけで表現されています。
特にタイトル「ほっこり」の文字にオレンジが選ばれている点は、言葉の意味と色の心理効果を意図的に重ね合わせた処理です。「ほっこり」という言葉を目で追う際、オレンジの暖かさがその言葉の「温度」を補強しています。
絵本の世界のようなコラージュが広げる想像力
メインビジュアルの構成は、草原に座るアーティストの写真に、手描き風のイラスト──タンポポ、クローバー、音符、ぬいぐるみ──を重ね合わせた「コラージュ」表現です。
写真とイラストの混在は、通常であれば統一感を損なうリスクがあります。しかし、このチラシではイラストのタッチが手描き風の柔らかいもので統一されており、アーティストの柔和な表情と違和感なく融合しています。
コラージュの効果は、「現実」と「世界観」の架け橋です。写真だけでは「ある場所にいるアーティスト」にしか見えませんが、イラストが加わることで「このアーティストの音楽を聴いたときに心の中に広がる風景」が視覚化されます。空想的な要素が加わることで、「どんな音楽なんだろう」という好奇心が刺激されるのです。
「もう一人の自分」を見せるという戦略
このチラシのデザインで最も興味深いのは、下段に掲載された過去のアルバムジャケットの存在です。そこには、今作の「ほっこり」とした世界観とは対照的な、海を背にダンディでクールな佇まいのアーティストの姿があります。
この対比を見せることには、明確な戦略があります。「ほっこり」だけを前面に出すと、アーティストの印象が「優しいだけの人」に固定されてしまいます。しかし、クールな過去作を併せて提示することで、「確かなキャリアと深みを持った表現者が、あえての選択として今作では優しさを歌っている」というストーリーが浮かび上がります。
多面性を開示することは、新規ファンの獲得にも、既存ファンの期待にも応える一手です。新規ファンは「このアーティストにはもっと違う一面がある」と興味を持ち、既存ファンは「あのクールな人がこんなに温かい作品を作ったのか」と感慨を抱きます。
両者の「公約数」をフォーカスする
テイストの異なる2つのアルバムを一枚のチラシに共存させる上で、デザイナーが意識したのは「公約数」の発見です。ほっこりした新作とダンディな旧作──方向性は異なりますが、共通しているのはアーティストの「優しい笑顔」です。
どちらの写真でも、アーティストは穏やかな表情をしています。この共通項がチラシ上で視覚的に結ばれることで、「表現のスタイルは変わっても、根底にある人間性は一貫している」というメッセージが伝わります。
楽曲を一度も聴いたことがない人でも、チラシを通じて「この人の音楽を聴いてみたい」、さらには「この人に会ってみたい」と思わせる──それが、紙のチラシが果たせる最高の仕事です。
「草原の音楽家」というタイトルがぴったりな、優しくて心地よいチラシデザインですね。
メインビジュアルの牧歌的な写真や手書き風の絵柄は、アーティストと楽曲の温かみが伝わるような雰囲気を醸し出しています。特に、ぬいぐるみたちと一緒に写っているアーティストの笑顔は、親しみやすくて印象的です。
・新旧ファンへのアプローチ – アーティストのメッセージとジャケットデザイン
また、下段にはアーティストからのメッセージと代表的なアルバムジャケットを掲載することで、ファンにはもちろん、新たなファン層にもアプローチできる工夫がされています。
・デザインの調和 – ほっこりとした雰囲気の中の二面性
全体的に、温かくてほっこりとした雰囲気を醸し出しており、アーティストの持つ二つの側面を伝えることに成功しているチラシデザインです。音楽好きな方々には、ぜひ手に取っていただきたいアルバムのようですね。

※掲載しているチラシデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際の用途・サイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。
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