無償で追加提案を求められた時の、プロの対応術
当初の打ち合わせでは1案で話が進んでいたのに、いざ制作に入ってから「(価格はそのままで)2〜3案ほど作ってもらえませんか?」なんて言われる。こういう経験、一度や二度はあるんじゃないでしょうか。
正直、こんな要求を受けると、ついイラッとしてしまいがちです。でも、ちょっと待ってください。そんな反応は、プロとしていかがなものでしょうか。今回は、こういった状況にどう対応すべきか、一緒に考えてみたいと思います。
感情的にならない
まず大切なのは、感情的にならないこと。確かに、突然の追加要求は困るものです。でも、ここで怒ったりうろたえたりするのは得策ではありません。
クライアントだって、悪気があって言っているわけではないでしょう。お客様からしてみれば、「どうせなら選択肢があった方がいいだろう」くらいの軽い気持ちかもしれません。デザインの制作プロセスを知らない人にとっては、「ちょっと変えるだけでしょ?」くらいに思えるのも無理はありません。
だからこそ、ここは冷静に、ビジネスライクに対応することが大切です。
「淡々と伝える」がキーワード
では、具体的にどう対応すればいいのでしょうか。ポイントは「淡々と伝える」ことです。例えば、こんな風に言ってみてはどうでしょうか。
「承知いたしました。追加の案を作成する場合、1案につき○○円の追加費用がかかります。また、納期も○日ほど延長させていただく必要があります。いかがいたしましょうか?」
これだけです。怒る必要もなければ、困る必要もありません。事実を伝えるだけで十分なんです。
この対応のメリット
この対応には、いくつかのメリットがあります。
まず、プロとしての姿勢を示せます。感情的になるのではなく、ビジネスとして冷静に対応することで、クライアントからの信頼を得られるでしょう。
次に、自分の仕事の価値をきちんと主張できます。タダ働きはプロとしてあるまじき行為。適切な対価を求めることは、むしろ当然のことです。
そして、クライアントに選択肢を与えられます。追加の案が本当に必要なのか、費用対効果を考えてもらう機会になります。場合によっては、「やっぱり1案で十分です」という結論になるかもしれません。
注意点:高圧的にならないこと
ここで気をつけたいのは、決して高圧的にならないことです。あくまで淡々と、事実を伝えるだけです。クライアントの反応を見ながら、柔軟に対応していくのがコツです。
もちろん、ケースバイケースで対応を変える必要もあるでしょう。長年のお付き合いのあるクライアントなら、少し融通を利かせてもいいかもしれません。逆に、初めてのクライアントなら、より丁寧な説明が必要かもしれません。
ありそうな質問に答えてみる
ここで、ありそうな質問に答えてみます。
Q. 「追加料金を要求したら、クライアントに嫌われないか?」
A. 確かに、そういう心配もありますよね。でも、考えてみてください。あなたの仕事に本当に本当に価値を感じているクライアントなら、適切な対価を払うことを嫌がるでしょうか? むしろ、自分の仕事にきちんと価値を置いているプロだと評価してくれるはずです。
Q. 「でも、競争が激しい業界だから、要求を断ったら仕事を失うかも…」
A. この気持ちも分かります。でも、いつまでも無理な要求を飲み続けていては、いずれ行き詰まってしまいます。適切な対価をもらえない仕事を続けていては、自分の技術を磨く時間も、生活を豊かにする余裕も失ってしまいます。長い目で見れば、きちんと自分の仕事に価値を置く方が、結局は信頼され、選ばれるデザイナーになれるはずです。
ピンチをチャンスに
最後に、こんな風に考えてみてはどうでしょうか。クライアントからの追加要求は、実はビジネスチャンスなんだと。
単に「はい」と言って引き受けるのではなく、きちんと対価を得られれば、それは立派な追加収入になります。さらに、複数の案を作ることで、自分のスキルアップにもつながるかもしれません。
要は、物事の捉え方次第です。追加要求を「面倒なこと」と捉えるか、「チャンス」と捉えるか。プロとしての対応力が問われる場面だと考えれば、むしろ楽しめるかもしれません。
おわりに
結局のところ、クライアントとの関係は対等であるべきです。お互いの立場を尊重し合い、Win-Winの関係を築いていく。そんな姿勢が、長く仕事を続けていく上では大切なのではないでしょうか。
2-3案作ってと言われてとるべき行動は、困ったり怒ったりすることではなくて、「1案追加あたり〜円かかりますよ」と淡々と伝える事だと思う。もちろん納期も追加でいただきます。
X (Twitter) – Dec 20, 2018