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キャンプファイヤ

部下の「小さな火花」を「燃え盛る炎」へ。チームを育てるリーダーの役割とは?

チームで何かを作り上げるとき、メンバーのやる気や能力を最大限に引き出すことって、本当に大切ですよね。特にリーダーや上司の立場にいる人は、その責任が大きいなと日々感じています。

部下の頑張りやアイデアに対して、どんな言葉をかけるか。その一言が、彼らの心に火を灯すこともあれば、逆に水を差してしまうこともある。今日は、そんなチームの「火種」をどう育てるかについて、僕が考えていることをお話ししたいと思います。

 

「それ、ダメだね」の一言が消してしまう

新しいプロジェクトで、若手が意気込んでアイデアを出してきたとします。でも、その内容はまだまだ荒削りで、経験豊富なリーダーから見ればツッコミどころ満載かもしれません。

そんなとき、つい「うーん、それはちょっと現実的じゃないかな」とか「もっとこうしないとダメだよ」なんて、頭ごなしに否定から入ってしまうことはないでしょうか。良かれと思ってのアドバイスのつもりでも、言われた方は「やっぱり自分はダメなのかな…」と、せっかくの「やってみよう!」という小さな火花がシュン…と消えてしまうかもしれません。

僕も若い頃、勇気を出して提案したデザイン案に対して、先輩から開口一番「これじゃ全然だめだ」と言われて、目の前が真っ暗になった経験があります。もちろん、的確な指摘だったのかもしれません。でも、その一言で、次に何か新しいことを試そうとする気持ちが、大きくしぼんでしまったのを覚えています。

否定やダメ出しばかりが続くと、メンバーは次第に新しい挑戦をためらうようになり、「言われたことだけやっていればいいや」という受け身の姿勢になりがちです。これでは、チーム全体の創造性や問題解決能力も頭打ちになってしまいますよね。まるで、湿った薪にいくら火をつけようとしても、なかなか燃え移らないような状態です。

 

大切なのは「火をあおぐ」関わり方

関わり方

では、どうすれば部下の「火種」を絶やさずに、むしろ大きな炎へと育てていけるのでしょうか。僕が思うに、それは「水をかける」のではなく「火をあおぐ」ような関わり方です。

例えば、先ほどの若手のアイデア。たとえ未熟だったとしても、まずは「面白いところに目をつけたね!」とか「その発想はなかったな、具体的にどういうイメージ?」と、肯定的な言葉から入る。そして、「もっとこうしたら、さらに良くなるんじゃないかな?」と、一緒に考えるスタンスで改善点を提案していく。

大切なのは、相手の意欲やアイデアの「良い部分」を見つけて、そこを起点に広げてあげること。そして、足りない部分や改善すべき点は、一方的に指示するのではなく、問いかけを通じて本人に気づかせたり、一緒に解決策を探したりする姿勢です。

デザインの世界では、最初のアイデアは本当に小さな「ひらめき」であることが多いです。それをすぐに「現実的じゃない」「予算がない」と切り捨ててしまっては、何も生まれません。まずはその「ひらめき」を面白がり、どうすれば形にできるか、どうすればもっと魅力的になるかを一緒に考える。そうやって丁寧に「あおいで」いくことで、最初の小さな火花が、やがて周囲を照らすほどの大きな炎になる可能性を秘めていると信じています。

リーダーの「俺がやる」が、実はチームの成長を止める?

時々、部下の仕事がなかなか進まなかったり、期待した成果が出なかったりすると、「もういい、俺がやるよ」と、リーダー自らが手を下してしまうケースを見かけます。もちろん、緊急時や、どうしてもリーダーでないと対応できない局面もあるでしょう。でも、これが常態化してしまうのは、実はあまり良いことではないと僕は考えています。

リーダーが仕事を取り上げてしまうと、部下は大切な「経験から学ぶ機会」を奪われてしまうからです。自分で試行錯誤し、時には失敗もしながら、それを乗り越えていく過程こそが、人を最も成長させます。その機会をリーダーが奪ってしまっては、部下はいつまでたっても自信を持てず、主体的に動けるようにはなりません。

それに、もっと上の立場の人から見れば、「あのリーダーは、部下を育てることができていないんじゃないか」「マネジメント能力に課題があるのでは?」と評価されてしまう可能性だってあります。リーダーの仕事は、自分でプレイヤーとして成果を出すこと以上に、チーム全体の力を引き上げ、成果を最大化することにあるはずです。そのためには、辛抱強く部下の成長を待ち、サポートする姿勢が不可欠です。

デザインの現場でも、経験の浅いデザイナーにどこまで任せるかは常に悩ましい問題です。クオリティを担保しつつ、新しい才能を育てる。そのバランスを取るために、リーダーは細やかなコミュニケーションと、適切なタイミングでのサポート、そして何より「任せる勇気」を持つことが求められると感じています。

 

「信頼」という薪をくべ、「対話」で酸素を送る

仕事

では、部下のやる気に火をつけ、成長を促す「火をあおぐ」リーダーになるためには、具体的にどんなことを意識すれば良いのでしょうか。

まず何よりも大切なのは、部下を信頼することだと思います。彼らの可能性を信じ、「きっとできる」という期待感を伝える。この信頼感が、部下にとっては安心して挑戦できる「土壌」になります。

そして、日々のコミュニケーション、つまり「対話」を大切にすること。部下が何を考えているのか、何に困っているのか、どんなことに挑戦したいと思っているのか。それを丁寧に聞き出すことから始まります。一方的に指示を出すのではなく、彼らの言葉に耳を傾け、共感し、一緒に考える。この双方向のコミュニケーションが、部下のモチベーションという「炎」にとって、新鮮な「酸素」を送り込むことにつながります。

また、適切な権限移譲も重要です。いつまでも細かく指示を出す(マイクロマネジメントする)のではなく、ある程度の裁量権を与えて任せてみる。もちろん、丸投げではなく、困ったときにはいつでも相談できる体制を整えておくことが前提です。小さな成功体験を積み重ねることで、部下は自信を深め、より大きな仕事にも臆せず取り組めるようになります。

そして、失敗を許容する文化も大切です。挑戦に失敗はつきもの。失敗から学び、次に活かせば良いという雰囲気があれば、メンバーは萎縮せずに新しいアイデアを試すことができます。リーダーは、失敗を責めるのではなく、そこから何を学んだかを一緒に振り返り、次への糧とするサポートをすべきです。

 

さいごに

上司の役割は、部下の欠点を指摘して正す「監視役」ではなく、部下の持つ可能性という「火種」を見つけ、それを大切に育て、やがて大きな「炎」へと燃え上がらせる「応援団長」のようなものかもしれません。

「こうしたらもっと良くなるんじゃない?」

この一言には、相手への期待と、一緒に成長していきたいという想いが込められています。水をかけるような言葉ではなく、温かい風を送るような言葉を意識するだけで、チームの雰囲気はきっと変わってくるはずです。

 

上司は水をぶっかけるのではなくて、あおいで火を起こすのが仕事だと思っています。難しい場合もありますが「こうしたらもっと良くなるんじゃない?」と。あと【おれがやる】は悪手というか、更に上の上司が見たら「こいつ、マネジメントできてないやん」という低評価につながりかねません。

X (Twitter) – May 29, 2021



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。