
仕事が絶えない「フィーバータイム」の熱狂と、その先に待つ落とし穴
フリーランスとして活動していると、ありがたいことに、まるで何かのスイッチが入ったかのように、次から次へと仕事の依頼が舞い込んでくる時期があります。まるで「フィーバータイム」に突入したかのような、あの高揚感。アドレナリンがドバドバ出て、まさに無敵状態!なんて錯覚してしまうことも。
ただ、この「フィーバータイム」、実はちょっと注意が必要な時期でもあると考えています。今回は、僕自身のちょっと苦い経験も踏まえながら、そんな「フィーバータイム」との上手な付き合い方についてお話ししたいと思います。
突然訪れる「フィーバータイム」!その正体とは?
「あれ?なんだか最近、問い合わせが多いな」「立て続けに大きな案件が決まったぞ!」
こんな風に、特に何かを変えたわけでもないのに、急に仕事の依頼が増えたり、面白いプロジェクトに関わるチャンスが巡ってきたりすることってありませんか? それが、僕の言う「フィーバータイム」の始まりです。
この時期は、本当に楽しくて、充実感に満ち溢れています。自分のスキルや実績が認められたような気がして、自信も湧いてきますよね。周りからも「すごいね!」「さすがだね!」なんて言われたりして、ついつい「自分って、もしかして天才か?」なんて思ってしまうことも。
ここで一度立ち止まって考えてみることが大切です。その絶好調、本当に100%自分の実力だけでしょうか?
もちろん、日々の努力や積み重ねがあってこその結果だとは思います。でも、もしかしたら、世の中のトレンドと自分のスキルが偶然バッチリ噛み合ったとか、たまたま良いご縁に恵まれたとか、そういう「運」や「タイミング」の要素も、少なからず影響しているのではないでしょうか。
この「フィーバータイム」って、下手をすると1年以上続くこともあるんです。そうなると、もう完全に「これが自分の実力だ!」と信じ込んでしまうのも無理はありません。でも、そこに大きな落とし穴が潜んでいる可能性があることを、僕は身をもって経験しました。
勘違いが招く、静かなる崩壊の序章
「フィーバータイム」が続くと、人はどうしても現状に甘んじてしまいがちです。
- 学びの機会を逃す: 「今のやり方で上手くいっているんだから、新しいことを学ぶ必要はない」と、スキルアップを怠ってしまう。
- 市場の変化に鈍感になる: 自分の成功体験に固執するあまり、世の中のニーズやトレンドの変化に気づけなくなる。
- 過信からくる油断: 「自分なら大丈夫」という根拠のない自信が、仕事の質を下げたり、周りへの配慮を欠いたりする原因になる。
僕も、まさにそうでした。次々と舞い込む仕事に追われる日々。それはそれで充実していましたが、どこかで「今の自分、最強!」みたいな万能感に浸っていたんですね。新しい技術のキャッチアップもそこそこに、目の前の案件をこなすことで満足してしまっていました。
でも、永遠に続くフィーバーなんて、残念ながらありません。
あれだけ鳴り止まなかった問い合わせの電話が、少しずつ減っていく。あんなにスムーズに進んでいたプロジェクトが、なんだか上手く回らなくなる。そして、ふと気づいた時には、以前のような輝きは失われ、仕事の量も質も、明らかに落ちてしまっている…。
「あれ?おかしいな…」
そう感じ始めた時には、もう手遅れに近い状態だったりします。かつての成功体験が強烈なだけに、現実とのギャップに打ちのめされ、自信を失い、何が悪かったのかも分からず、ただただ焦りだけが募っていく。まさに、ガタガタと音を立てて崩れていくような感覚でした。
フィーバーの波を乗りこなし、次へと繋げるために
では、どうすれば「フィーバータイム」の熱狂に浮かされることなく、その後の失速を防ぐことができるのでしょうか。僕が経験から学んだ、いくつかのポイントをお伝えします。
1. 客観的な視点を持ち続ける
どんなに調子が良い時でも、「これは本当に自分の実力だけだろうか?」と自問自答するクセをつけることが大切です。もちろん、自分の頑張りを認めることは重要ですが、同時に、運やタイミング、周りのサポートといった要素にも目を向けて、感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
第三者の意見に耳を傾けるのも有効です。信頼できる友人や同業者に、客観的なアドバイスを求めてみるのも良いでしょう。
2. 学びを止めない、変化を恐れない
「フィーバータイム」の真っ只中にいる時こそ、実は新しいことを学ぶ絶好のチャンスかもしれません。今の成功に安住せず、常に新しい知識やスキルを吸収し続ける姿勢が、次のステージへと進むための原動力になります。
世の中のトレンドは常に変化しています。その変化を敏感に察知し、柔軟に対応していくことが、長く活躍し続けるためには不可欠です。
3. 謙虚さと感謝の気持ちを忘れない
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がありますが、まさにこれです。どんなに成功しても、謙虚な気持ちと周りの人への感謝の気持ちを忘れずにいたいものです。
仕事は一人でできるものではありません。クライアント、協力してくれるパートナー、応援してくれる家族や友人。たくさんの人に支えられて、初めて成り立つものです。そのことを忘れずにいれば、自然と行動も変わってくるはずです。
4. 「調子が良い時こそ、次の一手を」
人間、どうしても目の前のことに追われがちですが、少しだけ未来に目を向けてみましょう。
「フィーバータイム」で得た収益や経験、人脈などを、次のステップのために投資するという視点も大切です。新しい事業の準備をする、スキルアップのための講座に通う、将来のための情報収集をするなど、好調な時期だからこそ、先を見据えた行動を起こす余裕が生まれます。
もしかしたら、その「次の一手」が、次の「フィーバータイム」を呼び込むきっかけになるかもしれません。
フィーバーは通過点。大切なのは、その先を見据える力
仕事がどんどん舞い込んでくる「フィーバータイム」。それは、頑張ってきたあなたへのご褒美であり、大きなチャンスであることは間違いありません。その高揚感と達成感は、何物にも代えがたいものです。
でも、その熱狂に飲み込まれてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまう危険性も孕んでいます。大切なのは、フィーバーを「実力」と過信せず、むしろ「ありがたいボーナスステージ」くらいに捉えて、その状況を冷静に分析し、次へと繋げるための準備を怠らないこと。
僕自身、一度痛い目を見たからこそ、このことを強く意識するようになりました。
もし今、あなたが「フィーバータイム」の真っ只中にいるなら、ぜひ今回の話を少しだけ思い出してみてください。そして、その素晴らしい波を最大限に活かしつつ、地に足をつけて、さらに大きく飛躍するための一歩を踏み出していただけたら嬉しいです。
(まぐれやラッキーで)どんどん仕事が舞い込んじゃう!みたいなフィーバーって下手すると1年以上続いてしまう場合があって、それを実力だと勘違いするとその後ガタガタと崩れてしまうので気をつけた方が良いです(という経験談)
X (Twitter) – Jan 2, 2021