Unsplashのライセンスでモヤる部分があったので直接聞いてみました。
事務所で行う普段の仕事では、有料のストックフォトサービス(Adobe Stock / Shutterstock / PIXTAなど)を利用していますが、サービスの一部で無料素材の配布を行っていまして、そこにUnsplashの素材を活用しています。
多くのデザイナーさんはご存知かと思いますが、Unsplashは非常にお洒落な写真素材が、無料かつ縛りの少ないライセンスで利用できるプラットフォームです。以前はCC0ライセンスでしたが、現在はUnsplashの独自ライセンスという形態を取っています。
CC0ライセンスとは
以前のCC0ライセンスは“No Rights Reserved”つまり、「いかなる権利も保有しない」ということです。その為、CC0画像はWEBサイトのモックアップなどでもよく見かけます。WordPressのGPLライセンスとも相性が良いですから。
Unsplashが独自ライセンスに舵を切った事は、海外の利用者の間でも話題になっていました。
Unsplashの独自ライセンスについて
Unsplashサイト内のライセンス改定の理由を読みましたが、その動機はもっともでした。
CC0であるのをいいことに、Unsplashにアップされた写真を別のプラットフォーム・競合サイトに再アップしたり、酷いものは機械的に大量ダウンロードしてコピーサイトのようなものを作る輩まで現れたそうです。
CC0ライセンスで築く優しい世界をUnsplashは目指しましたが、前述のようなエグい二次利用はUnsplashの望む世界ではありませんでした。その為、CC0ライセンスをもとに、少し改変がなされました。それが現在のUnsplashの独自ライセンスです。第三者が不当な利益を得ないための工夫をしたアップデートと言えるでしょう。
Unsplashのライセンスページは現在以下のように書かれています(2021/3/30 現在)
やっていいこと
Unsplashの写真は、自由に使用できるように作られています。私たちのライセンスはそれを反映しています。
・すべての写真は、無料でダウンロードしてご利用いただけます。
・商業目的、非商業目的どちらでも。
・利用許可は必要ありません(ただし帰属表示は嬉しいです!)
やってはいけないこと(ここがUnsplash独自)
・写真は、大幅な修正なしには販売できません。
・Unsplashから写真を集めて、類似または競合するサービスを再現することは禁止です。
しっかりとした貴方の創造性を付加しないと販売できないし、うちのプラットフォームを荒らさないでね。ということですね。
そこでふと気になることが一点。
“類似または競合するサービス” ってどの範囲を言うんだろう?
冒頭で書いたように、ASOBOADというサービス内で、パワーポイントの無料デザインテンプレートを配布しています。その中でUnsplashの画像を一部利用しています。
ある意味画像を配っていると言えば配っているし…でも、競合か?と言えば軸は違うよなぁ…
うーん。
で、こういう時はですね。
直接聞く。
これですよ。
SNSで、「このライセンス、モヤモヤするなぁ…」とつぶやいたところで何にも進展しないんですから。
「こういうサービスやってまして、権利的問題ないとは思っているんですが、どうですか?」的にメール。
We are distributing designed PowerPoint templates for free, some of which use photos from Unsplash.
We are aware that this is in accordance with the Unsplash license.Is there a problem with these usage methods?
We do not intend to develop a service that competes with Unsplash.
こういうライセンスの確認は、しっかり運営されているところなら返事があります。即日対応してもらえました。早っ!カナダ本社夜中じゃないの?という時間に返信が来て驚きましたが、イギリス支社からでした。
「画像をそのまま利用する場合は販売用のテンプレートにはできないけど(テンプレートの一部とは言え、画像の販売禁止に抵触する為)、無料で提供する分には問題ないですよ」
To clarify, unmodified images cannot be bundled into templates for sale, as this would essentially be selling the images (allbeit as part of a template). If the images are creatively modified then that’s fine.
But if they will be for free, you’re good to go.
ということで、無事に問題ないことが分かりました。Adobe StockやShutterstockのライセンスでも、英語(原本)と日本語(翻訳版)ではニュアンスが異なっている場合があり、その差分の解消がしたくて問い合わせたことも何度かあります。
何が言いたいかと言いますと、
聞けば割と解決するから聞こう。
今はいい翻訳ツールがありますから、英語でちょっと聞くくらい余裕です。
万一トラブルになっても、自己判断の使用とプラットフォーム運営者から許諾を得た上での使用とでは、全然状況が異なると思います。どこのブログに書いてあったとか、有名な誰々さんが言ってたとかよりも、「運営が言ってた」が最強なんですから。
余談
ちなみに、Unsplashのロゴは、VRで有名なオキュラスやInstagramのワードロゴ部分を手がけたマッキー・サタデー(Mackey Saturday)氏のデザインです。