流行に左右されないロゴだけが素晴らしいのか?
結論から言うと、流行を追いかけるロゴ・流行に左右されないロゴ、どちらも姿勢として否定すべきでは無いと思います。
世界中の大企業のブランディングを手掛けているChermayeff & Geismar & Haviv社の手がけるロゴは、非常にシンプルなロゴデザインが多く、初期のロゴが現在も使われていることが多いです。永続性のあるロゴデザイン・ブランド構築の話になると、よく話題に上る企業です。
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1965年に手掛けたモービル社のロゴは有名ですね。他にもPBS(1984年)、NBC(1986年)、ナショナルジオグラフィック(2003年)など…誰もが見たことのあるロゴを多く手掛けています。
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これはナショナルジオグラフィックのロゴですが、こちらもとてもシンプルで素敵なデザインです。
ただ、永続性のある廃れないロゴが、どんな状況においても素晴らしいかと言えば、それは違うかな?と感じています。今存在するデザインのバリエーションは、それぞれの時代時代でデザイナー達が当時の流行を察知した賜物だと思うからです。
今、「ビンテージ感あって格好いいなー」と思うデザインがあったとします。
でもそのビンテージっぽいデザインは、考案された当時は”ビンテージ”ではなかったはずです。斬新!おしゃれ!と当時は持て囃され、その後飽きられ、一周回って「ビンテージ」と言うジャンルになったわけです。
もっと戻れば中世にだって色々な流行の勃興がありました。印刷技術の発達などの技術革新に呼応するように、いろいろなデザインが生まれてきました。技術革新と呼応するという点で言えば、スマートフォンの誕生がロゴデザインに与えたインパクトは相当なものだったと思います。実際、多くのロゴがミニマルな印象へと変貌しました。
日本であれば、家紋はシンプル・ミニマルデザインの象徴のように扱われることがあります。三井物産の新しいロゴや島津製作所のロゴが有名ですね。そんな家紋だって、平安時代はかなり写実的で凝ったデザインが多かったんです。ぼんやり僕たちが思い浮かべる家紋のイメージは戦国時代以降のものが多く、平安時代権威の象徴であった家紋が、合戦で敵味方の識別などのアイコン的な意味合いを兼ねるようになったからです。これも当時の機能的な流行りですよね。
何十年も前に作られたと思えないロゴ・ブランドを生み出すことは、並大抵の事ではありませんし、尊敬すべきデザインだと思います。無意味に流行を追いかけるのはどうかと思いますし。
とは言え、ロゴの流行を眺めるのは楽しいものです。街を歩いて色んなカフェのロゴを見ていると、まるでトレンドの見本市のようです。感度の高い若者を惹きつける素晴らしいアイコンになっていると思います。
また、今となっては古臭くなってしまったロゴが、安心感や老舗感につながることもあります。古く見える事だって、一概に悪い事とは言えないのです。
いつ見てもフレッシュで永続性のあるロゴこそ至高!と僕は思いません。(成し遂げた人は凄いと思います) 流行りを押さえているロゴも格好良いし、それが利益に貢献することもあるからです。