
私たちは常に「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」の5つの感覚器から情報を得ています。中でも、目から情報を得る「視覚」は五感の中でも重要な役割を担い、外的情報の実に8割以上を視覚に頼っているといわれています。
視覚から得る情報の中でも「色」が与えるインパクトは強く、感情や記憶にストレートに訴えかけ、心と体に変化を呼び起こします。
果物のオレンジが由来である赤と黄色の中間色「オレンジ」は、見る人の心を陽気にさせ、ネガティブをポジティブに導く元気溢れる前向きな色。抑圧された感情を開放し、やる気を掻き立て自由な発想を生む開放的な雰囲気は、クリエイティブな感性に強く響くモチベーションカラーです。
また、焚火や夕焼けなど温かな温度を感じる色でもあるため、ぬくもりや親しみをイメージさせやすく、相手に好印象を与えやすい色です。目にすることでエネルギー循環が促されるため、食欲を増進する効果もあります。
「オレンジ」のイメージワード

●柑橘 ●元気 ●明るい ●食欲 ●夕焼け ●焚火 ●陽気 ●南国 ●健康 ●笑顔 ●秋 ●実り ●ビタミン ●かぼちゃ ●みかん ●柿 ●にんじん
「オレンジ」の心理的効果
・開放的で前向きな気持ちになる
・自由な発想で想像力を発揮する
・食欲を増進させる
・フレンドリーで活発なコミュニケーション
「クリックされやすい色」と言われるオレンジの、実務での効かせ方
オレンジはWebのCTAボタン(行動を促すボタン)の色として頻繁に選ばれます。記事でも「クリック率が高い」と触れられていますが、これはオレンジ単独の力というより、「画面の中でオレンジが出会う他の色との関係」が大きく関わっています。
多くのWebサイトのデザインは、白を背景に、ブルー系・グレー系・黒のテキストで構成されています。この中で暖色系のオレンジが現れると、強く視線を引き寄せる構造ができあがります。「全体が寒色寄りだからこそ、暖色のボタンが効く」のであって、もし周囲全体が暖色系のサイトなら、オレンジボタンは埋もれてしまいます。
CTAボタンの色を選ぶときは、「オレンジが効きやすい」と暗記するより、「画面全体の色温度の中で、目立つ色は何か」と考えるほうが実務的です。緑系のサイトならオレンジ、暖色系のサイトなら青、青系のサイトなら赤やオレンジ、というように、画面のベースカラーと反対の温度を選ぶ、という原則のほうが応用が効きます。
色味や濃さによって変わる「オレンジ」のイメージ
明るいオレンジ
元気・活発・ジューシー・夏・太陽・社交的・開放的・若さ
やわらかなオレンジ
やわらかい・アプリコット・ぬくもり・甘い・優しさ・人間味・親しみ・安堵
鮮やかなオレンジ
陽気・楽しい・楽観的・幸福・幸運・アクティブ・親しみ・健康的・食欲・団らん
濃いオレンジ
成熟・秋・深み・落ち着いた・収穫・品格・お洒落・エキゾチック・スパイシー
「オレンジ」をデザインに取り入れるポイント

オレンジは「炎」や「火」を連想させることから、色相環の中でもっとも温かさを感じる色、すなわち、暖色系の中心的な色といえます。同じ暖色系でも彩度の高い「赤」ほど派手ではなく、しかしながら、人目を引く鮮やかさをもっているため、誘目性が高く、デザインのアクセントとして取り入れやすい色です。
加えて、食欲を増進させる心理効果をもっているため食品関係の業種と相性が良く、パッケージや販促物、店舗デザインやロゴマークなど、飲食関係のコーポレートカラーとして人気の高い色です。

また、オレンジは飲食業だけに留まらず、幅広い業種にマッチするプラスイメージの強い色。気持ちを明るくし、人と人とをつなぐような親近感の湧くイメージを持っているため、コミュニケーションが必要なサービス業やファッション関係、一般企業など明るいイメージをアイデンティティにしたい企業やブランドには最適です。
オレンジが効果的な業種・媒体
- フードデリバリー・飲食: 食欲をそそる暖色として赤に次ぐ定番
- WEBサイトのCTAボタン: 目立つが赤ほど攻撃的でないため、クリック率が高いとされる
- 子ども向けサービス: 親しみやすくエネルギッシュな印象
オレンジの配色テクニック
| 組み合わせ | 印象 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| オレンジ×白 | フレッシュ、カジュアル | カフェ、ベーカリー |
| オレンジ×紺 | 信頼×親しみ | 不動産、BtoB |
| オレンジ×緑 | 自然、健康的 | オーガニック、農業 |
| オレンジ×黒 | ハロウィン、スポーティ | イベント、スポーツ |
注意点
- 赤ほど激しくなく、黄色ほど軽くない「ちょうどいい温かさ」がオレンジの魅力
- ただし、安っぽく見える恐れもあるため、高級感を出したい場面では使い方に工夫が必要
オレンジは「使う面積」次第で、別の色のように振る舞う
オレンジを配色に取り入れるとき、見落とされがちなのが「使う面積による印象の違い」です。同じオレンジでも、画面全体に広く使うか、アクセントとして数%に絞るかで、伝わるメッセージが大きく変わります。
画面の50%以上をオレンジが占めると、「明るい」「元気」を超えて「賑やか」「うるさい」「カジュアル」という印象に振れていきます。子ども向けサービスやお祭り告知のように、エネルギー全開を伝えたい場合は効果的ですが、信頼感や落ち着きを伝えたいビジネス用途では強すぎることもあります。
逆にオレンジを画面の5〜10%程度のアクセントに絞ると、「ワンポイントの温かみ」「視線を引く要素」として機能します。BtoBの企業サイトでも、CTAボタンや見出しの一部にオレンジを使う、といった控えめな使い方なら、安っぽさを避けつつ親しみやすさを足せます。「オレンジを使うかどうか」より「どれくらいの面積で使うか」のほうが、実は印象を決める大きな要素になっています。
まとめ
色のイメージは人の記憶や物事への印象と深く紐付いています。原始の記憶に端を発する色のイメージはもちろん、新たに歴史に加わる文化や事象、時代の流れと共に日々アップデートされています。色を選ぶ際は、時代の流れや競合が使う色なども視野に入れつつ、ブランドに合ったイメージを見極めてデザインに取り入れたいですね。
オレンジを高級感に転じる「くすませる」というアプローチ
記事では「オレンジは安っぽく見える恐れがある」という注意点が触れられています。これを回避してオレンジを使う方法のひとつが、「くすませる」というアプローチです。
鮮やかなオレンジ(#FF6600のような明度・彩度の高いオレンジ)は、楽しさ・元気・カジュアルさを強く打ち出します。これを少し彩度を落として、テラコッタやアースオレンジ、焼きオレンジと呼ばれるようなトーン(#C45D2Eのような落ち着いたオレンジ)に変えると、印象がガラリと変わります。「温かみ」は残しつつ、「高級感」「成熟」「品の良さ」が加わってきます。
ファッション、インテリア、伝統工芸、高級飲食といった分野で、こうしたくすんだオレンジが好まれる理由はここにあります。オレンジを使いたいけれど安っぽさを避けたい、という場面では、「彩度を落とす」「明度を下げる」「黄色みを抜いて赤寄りにする」といった調整で、別の表情を引き出せます。同じ色相でも、トーンの選び方で印象は大きく変えられる、という基本が活きる場面です。
※色が与える印象や影響には個人差があり、国や環境・文化背景などによっては持つ意味や受け取るメッセージが異なる場合もあります。
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