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デザイナー人生

独学から始まったデザイナー人生、広く手を出して点を繋げる楽しみ

専門外スタートでも、なんとかデザイナーに

僕は専門的なデザイン学科を出たわけではありません。大学では特にクリエイティブ分野に特化した教育を受けず、趣味の延長でグラフィックデザインを独学していました。正直、プロの世界で通用するのか不安ばかりでした。でも、運よく製造メーカーのデザイン課に採用してもらえて、そこから僕のデザイナー人生が始まりました。

「採用された」のは本当に大きかったと思います。大学時代は、授業の合間にデザイン関連の本を読んだり、バイト代を貯めてデザインソフトを買ったりして、自分なりにスキルを磨いていました。その積み重ねが奇跡的に実を結んだ感じです。もちろん、就職したからといって安堵できるわけではありません。そこからが本当の修行でした。

パッケージメーカーでCADを叩き込まれる

入社前、上司から「うちはパッケージの製造メーカーだから、CADも使うことになるよ」とは聞かされていました。でも、まさかここまでCADまみれの業務になるとは思っていませんでした。僕はグラフィックデザインをしたくてデザイナーになったつもりだったので、「こんなにCADばかりやるのか!」と最初は正直、戸惑いというより少しガッカリに近い感情もありました。「グラフィックに没頭したいのに、なぜ俺は箱の展開図を引いているんだろう?」と悶々としたりもしたものです。

とはいえ、やるしかない。先輩たちに教わりながらCADソフトを操作していくと、立体物を平面図で表現していく独特の思考回路に興味が湧いてきました。折り目や切れ目の計算、強度や組み立てやすさの工夫など、平面デザインとは違う頭の使い方です。「箱が組み上がる瞬間」を頭の中でイメージできるようになると、それはそれでかなり面白い。

入社当時はグラフィック欲求がうずうずしていましたが、CADを通じて身についた立体感覚は、後に自分の表現や発想の幅を広げる大切な糧になっていきました。

 

Webサイトは自分の舞台を作るために

Webサイト作成

その後、僕は会社員と並行して、フリーランスを志すようになりました。すると今度はWebサイトづくりが必要になってきます。これは仕事の案件というより、自分のビジネス拠点として求められたものです。いわば自分専用の「舞台」ですね。ポートフォリオを並べ、連絡先を載せ、情報発信の場として運用するため、WordPressをいじり始めました。

触っているうちに「HTMLはこういうルールで組み立てるんだ」「PHPでこうやって動的にテーマを呼び出すんだ」と、自然とコードの仕組みが見えてくる。デザインと技術がうまく噛み合うと、頭の中で描いたビジュアルが画面上で動く感動があります。紙とは違うメディアだからこそ、情報設計やユーザー体験を考える必要がある。これもまた、グラフィックとは別の思考の筋肉を使う作業でした。

浅く広くの点が増えれば、線が見えてくる

CAD、グラフィック、Web…こうして広く手を出していくと、「どれも中途半端になってない?」と思われるかもしれません。でも僕は、「浅く広く」手を伸ばしてきたことが、だんだんと点を繋げる力になっている気がします。

パッケージの立体感覚が、ウェブのレイアウトや情報構造を考える上で役に立ったり、ウェブで学んだ階層構造やUI設計が紙面デザインに新しいヒントをくれたりします。映像や写真、イラストといった別分野にも触れれば、きっとまた新たな糸口が生まれるのでしょう。「あれとこれ」を繋いで新しい視点を生み出せるのは、浅くとも多方面に触れた人間の特権かもしれません。

 

自分のフィールドは自分で作る

自分のフィールド

フリーランスになって感じるのは、「自分のフィールドを自分で作る」大切さです。専門外の大学で独学から始まったデザイン修行が、パッケージメーカーでのCAD経験や、Webサイトというプラットフォームづくりへと繋がり、仕事や表現の可能性を拡げてくれています。

特定の分野を極めるのも魅力的ですが、僕はあえて「浅く広く」を肯定したい。なぜなら、あちこちに伸ばした触手のおかげで、「このアイデア、あの時のCADの発想を使えそうだな」「この配色や動き、ウェブ制作の経験がヒントになるな」といった風に、新しい化学反応が起きるからです。

僕にとっての「浅く広く」の意義

専門外スタートというハンデは、逆に言えば自由な行き来を許してくれます。最初から「これを極める」と決め込んでしまうより、「面白そうだからやってみる」精神で動いてきたほうが、僕の性には合っているようです。

それが「浅く広く」手を出すということ。点が増えた分、どこかで線が交差して、思いもよらない地図を描いてくれます。今後も新しい技術や表現があれば、とりあえず試してみようと思います。その積み重ねが、いつか独自の深みへと繋がっていくと信じています。

 

グラフィックデザイナーになったつもりが会社ではCADの設計を覚えさせられ、WordPress始めたらうっすらhtmlとphp触れるようになり、イベント企画したら映像制作やる羽目になり…とことん浅く広い感じになりました笑 浅く広いって割と良いと信じたい。結果的に点が繋がって深くなるし。

X (Twitter) – Feb 23, 2020



この記事は過去の自分のX(Twitter)のポストを元に、編集しています。

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グラフィックデザインを中心とした小さなデザイン事務所を経営しています。スタッフや外部のデザイナーさん・ライターさんに助けられながら、コツコツと地道に仕事をする日々が気に入っています。パッケージメーカーのデザイナーとして新卒入社→美容系のベンチャーに転職→家庭用品メーカーに転職...という流れを経て、その後独立しました。フリーランスデザイナーとして、10年以上の経験から学んだことや雑記をブログにしています。情報発信が趣味に近く、それが興じてPhotoshop関連の本を出版したり、noteを執筆したりしています。