引き締まった和のイメージが強いインパクトを生むスナック菓子のパッケージデザイン。
赤と黒のシックな組み合わせをベースに、リアルな海老のイラストを大きく配置し、センターには品名を楷書体でデザインしました。POPで洋風なイメージが定番のスナック菓子パッケージに意外性をもってインパクトを生む和風のパッケージデザインです。
シンボル的デザインの取り入れ
品名上には綱をモチーフにした飾りと対になった海老のイラストを入れ、商品のシンボル的なデザインを施し、パッケージ下部には赤と金色で和柄を配して和の面持ちと高級感を演出しました。
意表を突くスナックのビジュアル演出
和菓子のように全てが和風で統一されたデザインに、唯一、舞い散るように描かれたスナック菓子。陳列棚で見る人をハッとさせる意表を突いた仕掛けになっています。
和柄をパッケージデザインに組み込む際に使用するアイテムの選定ポイント
日本文化の象徴とも言える「和」のデザイン。近年、海外はもちろん、国内でも「和デザイン」をモチーフにしたアイテムが増加しています。特に象徴的な和のデザインは「和柄」と「家紋」です。
和デザインのモチーフは上げれば数え切れないほど多くのものがあります。その中で和柄や家紋、楷書体といったモチーフはシンプルながらも複雑な要素が絡み合って作られているものです。これらの和デザインをパッケージデザインに組み込む際には、使用するモチーフの選定に注意しなくてはなりません。
作例のスナック菓子パッケージデザインサンプルを制作した際に、当サービスがモチーフ選定で意識したポイントは次の2つです。
- 和デザインの構成バランスを考える
- 商品のイメージと合った和デザインを選ぶ
「和」を前面に押し出しつつ、商品の魅力をアップできるパッケージデザインについてお話ししていきたいと思います。
和デザインの構成バランスを考える
和柄や家紋、楷書体といった和デザインのパーツはどれも主張が激しいものです。それぞれに意味があるため、配置するバランスを考えないと、主張ばかりになってしまい、本来伝えるはずの商品の魅力が伝わりにくくなってしまいます。和デザインは総じて「緻密×シンプル」なものがほとんど。一見シンプルなモチーフのように見えますが、作り方には特殊な製図方法が用いられています。緻密に計算されたモチーフ。それが和デザインと言えるかもしれません。
作例のスナック菓子パッケージサンプルでは、和柄:家紋:楷書体の3つのモチーフの比率を「家紋<和柄<楷書体」にしています。最も比率の大きい楷書体は商品名を表すためのものであるため、和デザインのなかでは一番大きな比率にしています。位置もパッケージデザインの中央に目立つように配置しました。
次いで大きいものが和柄です。パッケージの右下にある矢絣(やがすり)文様です。エビのおしりの部分を覆うようにして配置し、全体の和の印象を高めました。
もっとも小さい比率で使用したのが家紋風アイコンです。紋付袴や紋付着物では、襟元や首元に配置される家紋。日本人であれば、家紋=メーカーアイコンのようなイメージがあるため、比率を大きくしても問題ないでしょう。しかし、海外向け、インバウンド向けを考えると、比率は小さい方が良いかもしれません。エビを模したイラストが商品のこだわりポイントを強く訴求してくれます。
商品のイメージと合った和デザインを選ぶ
和デザインにはそれぞれに意味があります。和柄や家紋、楷書体にもそれぞれ意味があります。和デザインは見た目や可愛さといったイメージで選ぶ場合もありますが、できる限り和デザインの意味と商品イメージの公約数になるようなものを選ぶことが大切です。
家紋風アイコンはあくまでもパッケージの装飾的役割として使うため、大きな意味はありません。
フォントの楷書体が持つイメージには、日本的や伝統的、厳格さといったものが挙げられます。もともとは古代中国で生まれた書体ではあるものの、和デザインとして認知されています。
和柄の矢絣(やがすり)は矢羽を並べた縞文様です。矢絣文様は縁起物として使われることが多く、大学卒業の袴などでも使われています。矢絣文様の意味には2つあります。(※諸説あり)
1. 矢が破魔矢であることから魔除けの意味を持つ
2. 矢を射るとまっすぐにしか飛ばず、戻ってくることがないため、前進しつづけるという期待の意味を持つ
新しい商品として売れ続けてほしいという企業様の思いを和柄とデザインにのせた形です。この矢絣をエビの色と縁起のよい金色にすることによって、より商品イメージに近い和柄「矢絣」になりました。
制作パッケージデザインに対する感想
VOICE ※第三者による感想です
インバウンドのお土産にも注目されそうな「和」のパッケージデザインですね。
赤と黒、漆塗りを思わせるプレミアムなデザイン
ポテトチップスといえばジャンクなおやつの代表格ですが、伝統的な和の模様をレイアウトして、赤と黒のシックな色を配置することで漆器のような高級感が生み出されています。伝統的な和のモチーフとポテトチップスの取り合わせはユニークで、海外旅行者のお土産としても喜ばれそう!スーパーやディスカウントストアのお菓子売り場でもインパクトを放ちそうな大胆デザインです。しめ縄のようなモチーフや家紋のようにあしらわれた海老の姿も、ユーモラスでユニークですね。
文字が読めなくても味が分かる「エビ」の姿
舞い散るポテトチップスにレイアウトされたエビにより、文字が読めない海外の人や子どもにも、どんなフレーバーなのかが分かるようになっていますね。文字が読める顧客なら達筆な「海老」の文字に心が弾むのではないでしょうか。赤と黒のコンビニ、白い文字がくっきりと映えて鮮やかです。手に取った時に美味しさが伝わってきそうなパッケージデザインです。
日本らしさを推し出した和風スナック菓子のパッケージデザイ
こちらの和風スナック菓子のパッケージデザインは、伝統的な和風要素と新鮮な洋風要素のバランスがインパクトを感じさせます。
・和の力強さ〜色彩とデザイン
赤と黒の力強い色彩が基調となっており、その中に大きく配置されたリアルな海老のイラストが視覚的なインパクトを与えています。さらに、楷書体で書かれた品名が中央に配置され、伝統的な和の雰囲気を醸し出しています。
・意外性の効果〜洋風のスナック菓子イラスト
一見、全てが和風に統一されたデザインに見えますが、その中に散りばめられたスナック菓子のイラストが、和風デザインの中に一石を投じています。この洋風スナックのイラストが、見る人を驚かせるとともに、商品自体への興味を引き立てます。
・高級感の演出〜和柄と金色
パッケージの下部には、赤と金色の和柄が配置され、品質の高さと高級感を表現しています。また、品名上にある綱をモチーフにした飾りや対になった海老のイラストは、商品のシンボル的存在を強調していますね。
この和風スナック菓子のパッケージデザインは、伝統と革新・和風と洋風の要素が合わさり、その独特な印象深さで消費者の目を引きつけ、購買意欲を掻き立てることでしょう。
※掲載デザインサンプルのモックアップはイメージです。実際の製品・パッケージと仕上がりが異なる場合がございます。