
スーパーやコンビニの陳列棚には、様々な商品が並んでいます。陳列棚に並ぶ数々の商品の内で、我々が「その商品を手にとっている」理由とは、一体何なのでしょうか。考えられることは3つあります。
1.風味や性能、機能が好きだから手にとってしまう
2.長く親しんでいて慣れているから思わず手にとってしまう
3.パッケージに惹かれたから思わず手にとった
これらの中で、2.の長く親しんでいるからという理由は、選ばれる企業にとっては最高のリピーターであり、新規参入者にとって最も手強い消費者と言えます。1.であれば、気に入っている間は別の商品を選んでもらうのは難しいでしょう。そんな時に、効果を発揮するのが3.のパッケージです。商品イメージに適したパッケージであれば、手にとってもらいやすくなります。商品サービスのイメージに適していることが大切なので、特に意図もなく、かっこいい、かわいい、おしゃれなイメージを出すのはよくありません。時にはあえて「ださく」したり「安っぽく」することも、パッケージデザインの役割です。誰にとってもイメージできるパッケージであれば、1.や2.を理由に商品を選択している方に対しても、強力なアピールになります。パッケージデザインにより、商品価値を高めることができるのです。
ヒントはコンビニやスーパーなどの店頭にあります。目立つところに陳列されているのは、売れ筋ランキングで常に上位を獲得している商品です。それらのパッケージを見ると、
・一目見ただけで商品の魅力が伝わる
・価格帯とマッチしたデザインである
・伝えるポイントが絞られている
という3つのポイントに気づきます。商品の魅力が伝わるパッケージとは、一目見た瞬間に商品を想像できることです。代表的なのがパッケージに記載されているネーミングです。商品イメージや素材、効果や機能、性能などを一言で象徴したようなネーミングであれば、想像しやすくなります。消費者が求めている機能や効果をネーミングでイメージできるようにするだけで、消費者に1度は手にとってみようと思ってもらったり、買ったことはないけどずっと気になっていたという状況を期待できます。(小林製薬の商品等が良い例ですね)
また、価格帯とマッチしたパッケージデザインを選択することも大切です。先にも少し触れましたが、何でもかんでも、かっこよくしたり、かわいくしても意味がありません。商品イメージを軸にしながら、価格帯にもマッチしたデザインでなければ、消費者は違和感を感じて遠のいてしまいます。
典型的なのがフォントやイラストです。パッケージに記載されているネーミングの文字がカタカナ、ひらがな、漢字、ローマ字、記号のようなマーク、イラストなどといったことでもかなり違ってきます。お子さん向けの商品では、文字よりもイラストが大きく掲載されることもありますが、小さなお子さんが一目見ただけで商品を理解できれば、手にとって貰える機会が増えます。

大人向けや高級商品のパッケージを見ると文字やイラストを多用することはほとんどなく、その多くが、そっけなさを感じられるほど質素なパッケージデザインをしています。商品名やブランド名、シンボルマークが中心に記載され、それ以外の文字もイラストも、何も記載されていないスペースが商品パッケージの大半を占め、どこかに文字がないかと探すと裏面に刻印されているといったことが多いのです。
そのため、価格帯とマッチしたデザインを実現するためには、まず対象を定めることが大切です。10歳未満のお子さん、12歳~18歳までの未成年、代や30代、40代、50代以上と言った年齢などで、ターゲットの消費者層にあわせてパッケージデザインを行います。
さらに、商品の種類や価格帯にあわせてパッケージに記載する商品ネーミングやブランド名、イラスト等を変更し、一目見ただけで商品内容が理解できることが重要です。伝えるポイントを絞ることで、伝わりやすくなります。せっかく開発したのだから、新商品の特徴やメリットを余すことなく伝えたいと思うのが、企業や開発者の思いです。
しかし、それだと情報量が多すぎてパッケージに記載できませんし、文字やイラストも小さくなるため消費者側にもわかりにくくなります。成功している商品を見ると、
「これぞこの商品の価値である」といった特徴を1つ~3つほどに絞ることで、消費者がイメージしやすくなっています。

情報量が多いほうが効果的に見えますが、実際はそうではありません。子ども向け商品のパッケージには、イラストが大きく掲載されていますが、子どもたちはそのイラストを見るだけで、自分がおもちゃを使って遊んでいる姿をすでに想像しているのです。
それは大人でも同じです。文字の読める大人であれば、商品の特徴となる原料、製造法、機能や効果、性能を絞ることで、こんな場面で使える、生活がこう変わると想像してもらうことが、商品の魅力を端的に伝えるポイントです。
商品の魅力が伝わり、
価格とデザインがマッチしたデザイン、
伝えるポイントが絞られていることが、
成功するパッケージデザインの秘訣です。
消費者がパッケージを見て購入を決めるまでの心理プロセス
店頭で消費者が商品を選ぶ際、以下の心理プロセスが瞬時に行われています。
| ステップ | 所要時間 | 消費者の心理 | パッケージの役割 |
|---|---|---|---|
| 1. 認知 | 0.2秒 | 「あ、何かある」 | 棚で目立つ色・形で視線を獲得 |
| 2. 興味 | 0.5〜1秒 | 「これは何だろう?」 | カテゴリーが瞬時にわかるデザイン |
| 3. 手に取る | 1〜3秒 | 「ちょっと見てみよう」 | 質感・重さ・サイズで品質を伝える |
| 4. 情報確認 | 5〜10秒 | 「自分に合いそうか?」 | 裏面の成分・使い方・ストーリー |
| 5. 比較 | 5〜15秒 | 「他の商品と比べてどうか?」 | 競合との差別化ポイント |
| 6. 購入決定 | — | 「これにしよう」 | 安心感・納得感を与える全体設計 |
全プロセスの合計はわずか20〜30秒程度。この短時間で「買おう」と思わせるのがパッケージデザインの仕事です。
売り場での視認性を高める4つの戦略
戦略1: カラーブロッキング
棚全体を俯瞰したとき、競合が青系なら自社は赤系にするなど、色のコントラストで差別化する戦略です。ある商品カテゴリの棚で「一つだけ違う色」の商品は自然と目に留まります。
戦略2: 形状の差別化
四角い箱が並ぶ中に丸い容器を置く、背の高い商品の中に低い商品を置くなど、形状の違いは強力な視認性を生みます。
戦略3: 余白の活用
情報を詰め込みすぎず、あえて余白を多く取ったパッケージは、ごちゃごちゃした棚の中で「清潔感」として目を引きます。高級ブランドが余白を多用する理由はここにあります。
戦略4: フェイシング(陳列面)の最大化
パッケージの正面(フェイス)のデザインが最も重要です。側面や上面にもブランドロゴを入れ、どの角度から見ても商品が特定できるようにしましょう。
ターゲット別パッケージデザインのアプローチ
| ターゲット | デザインの方向性 | 効果的な要素 |
|---|---|---|
| 20〜30代女性 | トレンド感、SNS映え | パステルカラー、ミニマルデザイン、手書きフォント |
| 30〜50代男性 | 信頼感、機能性 | ダーク系カラー、太めのフォント、スペック表記 |
| 子育て世代 | 安心・安全 | 自然素材イメージ、原材料の透明性、やさしい配色 |
| シニア層 | 見やすさ、わかりやすさ | 大きな文字、コントラストの強い配色、シンプルな構成 |
| 健康志向層 | ナチュラル、オーガニック | 白・緑ベース、クラフト紙質感、認証マーク |
| ギフト用途 | 高級感、特別感 | 箔押し、厚みのある素材、リボン・スリーブ |
パッケージリニューアルの判断基準
「今のパッケージを変えるべきか?」の判断は、以下のチェックリストで行いましょう。
リニューアルを検討すべきサイン
- [ ] 売上が2期連続で下降している
- [ ] 競合の新商品にシェアを奪われている
- [ ] ターゲット層が変化している(高齢化、若年化など)
- [ ] ブランド全体のリブランディングを行った
- [ ] パッケージのデザインが5年以上変わっていない
- [ ] SNSで「パッケージがダサい」等のネガティブな声がある
- [ ] 環境配慮(プラ削減等)への対応が必要
リニューアル時の注意点
- 既存顧客が認識できるように: 大幅に変えすぎると既存客が「いつもの商品が見つからない」状態に
- 段階的な変更: ロゴや基本配色は維持しつつ、レイアウトや素材を刷新するアプローチがリスク低
- 事前テスト: リニューアル案を消費者テスト(グループインタビュー等)で検証
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